アニマルウェルフェアに関するマルハニチログループ方針

かけがえのない自然の恵みとその生命力に支えられ成長を続けてきたマルハニチログループは、アニマルウェルフェアに配慮していくことが重要な社会課題であると認識しています。
私たちは、国際獣疫事務局(OIE)において定義されている「5つの自由」を尊重した事業活動を推進します。

「5つの自由」
  1. 飢え、渇き及び栄養不良からの自由
  2. 恐怖及び苦悩からの自由
  3. 物理的、熱の不快さからの自由
  4. 苦痛、傷害及び疾病からの自由
  5. 正常な行動様式を発現する自由

アニマルウェルフェアに配慮することは動物の健康だけでなく、摂取する人々の健康にもつながるものと考えています。マルハニチログループは、自社事業およびサプライチェーンにおける以下の取組みを推進し、動物とのより良い共生社会の実現をめざすとともに、健康価値創造と持続可能性に貢献する食を提供していきます。

マルハニチログループが推進する取組み
  • グループ自社事業所におけるアニマルウェルフェアへの配慮
  • サプライチェーンにおけるアニマルウェルフェアへの配慮と連携に向けた対話
  • アニマルウェルフェア向上の取組みに関する情報開示

マルハニチロの取組み

マルハニチログループ養殖場における取組み

養殖魚の飼育環境に配慮した大型浮沈式銅合金生簀の導入

マルハニチロでは養殖魚の飼育環境改善を目的として、2022年より大型浮沈式銅合金金網生け簀を導入しました。これは以下の3つの点において、従来の生け簀と比較して養殖魚の飼育環境に配慮しています。

1.飼育密度の低減化
生け簀を大型化・大容積化したことで、飼育密度を約10%下げることが可能になりました。飼育密度の低下により、養殖魚の疾病リスクの低減が期待されます。また、大型化・大容積化により、同じ尾数の魚を飼育した場合の生簀の台数が減少し、飼育者の1つの生け簀に費やす時間が増えたことで、より丁寧に魚の健康状態を観察できるようになりました。

2. 飼育水温への配慮
海水温の変動に合わせて浮き沈みをさせることが可能な浮沈式(と呼ばれる)生け簀のため、養殖魚にとって快適な飼育水温下での飼育が可能になりました。

3. 生け簀への貝類や海藻類などの付着抑制
大型浮沈式銅合金生簀は銅合金でつくられているため、従来の生け簀と比較した場合、生け簀への貝類や海藻類などの付着を抑制することが可能です。これにより、生け簀に付着する貝類や海藻類を原因とした養殖魚の擦過傷の軽減が期待されます。また、生け簀内の潮通しが改善し、養殖魚が呼吸しやすい環境の実現にもつながっています。

養殖魚の飼育環境に配慮した大型浮沈式銅合金生簀

魚への負荷を軽減させた魚体測定方法

養殖魚の測長・魚体重測定には従来、魚を生け簀の外へ出して作業する必要がありましたが、マルハニチロではAI魚体測定カメラを用いて、魚を生け簀の中に入れたまま測長・魚体重測定が可能なシステムを導入しています。

魚を水から出さずに測定できるAI魚体測定カメラ

稚魚への負荷を軽減させたオリジナル種苗計数システムの開発

マルハニチロ(株)ではブリ、カンパチの種苗生産を行っています。陸上水槽で育てた稚魚を沖に移送(作業名:沖出し)する際に、これまで「重量法」と呼ばれる方法で尾数のカウントを行っていましたが、魚体への負荷が大きいだけでなく、計数精度の不安定さから沖出し後の投薬量や飼育密度の最適化にも課題がありました。そこで、中央研究所および(株)マルハニチロ養殖技術開発センターでは「フィッシュポンプ」「特殊形状のサイトグラス」「AI画像認識技術」を活用した高精度な尾数カウントシステムを自社開発しました。このシステムの導入により「沖出し時の稚魚への物理的な負荷軽減」や「沖出し後の稚魚の飼育密度や投薬量の最適化」に繋がり、稚魚の飼育環境の改善が期待されます。

新規種苗計数システム概念図

接種時のストレスを軽減するワクチン自動接種機の導入

適切なワクチンの摂取は抗生物質の使用削減および健康な魚づくりに大きく寄与します。しかし、従来ワクチン接種の際には1匹ずつ接種者が魚を手に持つ必要があり、人間の体温で魚にストレスを与えたり、魚が暴れて注射針が目的としていない部位に刺さってしまったりといった場面が発生していました。2023年より導入したワクチン自動接種機では、接種前に麻酔により魚を鎮静化し、人間ではなく、機械によるワクチン接種となるため、従来よりもワクチン接種時の魚へのストレスを軽減することが期待されます。

詳しくはこちら

イニシアチブ参画による抗生物質使用量削減に向けた取組み

持続可能な水産物の生産と健全な海洋環境を確保するために、科学的根拠にもとづく戦略と活動を協力しながら主導することを目的としたイニシアチブSeaBOS (Seafood Business for Ocean Stewardship)のメンバーとして、抗生物質使用削減への取組みを進めています。
2022年度はSeaBOSでの活動の一環として、SeaBOSメンバーの日本3社(マルハニチロ(株)、(株)ニッスイ、(株)極洋)と農林水産省や水産庁、国立研究開発法人水産研究・教育機構、製薬会社にて、抗生物質使用量削減において重要な、水産養殖分野におけるワクチン開発を促進していくワクチン勉強会を発足させ活動を開始しました。

SeaBOSの取組み
SeaBOS

ページ上部へ