基本的な考え方

海をルーツに140年の歴史を持つマルハニチログループは、かけがえのない自然の恵みとその生命力に支えられて成長を続けてきました。

世界の人口増加と新興国の経済発展などによって、魚食需要は今後も増加することが予測されます。需要への対応と水産資源の保全という要求に応えるため、事業活動を通じて持続可能な地球環境と社会の構築に貢献していきます。

サステナビリティ中期経営計画(2018~2021年度)

重点課題海洋資源の保全

目標 2020年度 2021年度
行動計画(主な施策) 実績 行動計画(主な施策)
  • 持続可能な漁業・養殖認証の取得を推進
  • IUU(違法、無報告、無規制)漁業廃絶への取組みを強化
  • 完全養殖事業の拡大
  • 環境配慮型養殖技術への取組みを推進
  • MSC、ASCなどのエコラベル付き製品の拡販
  • エコラベル付き商品開発の継続
  • ASC認証取得のカンパチの継続出荷
  • SeaBOS内のタスクフォース(IUU漁業、水産物トレーサビリィティ、強制労働、海洋プラスチック対応等)での活動推進
  • 完全養殖マグロ出荷量16,000尾
  • 南さつま種苗センターで完全養殖を含むブリ、カンパチを生産"
  • MSC、ASCなどのエコラベル付き製品はそれぞれ2133トン(2020年度対比387トン減)、19トン(2020年対比131トン減)と減少
  • 大西洋ニシン、赤魚、白糸だら等の認証魚種の販売を増加
  • SeaBOS内のタスクフォース(IUU漁業、水産物トレーサビリィティ、強制労働、海洋プラスチック対応等)での活動推進
  • 完全養殖マグロ20,900尾出荷
  • 養殖技術開発センター(南さつま種苗センターより移管)にてブリ、カンパチを採卵、孵化させ、沖出し
  • MSC、ASCなどのエコラベル製品の拡販と商品開発の継続実施
  • SeaBOS内のタスクフォースの取組み推進
  • 完全養殖クロマグロは悪化している事業採算と将来に向けた技術継承・革新に向けた必要生産量を考慮した生産量に抑制し、計画(11,000尾を計画)
  • カンパチの完全養殖種苗生産の実施
  • ※1 MSC認証:MSC(Marine Stewardship Council、海洋管理協議会)による、天然の水産物を対象にした漁業に対する認証制度。環境にやさしい持続可能な漁業であることの証。
  • ※2 ASC認証:ASC(Aquaculture Stewardship Council、水産養殖管理協議会)による、養殖業に対する認証制度。環境と人にやさしい責任ある養殖業で生産された水産物に認められる証。
  • ※3 完全養殖:人工ふ化させた仔魚を親魚に育て、その親魚が生んだ受精卵を成魚に育てること。
対象範囲:マルハニチログループ(国内)
責任部署:マルハニチロ(株)経営企画部

2020年度の主な取組み

水産資源調査の実施

マルハニチログループでは「サステナブルな企業グループ」として、持続可能な調達を実践するため、マルハニチログループ各社の製品、原材料について、水産物取扱量の現状把握、天然水産物の資源状態を評価する調査を2020年7~9月に実施しました。

調査結果はこちらをご確認ください。
マルハニチログループ水産資源調査の実施
マルハニチログループ取扱水産物の資源状態結果

今回の調査により、マルハニチログループが取扱う水産資源における強みと課題が明確になったものと認識しています。
マルハニチログループは、グループで取り扱う水産資源における強みの維持、あるいは拡大を検討するとともに、明らかになった課題の解消に努めていきます。

VOICE

Jim Cannon 様
Jim Cannon 氏
Sustainable Fisheries Partnership
Foundation
CEO
Sustainable Fisheries Partnership (SFP)

Sustainable Fisheries Partnership (SFP)はすべての水産物が持続的に生産され、また海洋生物多様性が保護される世界を目指すべく水産業界と協働しています。この度マルハニチロ が水産製品の原料となる水産資源を広範に分析されたことを高く評価します。世界数百以上の漁業から調達されており、容易な作業ではなかったと推察いたしますが、SFPの水産資源データベースであるFishSourceを用いて水産資源の環境持続性を評価するためには必要な作業でありました。
今後もマルハニチロの水産製品のサステナビリティの維持、またさらなる改善が可能となるような水産資源情報の収集及びモニタリングの工程を確立されたと考えています。透明性をもって分析結果のまとめを公表されたことをSFPは高く評価しています。そして、マルハニチロの業界における影響力を用いて、現時点で持続的でないと判明した漁業の改善に今後取り組まれることを期待しています。
マルハニチロは、世界最大の水産企業の一社として大きな影響を持ち、世界中の漁業管理や漁法に重要な変革をもたらす可能性を有しておられます。SFPではSFPサプライチェーン・ラウンドテーブルや他の競争前の段階での協力(マルハニチロはすでにSeaBOSへのご参加で実施済)などの既存の漁業改善アクションに積極的に取り組まれることを期待しています。こうした取組みへ参加されることは長期的な漁業の環境持続性や海洋の健全を守り、国連の持続可能な開発目標(SDGS)ゴール14、「海の豊かさを守ろう」とも合致すると考えています。

※Sustainable Fisheries Partnership(SFP):2006年に設立された海洋保全組織。世界の海洋の健全保全、水産品の持続可能な生産、サステナブルな水産品の享受を目指している。水産品のサプライチェーン上のバイヤーや小売店の影響力を梃子とし、枯渇した水産資源の回復、天然及び養殖漁業の環境への負荷軽減、漁業の社会問題への対応、漁業者や地域社会の経済機会向上に向けた活動を実施。SFPサプライチェーン・ラウンドテーブルでは水産品のサプライヤー企業が漁業・養殖漁業の漁法や漁業管理、政策等の改善に向けた取り組みの支援や促進を競争前の環境で協働する場を提供。

持続可能な漁業・養殖認証 (MSC・ASC) 取得水産物の取扱い

マルハニチログループでは、MSC・ASC認証の水産物の取扱いを積極的に進めています。
2021年4月現在、マルハニチロ(株)のMSC「海のエコラベル」を表示した家庭用冷凍食品などの取扱数量は、2020年度約 2,133トンとなり、2019年度の約2,520トンより減少、ASCラベルを表示した製品の2020年(期間:1月1日~12月31日)の取扱数量は約19トンとなり、2018年の約150トンより大幅に減少しました。主な理由として、新型コロナウイルス感染拡大により、お弁当惣菜の需要が大きく減少したことが挙げられますが、感染拡大リスクの低下に伴い、今後は需要の回復、取扱い数量の増加を見込んでいます。

MSC「海のエコラベル」を表示した家庭用冷凍食品の
取扱数量の推移
MSC「海のエコラベル」を表示した家庭用冷凍食品の取扱数量の推移
(注)対象はマルハニチロ (株)
ASCラベルを表示した家庭用加工食品の
取扱数量の推移
ASCラベルを表示した家庭用加工食品の取扱数量の推移
(注)対象はマルハニチロ (株)

持続可能な養殖認証の取得を推進

CASE:奄美養魚 世界初のASCカンパチを本格出荷

奄美養魚 世界初のASCカンパチを本格出荷

(有)奄美養魚は、2019年7月にカンパチの養殖において世界初となるASC認証を取得しました。2020年5月から本格出荷を開始し、2020年度はASC認証製品として約21トンを出荷しました。水揚げ→活魚輸送→マルハニチロの指定委託工場でのフィレ加工→量販店での販売という一貫したバリューチェーンにてお客さまの元へお届けしています。

完全養殖クロマグロの生産量アップ

クロマグロ完全養殖の先駆者であるマルハニチロでは、グループ会社(株)アクアファームにおいてクロマグロ人工種苗専用の養殖場からの出荷を2019年度より本格化させ、2020年度は908 トン 出荷しました。今後は更なる生産効率化を図るべく、一時的に年間出荷量を500t程度まで縮小させ、生産技術開発に一層注力致します。

完全養殖クロマグロの出荷量
グラフ:養殖クロマグロの出荷量
(注)対象は国内グループ企業

完全養殖技術の開発に注力

完全養殖クロマグロの育種改良に取り組むため、国立研究開発法人水産研究・教育機構(所在地:神奈川県横浜市、以下「水研機構」)と協働して、基盤・応用技術の開発に取り組みます。

完全養殖クロマグロの出荷量
国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所(本所)
国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所(本所)
研究所内に設置された国内唯一のクロマグロ親魚用陸上水槽とクロマグロ孵化仔魚の様子
研究所内に設置された国内唯一のクロマグロ親魚用陸上水槽
(写真提供:国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所)
研究所内に設置された国内唯一のクロマグロ親魚用陸上水槽とクロマグロ孵化仔魚の様子
研究所内に設置された国内唯一のクロマグロ孵化仔魚
(写真提供:国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所)

また、ブリについては、2020 年度に人工孵化ブリを出荷し、 2022 年度には完全養殖ブリとして販売開始する予定です。今後も、完全養殖技術の開発に注力し、持続可能な水産資源の利用に貢献します。

CASE:養魚飼料中の魚粉の使用率を低減させるための飼料の開発を実施

マルハニチロ中央研究所では、水産資源の保全に寄与する取り組みとして、養魚飼料中の魚粉の使用率を低減させるための飼料の開発などを行っています。大豆などの植物性タンパク質を有効利用できるよう、原料の発酵処理、あるいは養殖魚の腸内細菌の活用といった研究を行っており、中央研究所で所有しているエクストルーダー造粒機で試験飼料を製造して魚の飼育試験を実施しています。

試験用飼料
試験用飼料
試験水槽
試験水槽

CASE:桜島養魚がAIトラッキング魚体計数機を導入

当社はAIによる画像処理技術を用いた養殖魚の尾数を自動で計数するシステム開発を外部業者と行い、ブリ・カンパチを養殖するグループ会社(株)桜島養魚において、2020年4月から運用を開始しました。現在では(株)桜島養魚で 6 台、(株)アクアファームで 2 台導入しており、今後も拡大配備する予定です。(2021年度6月時点)
人手で計測していた沖合船上での養殖魚の尾数計数作業を自動化することで、これまで海上で一日中目視によりカウントしていた従業員の労務を軽減し、人為的ミスの削減により効率性が向上しました。従業員に優しく、かつ効率性向上という効果だけでなく、給餌量の適正化による海洋汚染リスクの低減も期待されます。 今後は本技術の運用を、サイズの小さい稚魚やブリ・カンパチ以外の魚種についても拡大していきます。

従来の計数作業から自動化へ
従来の計数作業から自動化へ

海外グループ会社の取り組み

CASE:海外グループ会社SOUTHEAST ASIAN PACKAGING AND CANNING 社(タイ)

SOUTHEAST ASIAN PACKAGING AND CANNING 社(以下、SEAPAC社。)では、調達する原料がIUU漁業によって漁獲されたものではないことを証明するために、2017年よりタイ漁業省とNGO「OceanMind」と協力してタイ領海内でコシナガマグロを漁獲する漁船の船舶行動監視プログラムに参加しています。2020年は合計23隻の漁船を対象としました。

当プログラムの実施は、SEAPAC社の調達する原料を漁獲する漁船が法規制を遵守した操業を行っていることを証明する一方で、監視プログラムそのものの改善にも貢献しています。

詳細は、下記WEBサイトにて公表しておりますので、そちらをご確認下さい。

https://www.kingfisher.co.th/Updates.php

CASE:オーストラル・フィシャリーズ社(オーストラリア)

オーストラル・フィッシャリーズ社が事業活動を展開しているオーストラリアの4つの主要な漁業は、持続可能な管理された漁業としてMSC漁業認証を取得しています。詳しくはオーストラル・フィシャリーズ社のWEBサイトをご確認ください。

https://www.australfisheries.com.au/sustainability

CASE:シーフード・コネクション社(オランダ)

シーフード・コネクション社でもMSC・ASC認証の水産物の取扱いを積極的に進めています。
2019年度にはNaturland 認証のナイルパーチフィレーの取扱いを始めました。

※Naturland(ドイツ有機農業協会):1982年、ドイツ南部を中心にした有機農法団体として、有機農業生産者と消費者が共同して設立。Naturlandの農家と加工業者は、Naturlandの基準に準拠して、リンゴからキャベツ、七面鳥からサーモン、オリーブオイル、コーヒーから牛乳まで、最高級の食品を製造しています。Naturland規格に準拠して生産されたすべての食品は、環境を保護し、雇用の安全を確保します。 現在、世界中に43,000以上のNaturland農場があり、Naturland基準に従って栽培しています。

https://seafoodconnection.nl/media/certficates/naturland.pdf

「水産流通適正化制度検討会議」へ委員として出席

世界の水産物需要が高まる中で、日本の漁業の成長産業化を図るためには、輸出を視野に入れた品質面・コスト面等で競争力ある流通構造の確立が必要と言われています。
このため、資源管理の徹底とIUU漁業の撲滅を図り、また輸出を促進する等の観点から、水産物の輸入大国である日本が国際的な責任を果たすためにも、欧米等で導入されているトレーサビリティの出発点である漁獲証明に係る法制度の整備が進められることとなりました。
より実効性のある制度が構築されるよう、2019年9月より水産庁漁政部加工流通課を事務局とした「漁獲証明制度に関する検討会」が開催され、違法に採捕された水産動植物の流通防止策について検討した結果、2020年12月特定水産動植物等の国内流通の定期成果等に関する法律が、成立・交付されました。同法は、特定第一種水産動植物および特定第二種水産動植物の指定基準や対象魚種など制度の詳細を政省令に委ねており、その内容について速やかに検討する必要があることから、リスクベースと実行可能性の両方の観点から制度の内容を議論する「水産流通適正化制度検討会議」が開催されることとなりました。
マルハニチロ(株)は2019年9月から2020年6月にかけて開催された「漁獲証明制度に関する検討会」に続いて、この「水産流通適正化制度検討会議」も委員として2021年5月17日の第1回から出席しています。
本会議へ継続的に出席、関与していくととともに、法制度の施行後は、本制度の適切な運用とマルハニチログループのサプライチェーン全体で持続可能な水産物の流通体制の構築をより強力に推し進めていきます。

今後に向けて

上記活動例を中心に、今後も当社グループでは持続的な水産物調達の実践に向けて活動を展開していきます。

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