トップメッセージ

私たちマルハニチログループは、社会・環境課題が刻々と変化していく中、企業として変革していくことが必要不可欠と考え、この度、企業としてのパーパス、ミッションを改めて策定しました。 パーパス:「For the Ocean, for life -海といのちの未来をつくる-」はマルハニチログループが何のために存在しているのか、その存在意義をあらわし、ミッション:「本物・安心・健康な食から広がる、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献する」は私たちが果たしていくべき使命です。 これからも持続的にマルハニチログループが存在し、使命を果たしていくためには、気候変動問題、天然水産資源の枯渇、世界的な食糧危機や人権侵害などの社会・環境課題の中で特に重要なものをマルハニチログループのマテリアリティと特定し、リスクを低減するための施策を講じ、機会を価値としてステークホルダーの皆様に提供していくことが必要だと考えています。
前中期経営計画策定時に掲げた環境価値・社会価値創造における9つのマテリアリティの進捗においては、すべての指標で着実な成果を上げ、次の成長に向けた確かな基盤を築くことができました。気候変動対応では2017年度比でCO2排出量が10%以上の削減となったことに加え、フードロス削減では2030年度目標を前倒しで達成、人財活用では有給取得率・離職率改善が採用力強化に寄与しました。生物多様性と生態系の保全の観点では、TNFDフレームワークに沿って、LEAPアプローチによるリスクと機会を抽出、対応策を開示しました。
このたび、2025年度からの新中期経営計画策定にあたり、マテリアリティに付随したKGI(2030年のありたい姿)や主なKPIについては、前中期経営計画での進捗状況をふまえて、一部変更を行いました。 例えば、当社グループ事業におけるリスク低減において特に重要なマテリアリティである「生物多様性と生態系の保全」については、“2027年までに一部魚種での電子トレーサビリティ方法の確立・運用開始”、を新たにKPIとして設定し、既存課題にDX推進を活用して取り組んでいく目標を新たに追加しました。 また大きなリスクにもなり得るマテリアリティである「持続可能なサプライチェーンの構築」については、新たなKPIとして“2027年までにCSR監査方法の確立と運用”、“IUU漁業由来水産物の調達回避方法の確立とロビー活動推進”を追加しました。IUU漁業由来水産物の調達回避は大きな課題である一方、一社の努力だけでは限界があるため、業界をけん引する立場で、ステークホルダーのみなさまとの共創により改善を図ってまいります。
マルハニチログループの強みは、「持続的なたんぱく質の提供」と「健康価値の創造」だと考えています。 リスク低減のためだけでなく、お客さまへ価値を提供していくための機会として、持続可能性と健康価値に関する当社の独自基準を設定し、その基準を満たす製品売上比率を2030年のKPIとして新たに掲げています。
これらの製品売上比率を拡大していくためには、これを推進する当社の従業員一人ひとりが心身ともに健康であり、個性や能力を最大限に発揮できることは大前提、すなわち健康経営が重要です。 従業員が高いエンゲージメントを持って、ウェル・ビーイングな状態で働ける職場環境と風土を醸成することで、「挑戦」と「共創」の文化を創出し、これからの当社グループの価値創造の原動力としていきたいと考えています。
マルハニチログループは、創業以来、海と自然の恵みを受けてきました。 私たちは「For the ocean, for life -海といのちの未来をつくる-」というパーパスのもと、地球全体の健康に寄与する「食」を世界に提供し、豊かな自然環境を次世代へ継承することを使命と考えています。 食のソリューションカンパニーとしてのマルハニチログループの未来にご期待ください。
2025年8月
マルハニチロ株式会社
代表取締役社長
池見 賢