持続可能なサプライチェーンの構築
基本的な考え方
マルハニチログループは日本および世界各地から水産資源を安定的に調達しています。また畜産物や農産物でも安全・安心なサプライチェーンの構築に努めています。私たちが将来にわたって持続可能かつ安定した経営を実践していくためには、お取引先の皆さまと協働して、サプライチェーンにおける環境問題、人権や労働安全といった社会的側面への配慮に取り組んでいく必要があると認識し、CSRに配慮したサプライチェーンの構築に努めます。
マルハニチログループ調達基本方針/サプライヤーガイドラインの制定/アニマルウェルフェアに関するマルハニチログループ方針
2017年度、マルハニチログループでは、「グループ行動指針」および国連グローバル・コンパクト10原則や国際規格ISO26000の考え方にもとづき、「マルハニチログループ調達基本方針」および「マルハニチログループサプライヤーガイドライン」を制定しました。また、海外市場における公正な競争の実施と腐敗防止に関する「腐敗防止宣言」をコミットしています。
2022年7月にはサプライヤーガイドラインを第2版に改訂、IUU漁業の廃絶に関する項目を要求事項に追加し、サプライヤーの皆様に“トレーサビリティの徹底により、調達する水産物においてIUU漁業への関与のないことの確認”を依頼しています。これらの方針/ガイドラインのお取引先への周知徹底と定期的なモニタリングを実施するとともに、第2版への改訂に合わせてガイドライン解説書を作成しました。解説書にもとづく改善取組みを促す等管理体制の強化に努め、お取引さまとともに誠実な事業活動を遂行するサプライチェーンを構築し、取組みを推進していきます。
マネジメント体制
マルハニチログループは、幅広いサプライチェーンをカバーするさまざまな事業を有しており、これらの事業活動における原料、資材、製品などの調達先の選定は、各事業部門が責任を持って実施しています。そのため、マルハニチログループにおけるサプライチェーンマネジメントは、2017年に制定した「調達基本方針」「サプライヤーガイドライン」にもとづき、調達部署が中心となってお取引先とのコミュニケーションを通じてCSR調達を実践しています。
2030年のありたい姿(KGI)と達成目標(KPI)
マテリアリティ | 持続可能なサプライチェーンの構築 | ||
---|---|---|---|
KGI(2030年のありたい姿) | サプライヤーとの協働により持続可能な調達網構築を実現できている | ||
KPI | システムカバー率(MN) | サプライヤーガイドラインへの同意率・重要項目改善率(グループ全体) | |
ターゲット | 目標年 | 2024 | 2030 |
目標値 | 100% | 100% | |
2022年度 進捗 |
進捗結果と コメント |
マルハニチロ(株)のサプライヤーの50.1%をサプライヤー調査システムでカバー | サプライヤー調査システムの導入と運用開始 |
自己評価 | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | |
責任部署 | マルハニチロ(株)経営企画部 サステナビリティ推進グループ |
※MN=マルハニチロ(株)
責任者メッセージ

サステナビリティ推進グループ
グループ長
佐藤 雄介
当社グループは、数多のサプライヤーから原材料や製品などを調達し、事業活動を営んでいます。2022年度はこれらのサプライヤーに対し、調査システムの運用を開始しました。当初は浸透が進まず、集計に苦労しましたが、サプライヤーの皆さまへの丁寧な説明と依頼の継続により、徐々に浸透が進み、今後のサプライヤー調査や人権・労働慣行調査の定期実施に向けて運用拡大が期待できます。グループ理念である「本物・安心・健康な『食』」をお客さまに提供するためには、サプライヤーの皆さまに当社の理念や考え方を理解、協力していただくことが必要不可欠です。
Maruha Nichiro Value(MNV)の最大化に向け、丁寧に、根気よく取組みの意義を説明し、サプライヤーの皆さまとより一層持続可能で強固なサプライチェーンの構築に努めていきます。
マルハニチロの取組み
持続可能なサプライチェーンの構築
サプライヤー調査システムの導入とガイドライン改訂
マルハニチロ(株)は2022年度に「マルハニチロサプライヤー調査システム」を新規導入し運用を開始。サプライヤー調査と分析をシステム化することで、当社/サプライヤー双方において「データの蓄積」と「課題の見える化」が可能になります。また、2017年公表のグループ調達方針/サプライヤーガイドラインを一部改訂し、IUU漁業廃絶、環境配慮、二次サプライヤーへの協力依頼の項目を明確化するとともに、ガイドライン解説書を作成しました。継続的に本ガイドラインの遵守をサプライヤーに働きかけ、解説書にもとづく改善取組みを促すなど、管理体制の強化に努めていきます。
サプライヤーガイドライン遵守状況の確認
2022年度は、導入したサプライヤー調査システムを用いて、改訂したサプライヤーガイドラインへの対応状況の確認のため、マルハニチロ(株)サプライヤー1,000社を対象にサプライヤー調査を実施しました(結果は下表)。
今後、調査で問題が認められたサプライヤーに対し、改善への協力を仰ぐとともに、スポット納品や包材サプライヤーなども含めた全サプライヤーへ調査範囲を拡大し、KPI達成に向けて、システムのグループ内への展開も進めていきます。
持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、品質保証部、生産管理部、経営企画部で購買管理に関する作業部会を設置し、連携した取組みを進めています。当社グループの事業は多くのサプライヤーに支えられており、QCD(品質、コスト、デリバリー)に加え、ESGの側面からも評価することで、サプライチェーンはより強固なものになると考えています。社内での運用規定を整理し、持続可能な調達を実践するための仕組みづくりをめざしていきます。
対象範囲 | 調査数 | 回答数 | 問題が認められた サプライヤー(%) |
---|---|---|---|
国内認定工場 | 125社 | 125社 | 38社(30.4%) |
海外認定工場 | 162社 | 155社 | 1社(0.6%) |
直営工場のサプライヤー ※認定工場除く | 194社 | 194社 | 39社(20.1%) |
その他原料・他社品購買サプライヤー | 519社 | 453社 | 81社(17.9%) |
合計 | 1,000社 | 927社 | 159社(17.2%) |
対象範囲 | サプライヤー数 | サプライヤーガイドライン への同意率 |
システムカバー率 |
---|---|---|---|
調査実施 | 1,000社 | 46.4% | 50.1% |
回答取得 | 927社 | ||
取引サプライヤー全体(母数) | 1,996社 |
※リスクが認められたサプライヤーについては、ヒアリングによる詳細状況の確認を検討しています。
「協力工場品質保証会議」によるサプライヤーへの周知徹底
マルハニチロ(株)では、サプライチェーンとの連携強化による品質保証レベルの向上を目的として、製品の製造にご協力いただいている国内の主な製造委託先の経営者の皆さまを対象とした「協力工場品質保証会議」を開催しています。
2021年度は、品質に関わる取組み、苦情・事故の発生状況の報告に加え、マルハニチロ(株)経営企画部担当者より「調達基本方針」「サプライヤーガイドライン」の周知、CSR調達に関する講演を実施し、お取引先へのマルハニチログループの方針/ガイドラインのご理解と、CSRに配慮したサプライチェーンを共に構築していくためのご協力をお願いしました。
本会議は今後も継続して開催し、周知の機会を設けることで、製造委託先の皆さまと情報の共有を図るとともに、取組み方針に対するご理解をいただき、サプライチェーンの連携強化に努めていきます。