重点課題(マテリアリティ)を見直した背景

マルハニチログループは、中長期的な企業価値向上と持続的成長につなげることを課題と捉え、2018年2月に特定したサステナビリティ分野における重点課題(マテリアリティ)を2021年2月より約1年をかけ見直しを行い、新中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」を策定しました。
社会、地球環境等のサステナビリティ課題への関心が世界的にますます高まり、事業を取り巻く外部環境も日々変化する中、マルハニチログループは、変化への対応、社内への重点課題の浸透、社内外のステークホルダーの意見を経営に反映していくことを重視し、9つの重点課題を特定しました。今後私たちは、それぞれの重点課題における「環境価値」「社会価値」の実現をめざしマネジメントを図っていきます。重点課題項目は継続的に見直していく予定です。

新中期経営計画策定と連動したマテリアリティ見直しプロジェクト

新たに特定した重点課題(マテリアリティ)

環境価値の創造

  • 1.気候変動問題への対応
  • 2.循環型社会実現への貢献
  • 3.海洋プラスチック問題への対応
  • 4.生物多様性と生態系の保全

社会価値の創造

  • 5.安全・安心な食の提供
  • 6.健康価値創造と持続可能性に貢献する食の提供
  • 7.多様な人財が安心して活躍できる職場環境の構築
  • 8.事業活動における人権の尊重
  • 9.持続可能なサプライチェーンの構築

重点課題(マテリアリティ)の特定・見直しプロセス

Step1 マテリアリティの候補となる評価対象項目の抽出

マテリアリティの見直しにあたり、その候補となる評価対象項目はGRI、ISO26000、SDGsなどの各種スタンダード項目に加え、現在の当社マテリアリティ、他社のマテリアリティ、日本政府が掲げる政策課題などをベースに社会課題を網羅的にロングリストとして484項目を抽出しました。ロングリストの項目について、類似項目を整理したうえで、当社グループのバリューチェーンとの関連性を考慮して絞り込み、43項目を評価対象項目(ショートリスト)としてまとめました。

Step2 社外ステークホルダーによる評価、ステークホルダーとのエンゲージメント(対話)、マルハニチログループ内自社視点評価

43項目にまとめたショートリストを、以下の社外ステークホルダーに送付し、項目ごとに当社にとっての重要性の評価およびその理由を記載いただきました。自社視点評価については、社内アンケートを実施しました。マルハニチロ(株)の執行役員、ユニット長、部署長66名を含む従業員1,576名の意見を収集することに加え、グループ視点を含めた幅広い視点を確保するため、国内外連結グループ会社社長50名からも意見を収集しました。
また、社外ステークホルダーの一つであるアセットマネジメントOne(株)エグゼクティブESGアナリスト櫻本恵氏と当社社長池見が重視すべきサステナビリティ課題について議論しました。

社外ステークホルダーからの主な意見

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
肥土 恵子 氏
  • 人権侵害が起こった場合の経済損失は大きいため、強制労働・児童労働を含めた人権への配慮は重要。
  • 海洋プラスチック漁業問題や海洋の生物多様性の保全は漁業への影響大きいため優先度高い。
株式会社レスポンスアビリティ代表取締役
JBIB(企業と生物多様性イニシアチブ)事務局長
足立 直樹 氏
  • 水産資源と周囲の生態系(生物)へ配慮した漁具の開発と移行は急務
  • ほとんどの水産資源が資源量ギリギリとなっていることにもっと緊張感と責任感を持つべき。資源管理や規制についてむしろ行政をリードしてほしい。漁法についても改善の余地はある。
ファースト・ペンギン創立者
黄 麗容 氏
  • フードロス削減において原材料の調達、加工、販売、破棄まで貴社が工夫できることはたくさんあると思う。
  • すべての資源・原材料は無限であるわけではなく、プラネットバウンダリーに直面している中、産学連携含めたオープンイノベーションの実践を最優先に取り組むことは効率的だと思う。
アセットマネジメントOne(株)エグゼクティブESGアナリスト
櫻本 恵 氏
  • 気候変動問題への対応は水産業界においても非常に重要。
  • サーキュラーエコノミーなど循環型社会にいかに対応していくかということも重要。
ことのは総合法律事務所 弁護士
佐藤 暁子 氏
  • 日本社会において、十分な人材がいないことがサステナビリティへの取組みが遅れている原因の一つであるため、持続的成長を担う人材への積極投資へも期待。
  • 日本社会において重大な問題となっているフードロスへの対応も急務。
株式会社日本政策投資銀行 執行役員
産業調査本部副本部長兼経営企画部サステナビリティ経営室長
竹ケ原 啓介 氏
  • 温室効果ガスの削減は、2050年ネットゼロに向けた戦略が業種・業態を問わず求められているため、特にコールドチェーンの観点から期待は大きい。
  • 環境に配慮した養殖事業の実践は、適応策、BCPに加えて、技術力の発現の場としても長期的な企業価値に影響する。
一般財団法人CSOネットワーク代表理事
古谷 由紀子 氏
  • 最近のCGコードの改訂にもみられるように、取締役会におけるサステナビリティへの取組みはますます重要になることから、ダイバーシティ、さらにはサステナビリティの専門家(できれば独立社外取締役)の存在が不可欠。
  • 強制労働・児童労働問題をはじめ人権に配慮した事業活動は企業にとって優先課題。
りそなアセットマネジメント株式会社
執行役員 責任投資部長
松原 稔 氏
  • 豊かな食生活の実現は、差別化要素にもなり、御社のアウトカムにもなりうる。
  • BtoCビジネスにおいては、パッケージング・容器包装の環境負荷低減は必須
認定NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC) 事務局長
若林 秀樹 氏
  • 企業活動全体として、環境と社会を両立させ、持続可能な経済活動に一貫性をもって取り組むべき。
  • 人権方針の策定、経営体制整備、研修、啓発、ステークホルダーとのエンゲージメント、救済等の継続的な人権デューディリジェンスに取り組む必要がある。

マルハニチログループ内の幅広い意見を収集

  • 執行役員・ユニット長・部署長66名を含むマルハニチロ(株)の従業員1,576名(全従業員の65%)の意見を収集
  • グループ視点を含めた幅広い視点を確保するため、国内外連結グループ会社社長50名や各地の生産拠点からも意見を収集
  • 自社視点評価では、安全・安心な食の提供、海洋プラスチック問題への対応、フードロスへの対応などの項目への支持が多数を占めている
  • 役員からは、海洋資源の枯渇リスクと関連する気候変動や人材への積極投資、ユニット長からは競争力強化に向けた研究・新製品開発の推進や多様性を備えた取締役会構成など、事業の持続性を意識した項目を重視する意見が出された

ステークホルダー(機関投資家)との対話

マテリアリティの見直しに際し、アセットマネジメントOne(株)エグゼクティブESGアナリスト櫻本恵氏と当社社長池見が重視すべきサステナビリティ課題について、議論しました。

ステークホルダー(機関投資家)との対話
ステークホルダー(機関投資家)との対話

議論の詳細はこちら

Step3 経営陣による議論、検討、マテリアリティの特定

社外ステークホルダー視点による評価を縦軸に、自社視点評価を横軸に評価対象項目をプロットし、マテリアリティ・マトリックスとして表しました。その後、重要性評価に加え、各評価対象項目の統合可否、表現等について、経営陣による議論、検討を重ね、以下の9項目をマテリアリティとして特定しました。

環境価値の創造

  • 1.気候変動問題への対応
  • 2.循環型社会実現への貢献
  • 3.海洋プラスチック問題への対応
  • 4.生物多様性と生態系の保全

社会価値の創造

  • 5.安全・安心な食の提供
  • 6.健康価値創造と持続可能性に貢献する食の提供
  • 7.多様な人財が安心して活躍できる職場環境の構築
  • 8.事業活動における人権の尊重
  • 9.持続可能なサプライチェーンの構築

各マテリアリティの2030年のありたい姿、基本的な考え方、貢献する主なSDGsは以下の一覧の通りです。

マテリアリティ KGI(2030年の
ありたい姿)
基本的な考え方 貢献する主なSDGs
①気候変動問題への対応 脱炭素や気候変動に対して業界における主導的地位を確立している 世界的な重要課題である気候変動は、マルハニチログループにとっても大変重要な課題です。海水温の上昇による水産資源への影響、異常気象による農畜産原材料への影響も考えられます。マルハニチロは気候変動問題への対応を全社レベルの重要課題と認識し、サステナブルなエネルギー活用による温室効果ガスの削減などを通して、気候変動問題に対応していきます。
②循環型社会実現への貢献 効率的な資源利用によるサーキュラーエコノミー(循環型経済)がグループ内に浸透し、実践している 循環型社会を実現するには事業活動で発生する廃棄物を管理、削減することが重要であり、食品を取り扱う企業にとってフードロスの発生やプラスチック廃棄物の有効利用率の低さが問題となっています。マルハニチロは、製品ライフサイクル全体で廃棄物の発生、フードロスを削減すること、パッケージング・容器包装の環境負荷低減のため、プラスチック資源循環戦略に則った使用量削減を進めていきます。
③海洋プラスチック問題への対応 自社を含むサプライチェーン上で海洋へのプラスチック排出ゼロを実践している 海洋プラスチック流出による環境汚染は世界的な重要課題で、海に深く関わっているマルハニチログループにとっても同様に重要な課題と捉えています。より効果的な活動とすべく、業界団体、関係NGO等と協力しながら、海洋プラスチック問題への対応を推進していきます。
④生物多様性と生態系の保全 取扱い水産資源について、資源枯渇リスクがないことを確認している 世界中の水産資源を始めとする多種多様な生物の恵みを受けながら事業活動を営むマルハニチログループにとって、生物多様性の保全は重要な課題です。持続的に当社グループが事業活動を粉っていくため、国際的な資源管理の推進、環境に配慮した養殖事業の実践など、事業に即した活動を推進することで、海洋および陸上の生物多様性、生態系の保全を推進していきます。
⑤安全・安心な食の提供 人々が安心できる食を世界中の食卓に提供している 本物・安心・健康な食を提供するために最も大切なことは「品質」であると考えています。設計・開発、調達、生産、物流、販売・コミュニケーションに至るバリューチェーンの全てのプロセスで、従業員一人ひとりが品質の担い手であるということを常に意識して品質の向上に取り組んでいきます。
⑥健康価値創造と持続可能性に貢献する食の提供 健康価値創造と持続可能性に貢献する食品トップ企業としてブランドを確立している 本物・安心・健康な「食」の提供を通じて、人々の豊かなくらしに貢献することはマルハニチログループの理念です。この理念の実現には、消費者の健康価値向上へ貢献し、社会課題・環境課題に配慮した持続可能な「食」を消費者に安定的に提供し続けることが必要不可欠だと考えています。マルハニチログループは、健康価値創造と持続可能性に貢献する「食」を提供し続けることで、お客さまの豊かなくらしに貢献していきます。
⑦多様な人財が安心して活躍できる職場環境の構築 多様性が尊重された、従業員が安心して活躍できる職場環境が構築できている マルハニチログループは、“企業は何よりも人にある”という社訓のもと、人の成長が企業の成長に大きく寄与すると考え、従業員の人権を尊重、公正かつ良好な労働条件を整備し、安全で働きやすい職場環境の構築に努めています。多種多様な人財を受け入れ、認めあうことで、ダイバーシティ&インクルージョンを実現するとともに、マルハニチログループの持続的成長を担う人財に積極投資し、従業員が能力を発揮できる組織風土づくりを進めていきます。
⑧事業活動における人権の尊重 自社含むサプライチェーン上で強制労働等の人権侵害ゼロを実現できている マルハニチログループは、世界中の水産物、農畜産物等自然の恵みを原材料として利用しながら、事業活動を営んでいます。持続的に事業活動を行っていくためには、強制労働・児童労働の禁止といった人権、労働慣行へ配慮したサプライチェーンの構築が必要不可欠であることを認識し、持続可能な調達の実践を進めていきます。
⑨持続可能なサプライチェーンの構築 サプライヤーとの協働により持続可能な調達網構築を実現できている マルハニチログループは、世界中の水産物、農畜産物等自然の恵みを原材料として利用しながら、事業活動を営んでいます。当社グループが事業活動を行っていくためには、社会的責任、環境に配慮した持続可能なサプライチェーンの構築が必要不可欠です。サプライヤーと共存共栄することを考慮しながら、持続可能な調達の実践を進めていきます。

2022年度からの中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」において、各マテリアリティの取組みを推進し、KPIの達成に向けて、進捗管理を行っていきます。

現サステナビリティ中期経営計画における重点課題(マテリアリティ)のPDCAマネジメント

現サステナビリティ中期経営計画(2018~2021年度)の重点課題(マテリアリティ)は、サステナビリティ推進委員会で進捗状況の報告とレビューを行っています。

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