持続可能なサプライチェーンの構築
基本的な考え方
マルハニチログループは日本および世界各地から水産資源や畜産物、農産物を調達しています。私たちが将来にわたって持続可能かつ安定した経営を実践していくためには、お取引先の皆さまと協働して、サプライチェーンにおける環境問題、人権や労働安全といった社会的側面への配慮に取り組んでいく必要があると認識し、CSRに配慮したサプライチェーンの構築に努めます。
マルハニチログループ調達基本方針/サプライヤーガイドラインの制定/アニマルウェルフェアに関するマルハニチログループ方針
2017年度、マルハニチログループでは、「グループ行動指針」および国連グローバル・コンパクト10原則や国際規格ISO26000の考え方にもとづき、「マルハニチログループ調達基本方針」および「マルハニチログループサプライヤーガイドライン」を制定しました。また、海外市場における公正な競争の実施と腐敗防止に関する「腐敗防止宣言」をコミットしています。
2022年にはサプライヤーガイドラインを第2版に改訂、IUU漁業の廃絶に関する項目を要求事項に追加し、サプライヤーの皆様に“トレーサビリティの徹底により、調達する水産物においてIUU漁業への関与のないことの確認”を依頼しています。加えて、2024年9月にトレーサビリティの確立、IUU漁業・人権侵害に関与していないことの確認をめざす
「マルハニチログループ水産物調達方針」を発行しました。
これらの方針/ガイドラインのお取引先さまへの周知徹底と定期的なモニタリングを実施するとともに、第2版への改訂に合わせてガイドライン解説書を作成しました。解説書にもとづき改善取組みを促すなど、管理体制の強化に努め、お取引先さまとともに誠実な事業活動を遂行するサプライチェーンを構築するための取組みを推進していきます。
マネジメント体制
マルハニチログループは、さまざまな事業を有し、そのサプライチェーンは幅広い分野にまたがっています。事業活動を通じた食品原料、製品、資材などの調達先は、「調達基本方針」に基づき選定し、「サプライヤーガイドライン」を軸としたお取引先さまとのコミュニケーションを通じて各事業部門が責任を持ってCSR調達を実践しています。また、IUU漁業や水産資源の枯渇への対応は当社グループが積極的に取り組むべき重要課題と捉え、2024年9月からは水産物に特化した調達方針(マルハニチログループ水産物調達方針)を新たに策定し運用を開始しました。これまでの基本調達方針に加え、より高いレベルでの環境価値、社会価値創出を目指し取り組んでいきます。
2030年のありたい姿(KGI)と達成目標(KPI)
マテリアリティ | 持続可能なサプライチェーンの構築 | ||
---|---|---|---|
KGI(2030年のありたい姿) | サプライヤーとの協働により持続可能な調達網構築を実現できている | ||
KPI | システムカバー率(MN) | サプライヤーガイドラインへの同意率・重要項目改善率(グループ全体) | |
ターゲット | 目標年 | 2024 | 2030 |
目標値 | 100% | 100% | |
2023年度 進捗 |
進捗結果と コメント |
マルハニチロ(株)のサプライヤーの64.0%をサプライヤー調査システムでカバー | サプライヤー調査システムを利用して調査を開始。サプライヤーガイドラインへの同意率42.5%(MN) |
自己評価 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | |
責任部署 | マルハニチロ(株)経営企画部 サステナビリティ推進グループ |
※MN=マルハニチロ(株)
責任者メッセージ

サステナビリティ推進グループ
グループ長
佐藤 雄介
当社グループは、数多のサプライヤーから原材料や製品などを調達し、事業活動を営んでいます。サプライチェーンの一元管理を目的に、2022年度よりサプライヤー調査システムの運用を開始しましたが、システムへの登録が想定していた以上に進まず、2023年度末時点で64%の登録に留まっています。
一方で、社会では人権侵害やIUU漁業への関与が疑われる事象が起きており、当社のサプライヤーが意図せず関与してしまう可能性も否定できません。サプライチェーンマネジメントを強化するには、サプライヤーの皆様のご理解、ご協力が必要不可欠ですが、それ以前に社内の理解、浸透をしっかりと進め、サプライヤーの皆様に展開していきたいと考えています。
Maruha Nichiro Value(MNV)の最大化に向け、丁寧に、根気よく社内外に取組みの意義、当社の使命を説明し、より一層強固で持続可能なサプライチェーンの構築に努めていきます。
マルハニチロの取組み
サプライヤー調査システムの導入とガイドライン改訂
マルハニチロ(株)は2022年度に「マルハニチロサプライヤー調査システム」を新規導入し運用を開始。サプライヤー調査と分析をシステム化することで、当社/サプライヤー双方において「データの蓄積」と「課題の見える化」が可能になりました。また、改訂後のサプライヤーガイドラインでは、IUU漁業廃絶、環境配慮、二次サプライヤーへの協力依頼の項目を明確化するとともに、ガイドライン解説書を作成しました。継続的に本ガイドラインの遵守をサプライヤーに働きかけ、解説書にもとづく改善取組みを促すなど、管理体制の強化に努めていきます。
サプライヤーガイドライン遵守状況の確認
2022年度は、導入したサプライヤー調査システムを用いて、改訂したサプライヤーガイドラインへの対応状況の確認のため、マルハニチロ(株)のサプライヤー1,000社を対象にサプライヤー調査を実施しました(結果は下表)。
2023年度はシステムへのサプライヤーの登録率を上げることに注力しましたが登録率は64.0%に留まりました。24年度は食品サプライヤーの登録率100%を実現の上、調査未実施のサプライヤーへの調査を実施、課題を分析し、問題が認められたサプライヤーに対しては改善への協力を仰いでいきます。また、包材サプライヤーなども含めた全てのサプライヤーへの範囲の拡大と、システムのグループ内への展開にも取り組んでいきます。
また、持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、品質保証部、生産管理部、経営企画部で購買管理に関する作業部会を設置し、連携した取組も進めています。当社グループの事業は多くのサプライヤーに支えられており、QCD(品質、コスト、デリバリー)に加え、ESGの側面からも評価することで、サプライチェーンはより強固なものになると考えています。社内での運用規定を整理し、持続可能な調達を実践するための仕組みづくりを目指していきます。
KPI進捗表
KPI | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|
2024年システムカバー率(MN) | 1,000社/1,996社(50.1%) | 1,399社/2,186社(64.0%) |
2030年サプライヤーガイドラインへの 同意率・重要項目改善率(G全体)100% |
- | - |
2030年サプライヤーガイドラインへの 同意率(MN) |
927社/1,996社(46.4%) | 929社/2,186社(42.5%) |
2030年サプライヤーガイドラインへの 重要項目改善率(MN) |
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2030年サプライヤーガイドラインへの 同意率(G全体) |
- | - |
2030年サプライヤーガイドラインへの 重要項目改善率(G全体) |
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「協力工場品質保証会議」によるサプライヤーへの周知徹底
マルハニチロ(株)では、サプライチェーンとの連携強化による品質保証レベルの向上を目的として、製品の製造にご協力いただいている国内の主な製造委託先の経営者の皆さまを対象とした「協力工場品質保証会議」を開催しています。
2023年度も引き続き、品質に関わる取組み、苦情・事故の発生状況の報告に加え、マルハニチロ㈱経営企画部担当者より、当社グループのマテリアリティについて、特にサプライチェーンマネジメントの取組みの進捗について説明・共有を行い、お取引先さまへのご理解とCSRに配慮したサプライチェーンを共に構築していくためのご協力をお願いしました。
本会議は今後も継続して開催し、周知の機会を設けることで、製造委託先の皆さまと情報の共有を図るとともに、取組み方針に対するご理解をいただき、サプライチェーンの連携強化に努めていきます。