気候変動問題への対応
基本的な考え方
マルハニチログループの事業は、調達から生産・加工、販売まで独自のバリューチェーンで成り立っています。地球温暖化が事業活動に及ぼすリスクとして、水産物の漁場移動や農作物の産地移動、生態系の破壊による水産資源の枯渇を認識しています。こうしたリスクへの対応策として、効率的なエネルギー利用や設備投資を通じてCO2排出低減に努めます。
2024年度の進捗概要
前中期経営計画(2022年度~2024年度)結果
| マテリアリティ | 気候変動問題への対応 | |||
|---|---|---|---|---|
| KGI(2030年のありたい姿) | 脱炭素や気候変動に対して業界における主導的地位を確立している | |||
| KPI | CO2排出量削減ロードマップ策定(国内グループ) | CO2排出量削減率(2017年度比:国内グループ) | カーボンニュートラル達成(グループ全体*) | |
| ターゲット | 目標年 | 2022 | 2030 | 2050 |
| 目標値 | - | 30%以上 | - | |
| 前中期経営計画の自己評価と課題 | 進捗結果コメント | 2022年9月に策定・開示済 | CO2排出量を2017年度比13.3%削減 | カーボンニュートラル達成に向け各種施策実施中 |
| 自己評価※ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | |
| 責任部署 | マルハニチロ(株)サステナビリティ戦略部(旧経営企画部 サステナビリティ推進グループ) | |||
★★★☆☆︓2024年度KPI達成済み或いは2030年度KPI達成に向けて計画通り進捗、★★☆☆☆︓KPI達成に向けて遅れ気味
中期経営計画(2025年度~2027年度)KGI・KPI
| マテリアリティ | 気候変動問題への対応 | ||
|---|---|---|---|
| KGI(2030年のありたい姿) | 2050年カーボンニュー トラルを目指し、脱炭素や気候変動に対して業界における主導的地位を確⽴している | ||
| KPI | CO2排出量削減率(2017年度比:国内グループ) | 海外GのCO2排出量削減目標、国内GのScope3目 標設定 | |
| ターゲット | 2027年度目標 | 20%以上 | 目標設定 |
| 2030年度目標 | 30%以上 | - | |
| 責任部署 | マルハニチロ(株)サステナビリティ戦略部(旧経営企画部 サステナビリティ推進グループ) | ||
マルハニチロの取組み
CO2排出量削減プロジェクト
「気候変動問題への対応」としてCO2排出量削減をKPI に設定し取組みを進めていますが、取組みをより浸透・加速させるため、2023年度にCO2排出量削減プロジェクトを発足させ、拠点ごとの目標やCO2排出量削減手段の再検討を行っています。プロジェクトオーナーを常務執行役員、プロジェクトリーダーを生産企画部部長が担い、到達年度を含めた目標を定め、目標達成に向けて具体的取組みを進めています。
CO2排出量削減プロジェクト推進体制図

「脱炭素ロードマップ」に沿ったCO2排出量削減の進捗状況
2022年9月に策定した「脱炭素ロードマップ」では2030年度までを3つのフェーズに分けており、2017年度を基準年にフェーズ1(2022~2024年度)ではCO2削減率10% 、フェーズ2(2025~2027年度)にはCO2削減率20%、フェーズ3(2028~2030年度)は、CO2削減率30%以上を目標とし、最終的にはカーボンニュートラルをめざしています。
フェーズ1の最終年度となる2024年度は、2017年度比で33,784トンのCO2排出量を削減しました。同年比で13.3%の削減となり、フェーズ1目標である10%削減を達成しました。
2023年度から継続して、マルハニチロ(株)新石巻工場、(株)マルハニチロ九州、(株)サングルメ、(株)マルハニチロ養殖技術開発センターでの太陽光発電パネルが稼働し、2024年度は約144万kWhを発電、約677トンのCO2排出量を削減できました。加えて、日本サイロでは非化石証書の購入により、前年度比で年間1,176トンのCO2排出量削減を実現しました。
フェーズ2に入った2025年度には、非化石証明書の直営5工場の導入により、約2万5千トンのCO2排出量を見込んでおります。加えて、群馬工場では太陽光発電の導入により、43万kWhの発電、約191トンのCO2排出量削減等を見込んでおります。)今後もCO2フリー電力への切り替え、オンサイト・オフサイト太陽光発電パネルの設置等についても検討をすすめ、さらなる削減加速を図っています。






当社製品のカーボンフットプリントの算定を実施

2023年8月に、当社は環境省が主催する「令和5年度製品・サービスのカーボンフットプリント(以下、CFP)に係るモデル事業」の参加企業に選出され、冷凍食品「白身魚タルタルソース」のCFPを算定しました。2024年度は他の主力製品カテゴリのCFP算定の実施を目的に、フィッシュソーセージカテゴリより「DHA入りリサーラソーセージ 3本入り」、缶詰カテゴリより「さば水煮」のCFPを算定しました。リサーラソーセージは原材料の魚種の一部に、白身魚タルタルソース同様、環境に配慮したアラスカ産スケソウダラを用いており、またさば水煮は原材料であるさばの漁獲から製造まで、一貫して日本国内で実施していることにより、CO2排出量を低減できることが示唆されました。当社は引き続き、他の主力製品のCFP算定を進めていくとともに、環境に配慮した原材料を用いた食を積極的に提供し、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいきます。
CDP「気候変動レポート」で2年連続「A-」認定
当社は、世界有数の環境情報開示プラットフォームを運営する非営利団体であるCDP(本部:英国ロンドン)による「CDP気候変動レポート2024」に回答し、2023年度に続き2年連続で「A-」の評価を獲得しました。CDP気候変動の評価は、CDPが全世界で24,800社を超える企業を対象に調査を行い、企業が気候変動問題にどのように効果的に取組み、開示しているかにもとづきAからD-のスコアで評価するものです。
当社は、中期経営計画「For the ocean, for life 2027」のマテリアリティの一つとして「気候変動問題への対応」に取組んでおり、国内外拠点での太陽光発電パネルの設置や、養殖魚のライフサイクルアセスメントの実施、冷凍食品のカーボンフットプリント算定など、CO2排出量の削減に取り組んでいます。
CDPを通じた情報開示により、金融機関や顧客などのステークホルダーからのさらなる透明性向上への要請に応え、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。

スコープ1~3に関するデータ
マルハニチログループはスコープ1~3を算定しております。詳細は以下をご参照ください。
スコープ1~3に関するデータ(2024年度)第三者保障報告書(2022年度スコープ1~3)データ
開示データの信頼性確保のため、CO2排出量データ(スコープ1~3)について、検証機関による第三者検証を受けています。
上記スコープ1~3に関するデータ(オフセット分も除いたGHGプロトコルに準拠したデータ)のうち2022年度の第三社保証報告書は以下をご参照ください。
※第三者保証報告書は2022年度のスコープ1~3のデータを対象としています
第三者保証報告書
養殖魚のライフサイクルアセスメントを実施
マルハニチロでは2023年度より、早稲田大学伊坪教授とともに自社養殖事業(ブリ、クロマグロ)を対象としたライフサイクルアセスメント(以下、LCA)を実施し、現状の把握と課題の定量化を行いました。種苗の導入から出荷までの生産段階を対象とし、当社主要養殖魚であるブリとクロマグロについて、一連のライフサイクルにおけるCO2排出量の算定、ならびにLIME3による環境影響評価を実施しました。本評価により、自社養殖事業の現状の把握と課題の定量化を行うことができました。今後は本算定結果をもとに、効果的な環境負荷低減施策を検討し、持続可能な養殖業の発展を目指します。
本結果は、第20回日本LCA学会にて報告しました。
※ライフサイクルアセスメント:製品・サービスのライフサイクル全体における環境負荷を定量的に評価する手法
冷凍冷蔵機器の脱フロン化の推進
マルハニチログループでは、冷凍冷蔵機器の脱フロン化対応を進めています。
マルハニチロ㈱直営工場では、2012年度より順次、主要な冷凍冷蔵設備の脱フロン化を進めており、今後新規導入する主要冷凍・冷蔵機器の100%を自然冷媒機器にしていきます。
(株)マルハニチロオーシャンでは、2022年度、冷凍・冷蔵倉庫用の高効率自然冷媒冷凍機で冷却するノンフロン装備を導入しました。こちらは、環境省の「脱フロン・低炭素化社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」として採択され補助を受けています。2024年度は、年間約3578トンのCO2排出量を削減しました。


2023年度、2024年度は新たに、(株)サングルメ・(株)マルハニチロ畜産 札幌工場・(株)マルハニチロ物流 九州支社 箱崎物流センターにて、ノンフロン設備を 導入しました。これらはすべて令和5年度 環境省補助事業「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」として採択され補助を受けています。3拠点合わせ、年間で約1591トンのCO2排出量を削減しました。更に、2025年度には下関工場にてノンフロン冷蔵冷凍機を一台導入予定です。



既設機器を含めた自社内のすべての主要冷凍冷蔵機器のうち、自然冷媒機器が占める割合
| 年度 | 2025年(現時点) | 2030年(目標) | 2040年(目標) | ||
|---|---|---|---|---|---|
| カテゴリー | 主要冷凍機 総数 |
冷媒種類内訳 | 自然冷媒機 | 自然冷媒機 | |
| フロン機 | 自然冷媒機 | ||||
| 台数 | 51 | 26 | 25 | 40 | 51 |
| 自然冷媒機器が占める割合 | - | - | 49% | 78% | 100% |
※主要冷凍機の総数:51台