TCFD提言への賛同を表明・シナリオ分析を実施

2021年度にマルハニチロ(株)はTCFD提言に賛同を表明し、「TCFDコンソーシアム」へ参画しました。同年より気候変動の影響についてTCFDが開示を推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」のフレームワークに沿った気候変動シナリオの検討および情報開示を開始しました。2021年度は養殖事業についてシナリオ分析を行い、2023年度は水産バリューチェーンを対象にその他の事業(漁業、水産商事、海外、加工食品、食材流通の各ユニット)についてもシナリオ分析を展開しました。2025年度は気候変動が水産資源に及ぼす影響についてシナリオ分析の精緻化を実施しました。今後も気候変動の財務情報開示を充実していきます。

TCFD ロゴ

ガバナンス

マルハニチログループのサステナビリティ推進体制

マルハニチログループでは、サステナビリティ戦略を推進するため、2018年に経営会議の直下にサステナビリティ推進委員会を設置しました。現在は常務執行役員が委員長を務め、マルハニチロ(株)代表取締役をはじめ、取締役を兼務する役付執行役員、関連部署担当役員、関連部署長を委員、社外取締役、監査役をオブザーバーとして構成されており、グループサステナビリティ戦略全般の企画立案や目標設定、およびグループ各社の活動評価をしています。「サステナビリティ推進委員会」は四半期ごとに年4回開催されており、マテリアリティ“生物多様性と生態系の保全”や”気候変動問題への対応”を含む各マテリアリティの進捗を各責任者およびプロジェクトリーダーが報告し、積極的な討議を行っています。サステナビリティ推進委員会で討議された内容は、少なくとも年4回、経営会議を通じて取締役会へ報告されます。

マネジメント体制
役員報酬(準備中)
気候変動問題への対応

Seafood Business for Ocean Stewardship (SeaBOS)に参画への参画

SeaBOS

SeaBOS (Seafood Business for Ocean Stewardship)は、世界水産大手企業6社と、海洋・漁業・持続可能性を研究する科学者が、持続可能な水産物の生産と健全な海洋環境を確保するために、科学的根拠にもとづく戦略と活動を協力しながら主導することを目的に2016年に設立されたグローバルなイニシアチブです。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)、特に「目標14 海の豊かさを守ろう」に積極的に貢献するとしています。
現在は下記5つのタスクフォースに分け、解決に向けた議論を行っています。

SeaBOSタスクフォースの図
※マルハニチロ(株)は、タスクフォースVの共同リーダー、タスクフォースⅠ、ⅢおよびⅥのメンバーとして活動しています。

マルハニチロはSeaBOSの立ち上げから参加し、2018年9月、組織設立と同時に当社社長(当時)の伊藤滋が初代会長に指名され、2020年10月まで会長として従事しました。現在はタスクフォースVの共同リーダー、タスクフォースⅠ、ⅢおよびⅥのメンバーとして活動しています。

SeaBOSの取組み

リスクと影響の管理

当社グループが事業活動を行ううえでの全社的なリスク管理については、法務・リスク管理部を中心に、マルハニチロ㈱各部署やグループ各社のリスク管理責任者、リスク管理担当者が連携して取り組む体制を整えています。「環境」ならびに「サステナビリティ関連」の短期的かつ影響度の高いリスクについては、毎年実施されるリスクマネジメントプログラムによりリスクの抽出から分析そして対応策の検討が行われ、経営会議に報告しています。加えてESG・サステナビリティに関連する中長期的なリスク・機会に対しては、サステナビリティ推進委員会において管理し、討議しています。特に気候変動と生物多様性の保全におけるリスクは重要リスクの一つと位置づけており、TCFDフレームワークに基づくシナリオ分析やTNFDのLEAPアプローチによって分析・評価したリスクと機会、対応策などについて管理・討議しています。

リスクマネジメント体制図

戦略

マルハニチログループは、生産・調達から食卓までの水産物を中心とした幅広いバリューチェーンで事業を行っています。気候変動は水産資源や原料調達への影響や大規模な自然災害による事業活動の停止など、グループの事業に影響を及ぼします。 脱炭素社会への移行に伴い、気候変動によりどのような事業リスクが顕在化し得るかについて、TCFD提言に基づくシナリオ分析を行いました。2021年度は養殖事業、2023年度は水産バリューチェーンを対象にその他の事業(漁業、水産商事、海外、加工食品、食材流通の各ユニット)についてもシナリオ分析を実施し、脱炭素への取り組みが進んだ1.5℃、および特段の緩和対策なく温暖化が進む4℃の世界観においてバリューチェーン全体を幅広く分析しました。加えて2025年度にはアラスカのスケソウダラとペルー沖のカタクチイワシについて、気候変動が資源量に及ぼす影響に関するシナリオ分析の精緻化を実施しました。

※マルハニチログループのシナリオ分析内容は下記をご覧ください。

指標と目標

マルハニチログループでは中期経営計画「海といのちの未来をつくるMNV2024」でマテリアリティの一つに”気候変動問題への対応”を定め、KGI(2030年のありたい姿)を”脱炭素や気候変動に対して業界における主導的地位を確立している”としています。そのKPIの一つでCO2排出量を指標とし、2030年度までにCO2排出量の2017年度比30%以上削減、2050年度までのカーボンニュートラル達成を目標としています。目標達成に向けて、2030年度までの期間を、更に3つの段階に分け、より細かい目標を設定しています。フェーズ1(2022~2024年度)ではCO2削減率10%、フェーズ2(2025~2027年度)にはCO2削減率20%、フェーズ3(2028~2030年度)はCO2削減率30%以上を目標にしており、最終的には2050年度末までにカーボンニュートラル達成をめざし、さまざまな取組みを進めていきます。

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