TCFD提言に基づく開示
TCFD提言への賛同を表明・シナリオ分析を実施
2021年7月、マルハニチロ(株)はTCFD提言に賛同を表明し、「TCFDコンソーシアム」へ参画しました。同年、環境省が主催する「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」の参加企業に選定され、養殖事業についてシナリオ分析を行い、分析結果が2022年3月環境省HPにて公表されました。2023年度は、水産バリューチェーンを対象にその他の事業(漁業、水産商事、海外、加工食品、食材流通の各ユニット)についてもシナリオ分析を展開し、気候関連の財務情報開示を実施していきます。
ガバナンス
マルハニチログループのサステナビリティ推進体制
マルハニチログループでは、サステナビリティ戦略を推進するため、2018年に経営会議の直下にサステナビリティ推進委員会を設置しました。代表取締役社長が委員長を務め、マルハニチロ(株)取締役を兼務する役付執行役員、関連部署担当役員、関連部署長を委員、社外取締役、監査役をオブザーバーとして構成されており、グループサステナビリティ戦略全般の企画立案や目標設定、およびグループ各社の活動評価をしています。「サステナビリティ推進委員会」は四半期ごとに年4回開催されており、マテリアリティ“生物多様性と生態系の保全”や”気候変動問題への対応”を含む各マテリアリティの進捗を各責任者およびプロジェクトリーダーが報告し、積極的な討議を行っています。サステナビリティ推進委員会で討議された内容は、少なくとも年4回、経営会議を通じて取締役会へ報告されます。
Seafood Business for Ocean Stewardship (SeaBOS)に参画への参画
SeaBOS (Seafood Business for Ocean Stewardship)は、世界水産大手企業8社と、海洋・漁業・持続可能性を研究する科学者が、持続可能な水産物の生産と健全な海洋環境を確保するために、科学的根拠にもとづく戦略と活動を協力しながら主導することを目的に2016年に設立されたグローバルなイニシアチブです。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)、特に「目標14 海の豊かさを守ろう」に積極的に貢献するとしています。
現在は下記5つのタスクフォースに分け、解決に向けた議論を行っています。
マルハニチロはSeaBOSの立ち上げから参加し、2018年9月、組織設立と同時に当社社長(当時)の伊藤滋が初代会長に指名され、2020年10月まで会長として従事しました。現在はタスクフォースVの共同リーダー、タスクフォースⅠ、ⅢおよびⅥのメンバーとして活動しています。
SeaBOSの取組みリスクと影響の管理
当社グループでは、法務・リスク管理部を中心に、マルハニチロ(株)各部署やグループ各社のリスク管理責任者、リスク管理担当者が連携してリスク管理業務に取り組む体制を整えています。今回の分析では、自然関連リスク・機会の特定まで実施していませんが、今後予定している自然関連リスク・機会および影響の特定・評価では、当社グループの直接操業に加えて上流・下流の全てのバリューチェーンの段階に適用され、短期(0~5年)・中期(5~10年)・長期(10年~)といった全ての時間軸を対象に実施していくことを見込んでいます。想定される本プロセスでは、まず、サステナビリティ推進委員会の下部組織である事務局が、当社の各ユニット企画担当や、事業部門およびグループ会社の環境責任者・環境担当者、コーポレート部門と連携し、リスクと機会を特定するための情報収集、状況の把握を行います。サステナビリティ推進委員会では、自然関連課題についても審議され、事務局より報告・提言された自然関連リスクと影響、対応について評価していくことを予定しています。
戦略
マルハニチログループは、生産・調達から食卓までの水産物を中心とした幅広いバリューチェーンで事業を行っています。気候変動は水産資源や原料調達への影響や大規模な自然災害による事業活動の停止など、グループの事業に影響を及ぼします。
脱炭素社会への移行に伴い、気候変動によりどのような事業リスクが顕在化し得るかについて、TCFD提言に基づくシナリオ分析を行いました。2021年度は養殖事業、2023年度は水産バリューチェーンを対象にその他の事業(漁業、水産商事、海外、加工食品、食材流通の各ユニット)についてもシナリオ分析を実施し、脱炭素への取り組みが進んだ1.5℃、および特段の緩和対策なく温暖化が進む4℃の世界観においてバリューチェーン全体を以下のとおり幅広く分析しました。
※マルハニチログループのシナリオ分析内容は下記をご覧ください。
指標と目標
マルハニチログループでは中期経営計画「海といのちの未来をつくるMNV2024」でマテリアリティの一つに”気候変動問題への対応”を定め、KGI(2030年のありたい姿)を”脱炭素や気候変動に対して業界における主導的地位を確立している”としています。そのKPIの一つでCO₂排出量を指標とし、2030年度までにCO₂排出量の2017年度比30%以上削減、2050年度までのカーボンニュートラル達成を目標としています。目標達成に向けて、2030年度までの期間を、更に3つの段階に分け、より細かい目標を設定しています。フェーズ1(2022~2024年度)ではCO₂削減率10%、フェーズ2(2025~2027年度)にはCO₂削減率20%、フェーズ3(2028~2030年度)はCO₂削減率30%以上を目標にしており、最終的には2050年度末までにカーボンニュートラル達成をめざし、さまざまな取組みを進めていきます。