安全・安心な食の提供
基本的な考え方
マルハニチログループでは、マルハニチログループ理念、およびマルハニチログループ品質保証方針にもとづいた品質保証体制のもと、お客さまの「視点」に立ち、お客さまが求める「品質」を考え、お客さまに安全な「商品」をお届けし、お客さまに安心していただける「食」を追求しています。
そのために、商品の開発からお客さまに商品をお届けしたその後までのすべてのプロセスにおいてさまざまな施策を行うとともに、従業員に対しては、品質教育を推進し、一人ひとりの知見や技術のレベルアップと品質にかかわる意識の向上を図っています。
マネジメント体制
マルハニチログループは、経営会議を品質保証の最高意思決定機関とする体制を構築しており、適切な品質保証活動を実施するための重要な方針や施策をここで決定しています。 また、経営会議の諮問機関として、「品質委員会」を設置し、諮問事項の審議を行っています。 中核事業会社であるマルハニチロ株式会社の「品質保証部」は、各種方針類の策定、工場監査・商品情報管理体制の整備を通じた管理状況のモニタリング・改善支援、品質・表示に関する情報の収集・発信および教育・啓発など、グループ品質保証の要としての役割を担っています。
一方、社内各部門および各グループ会社には「品質責任者・品質担当者」を配置し、グループとしての品質保証に関する方針・施策などの情報を伝達するとともに、品質保証の計画や施策の立案・推進役を担っています。

2030年のありたい姿(KGI)と達成目標(KPI)
マテリアリティ | 安全・安心な食の提供 | |
---|---|---|
KGI(2030年のありたい姿) | 人々が安心できる食を世界中の食卓に提供している | |
KPI | 重大な品質事故*(国内グループ) | |
ターゲット | 目標年 | 2024 |
目標値 | ゼロ | |
2023年度 進捗 |
進捗結果と コメント |
重大な品質事故は発生しておりません |
自己評価 | ★★★★★ | |
責任部署 | マルハニチロ(株)品質保証部 |
※重大な品質事故とは、GRIスタンダード416-2、および417-2にて示された関連規制および自主的規範の違反などを理由とした新聞社告または自社Webサイトにて告知した商品回収を対象とする
責任者メッセージ

奥村 知之
今年度は中期経営計画「海といのちの未来をつくるMNV2024」の最終年度にあたります。本中計においては、品質事故ゼロ活動の推進、規程類の見直し、商品情報管理システムの運用開始等、品質保証体制の基礎の見直し、基礎固めに注力してきました。その成果として、KPIは概ね達成の見込みです。一方で、VUCA時代と呼ばれる昨今、目まぐるしい環境の変化に追従し、常に安全・安心な食の提供を継続するには、さらなる品質保証体制の充実は不可欠であると認識しております。マルハニチロ製品のバリューチェーンに関わる役職員一人ひとりが食品安全・品質が第一であることを自分事としてとらえる、食品安全・品質文化の醸成や、海外展開にむけた品質保証体制の整備等、現在取り掛かっている課題について、取り組みのスピードを加速させていきます。
マルハニチロの取組み
製品事故の再発防止と未然防止
マルハニチログループでは、2023年度、重大な品質事故※1ゼロを達成しました。
当社グループでは、安全安心な食を提供し、かつ重大な品質事故ゼロの達成を目的に、製造委託先の工場監査、指導を強化しつつ、グループの生産拠点においては食品安全マネジメントシステム認証を取得、維持しています※2。2023年度に当社グループの生産拠点が受審した食品安全マネジメントシステムの外部審査においては、重大な指摘事項はなく、軽微な指摘事項についてもすべて期日以内に改善を完了しています。
一方で社告回収には至っていないものの、一歩まちがえば重大な事故となりうる苦情やトラブルの削減が課題となっております。2022年1月より「本物・安心・健康な食の提供」を実現し続けていくため、「重大な品質事故」の発生を未然に防止することを目的とした「品質事故ゼロ活動」を推進しています。2023年度は、新たな切り口として「設計・開発品質リスクアセスメント」、「購買管理」、「変動品質リスク管理」の視点から作業部会を社内に立ち上げ、品質保証規程の基盤を強化する新たな規則を発行、運用を開始しました。また、過去の「重大な品質事故に結び付く苦情」の原因分析に基づき品質管理基準(上乗せ基準)を策定し、2024年度より製造委託先の定期監査で上乗せ基準を用いた確認を、順次進めています。製造の上流工程から異常やトラブルを防止する仕組みを構築し、従来の再発防止型から未然防止型「異常が起きる前に手を打つ」体制へのシフトチェンジを図っています。
- ※1重大な品質事故とは、GRIスタンダード416-2、および417-2にて示された関連規制および自主的規範の違反などを理由とした新聞社告または自社WEBサイトにて告知した商品回収を対象とする。
- ※2マルハニチログループ GFSI認証規格取得拠点数 31拠点(2024年5月時点)
マルハニチログループ マネジメント認証取得状況一覧
製品規格情報の管理方法の統一
水産物、畜産物、農産物といった原材料に近い食品から、さまざまな食シーンに対応する加工食品まで、幅広い商品群を扱うマルハニチロ㈱では、製品規格情報の管理方法が商品群によって異なることが長年の課題でした。一方で、食を取り巻く環境は頻繁に変わるため、最新の製品規格情報を適切に管理し、お客さまにスピーディに商品情報を提供することが求められています。これに対応するため、原料情報から製品規格情報、さらにはお客さまに提供する商品情報まで一元的な管理が可能な新たなシステムを順次導入しています。このシステムを活用することにより、お客さまへの正確な商品情報の提供と社内の業務効率化を図ってまいります。
品質教育・研修の推進

マルハニチログループが提供するバリューチェーンの品質レベルの向上には、全従業員の品質に対する意識や知識の向上を図ることが欠かせません。2023年度も引き続き従業員の品質面の力量確保に努め、階層別、業務別に計60回の品質関連研修会を実施し、計10,351名が受講しました。
今後、よりコンテンツを充実させると共に、既存コンテンツの質も向上させ、教育・研修レベルと、社員の意識、知識の向上を図ります。
研修の種類 | 合計回数 | 参加人数 |
---|---|---|
表示研修会(共通・冷食・常温・水産・畜産・製品規格書作成の実務) | 14回 | 760名 |
品質管理講習会 | 5回 | 420名 |
フードディフェンス講習会 | 7回 | 635名 |
FSSC/ISO22000規格勉強会 | 1回 | 137名 |
FSSC22000内部監査員養成研修会(初級編・スキルアップ編) | 4回 | 97名 |
食品に関わる微生物講習会(共通・個別) | 2回 | 711名 |
微生物検査担当者向け技術講習会 | 1回 | 38名 |
微生物検査実技研修会 | 1回 | 4名 |
お客さま対応研修 | 5回 | 855名 |
お客さまの声を聴く会 | 18回 | 6,586名 |
CS研修会 | 2回 | 108名 |
サプライヤーの管理・指導の強化
製造委託先及びサプライヤーの管理については、GFSI認証スキーム(食品安全マネジメントシステム)の要求事項を考慮した自社基準を用いて、訪問形式での監査や確認、指導を実施することで、食品安全、食品防御の確保を図っています。また、今後の更なるグローバルな食の提供を見据え、マルハニチロ㈱では中国やタイに品質保証人財を駐在させ、現地スタッフと連携しながら品質保証体制強化に努めています。今後も引き続き、国際認証の要求事項を活用しながら製造委託先及びサプライヤーの管理を強化していきます。

認定工場の製造ラインを中心に実査を行い、従業員との質疑応答などを通して衛生管理状態を確認しています