SALMON MUSEUM サーモンミュージアム

サケの養殖事業
世界のサケマス養殖
サケの養殖事業(1)サケの種類別
FAO.2004. FAO yearbook Fishery Statistics
MAJOR FISHING AREAS FOR STATISTICAL PURPOSESより改図
2005年、世界中のサケマス種類別の養殖生産量を見ますと、第1位は大西洋サケ(123.6万トン)で、主産地はノルウェー、チリ、イギリス、カナダ、フェロー諸島、アメリカ、オーストラリア及びアイルランドです。
第2位はニジマス(48.7万トン)。主産地はチリ、ノルウェー、デンマーク、フランス、スペイン、イタリア及びイランです。
第3位はギンサケ(11.7万トン)で、主産地はチリ、日本、カナダです。第4位はブラウントラウト(2.5万トン)。主産地はロシア、スペイン、フランス、ポーランド及びイギリスです。第5位はマスノスケ(2.4万トン)で、主産地はカナダ、ニュージーランド、チリです(表1)。
大西洋サケ(アトランティックサーモン) ギンザケ
ニジマス(トラウト) マスノスケ(キングサーモン)
表1 世界のサケマス養殖生産量
出典:Global Production & Capture Statistics 1950-2005より作成
サケの養殖事業(2)主要生産国の特徴
サケマス養殖の活発な主要4ヶ国(ノルウェー、チリ、イギリス、カナダ)について、その特徴を見てみましょう。
表2 主要4ヶ国 国別・魚種別養殖生産量
出典:Global Production & Capture Statistics 1950-2005より作成
ノルウェー 1985年3.5万トンであった生産量は1995年にはその8倍の27.5万トンに増え、2005年には64.1万トンと世界のサケマス養殖生産量の33%を生産する一大養殖国となっています。養殖に適した静穏なフィヨルド海域や大西洋サケに適した水温といった環境条件に恵まれ、大西洋サケに注目するとその全生産量の量(124万トン)の47%を生産しています(表2)。
チリ 1985年0.1万トンであった生産量は1995年には141倍の14.1万トンに増え、2005年には59.8万トンとなり、世界のサケマス養殖生産量の31%を生産し、ノルウェーに次ぐ世界第2位のサケマス養殖生産国となっています。養殖に適した広大な静穏海域やサケの生育に適した水温帯が周年確保できるといった好条件に恵まれ、大西洋サケだけでなくニジマス(トラウト)、ギンサケ、マスノスケといった魚種をも生産できる自然条件を備えた数少ない国です。高品質魚粉・魚油が確保できるといった飼料原料に恵まれていること、北半球の消費国への供給メリットも含め、近い将来ノルウェーの生産量を凌ぐとの予測もあります。
イギリス 1985年1.9万トンであった生産量は1995年には4.6倍の8.7万トンに増え、2005年には14.3万トンと世界のサケマス養殖生産量の7.3%を生産しています。ノルウェーと同様、大西洋サケが主要魚種です。
カナダ 1985年0.2万トンであった生産量は1995年には25倍の4.9万トンに増え、2005年には10.3万トンとサケマス養殖生産量の5.3%を生産しています。カナダの特徴は大型魚種であるマスノスケの生産が1.4万トンと多いことです。この値はマスノスケ総生産量3.7万トンの38%に相当します。
グラフ1 主要サケマス養殖4ヶ国の生産量推移
出典:Global Production & Capture Statistics 1950-2005より作成
世界の天然サケマス漁獲量
サケマスの養殖生産量は、1996年から天然のサケマス漁獲量を上回るようになりますが、依然として、世界中には様々の天然サケマスが生息しています。分類を見るとサケ属、サルモ属、イワナ属、イトウ属、コレゴヌス属等11属があり、合計78種類以上のサケの仲間が存在します。
日本が技術を確立した「サケのふ化放流」をはじめ、天然で漁獲される魚種の95%は、サケ属のシロサケカラフトマスベニサケギンサケマスノスケニジマスサクラマスの7種類によって占められます(表3)。
世界で捕獲されている天然サケマスの漁獲量の推移を以下ご紹介し(表3)、次に、養殖と天然を合わせた世界中のサケマス総生産量(表4)をご紹介いたします。
カラフトマス
シロサケ ベニザケ
表3 世界のサケマス(天然)漁獲量
出典:Global Capture Statistics 1950-2005より作成
世界のサケマス総生産量(養殖+天然)・・・・・魚種別・国別生産量

2005年のサケマスの総生産量は296.7万トンです。その主な内訳は大西洋サケ124万トン、ニジマス49.1万トン、カラフトマス45.6万トン、シロサケ31.8万トン、ベニサケ14.7万トン、ギンサケ13.6万トン、マスノスケ3.7万トン等となっています。
尚、日本で余り聴きなれないコレゴヌス属4.4万トン(内養殖生産量0.5万トン)とありますが、この魚種はフィンランド、カナダ、アメリカ、ロシア、ヨーロッパの淡水域に広く分布し、日本では長野県でシナノユキマスとして養殖されています。1キロ以上になると脂が乗って大変美味しい魚です(写真参照)。

コレゴヌス(シナノユキマス)提供:根本雄司二

サケマスの総生産量は20年前の1985年の112.8万トンに比べ2.6倍に、10年前の1995年の205.3万トン比べ45%の増加となっています(表4)。

国別生産量は同じく2005年を見ますと、ノルウェー64.2万トン(21.6%)、チリ59.8万トン(20.2%)、アメリカ45.0万トン(15.2%)、日本29.0万トン(9.8%)、ロシア28.6万トン(9.6%)、イギリス14.3万トン(4.8%)、カナダ13.8万トン(4.7%)、その他諸国42.0万トン(14.1%)となります。

表4 世界のサケマス総生産量
出典:Global Production Statistics 1950-2005より作成
1996年、生産量でサケマスの養殖モノが天然モノを抜きました。
2005年総生産量のうち、養殖生産量の占める割合は65.9%の195.6万トンと高く、天然漁獲量を1996年に上回り現在に至っています。
天然漁獲量は横這いが続いていますが、養殖生産量は増加傾向が今後も続くと予想されています(グラフ2)。
グラフ2 サケマス天然漁獲量と養殖生産量の推移
出典:Global Production & Capture Statistics 1950-2005より作成
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