SALMON MUSEUM サーモンミュージアム

ベニザケ

ベニザケ

形態1成魚

全長 約60cm(降海型)

背びれ約13軟条、尻びれ約15軟条、胸びれ約16軟条、腹びれ約11軟条、側線鱗数約130。

背部は濃い青緑色。体側は銀色。腹部は銀白色。体の背部に黒点はほとんどありません。

形態2卵・仔稚魚

卵は球形で、直径約5mm、卵黄は濃いオレンジ色か赤色。
稚魚のパーマークは楕円形で数は約10個、ほぼ側線上に並んでいます。

形態3産卵期

成熟が進み、生殖期に入ると、オスもメスも頭部からほほの顔面部がくすんだオリーブ色になり、体側が赤くなります。特にオスは鮮やかな赤色に変ります。背びれやあぶらびれ、尻びれ、尾びれは黒い緑色です。また、形状も大きく変ります。オスは背部がわずかに盛り上がり、吻(フン)も上部にそりあがり、先はかぎ型に曲がり、あごも上に伸びます。

生態1産卵

ベニザケは日本の河川にはほとんど遡上しませんが、サケ属の仲間の中では最も母川回帰性が強く、的確に母川を認識します。
ベニザケは、途中に湖があり、湖に注ぎ込む川の最も上流域で産卵するのが一般的です。また、湖の岸辺で湧水の出る砂利層にも産卵床をつくることがあります。産卵期は7月から12月。
産卵行動は、サケと同様で、尾びれで砂利を巻き上げて、産卵床をつくります。

生態2体内卵数

体内卵数は体長によって、約200~4000個と個体差があります。

生態3仔稚魚の生活

4~5月に浮上した仔魚は、砂利層から出るとすぐ、下流の湖に下りて、この湖で1~2年間過してから(北方では3~5年間過すものもいます)、4~5月に海に下ります。 湖では、ミジンコやケンミジンコ、プランクトン、甲殻類をよく食べ、またユスリカのさなぎや小さな昆虫なども餌にしています。

生態4成魚の生活

海に出て、北太平洋を回遊し始めると、プランクトンを中心にイカやオキアミ、カイアシ、小魚などを餌にしています。
アメリカ系ベニザケとアジア系ベニザケの海洋における生活域は分かれており、その境界は東経175°~西経175°と考えられています。それぞれ回遊を2、3年した後、生まれた川に帰っていきます。

分類:サケ科サケ亜科サケ属
学名:Oncorhynchus  nerka  (Walbaum)
英名:sockeye salmon・red salmon(降海), kokanee(陸封)
地方名:
降海型・・・ベニザケ・ベニマス(別名)
陸封型・・・ヒメマス(全国)・カバチェッポ(北海道)カバチェップ(阿寒湖)、トワダマス・ワイナイマス(十和田湖)、クニマス(秋田県田沢湖:絶滅したといわれています)

鮭の住んでいる所

北大西洋、ベーリング海、オホーツク海に分布。
アジアでベニザケが遡上する川は、南千島からオホーツク海沿岸を経て、アナディル湾沿岸の河川。北アメリカでは、カルフォルニア州沿岸からアラスカ州北部沿岸の河川。
特にカナダのバンクーバーに流入するフレーザー川上流のアダムス川は有名です。
また、湖沼残留型では、北海道の阿寒湖、チミケップ湖(網走川)、支笏湖、洞爺湖にヒメマス(天然魚)が生息しています。本州では十和田湖、中禅寺湖には北海道から移植したヒメマスが生息しています。

成魚の成熟段階 成魚の成熟段階
生態5成長過程

湖での淡水生活期における成長スピードはかなり速く(特に、1年目)、条件がよければ、14cm程度にまで成長します。降海したものは通常4~5年で成熟し、40~65cmまで成長します。シロサケ同様、一回産卵・放精すると、力尽きて死んでしまいます。

加工・食物としての利用

缶詰、刺身、塩焼き、塩ザケ、フライ、スモークサーモン、フレークなど。

栄養成分(可食部100g当たり)

エネルギー154.0kal

エネルギー 138.0Kcal 各サケの脂質の差がエネルギーの差になっています。牛肉や豚肉より断然ライトでヘルシー。健康食品として良質なエネルギー源です。
タンパク質 22.5g サケのタンパク質には、栄養素として重要な必須アミノ酸が多く含まれています。必須アミノ酸はイソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの8種ですが、FAO/WHO/UNU(1985)の基準ではヒスチジンも加え9種としています。
脂質 4.5g サケの脂質には、生活習慣病に予防効果のあるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)、が多く含まれています。
脂肪酸EPA 0.26g 血液をさらさらにして血栓の生成を抑え、脳血栓や心筋梗塞を予防します。血中コレステロールの低下作用・血圧低下作用・血糖値低下作用が認められています。
脂肪酸DHA 0.44g 子供の脳の発達に必要で母乳にも含まれています。また、老人性痴呆症予防や網膜反射機能の向上にも効果があることが分かってきました。
アスタキサンチン 2.7mg サーモンの身が赤いのはアスタキサンチンが豊富に含まれているからです。アスタキサンチンとはベータカロテンと同様、天然色素で健康の味方です。体内の活性酸素を抑え、動脈硬化を防止し、ガンの予防にも効果があるといわれています。※ニジマス(海面養殖・淡水養殖)のアスタキサンチン量は餌により変動することがあります。
※参照:北海道大学名誉教授 羽田野六男氏のデータより/『サケを食べれば若返る』(鈴木平光著/たちばな出版)157ページ表20、各サケのアスタキサンチン含有量(『活性酸素に攻め勝つアスタキサンチン』板倉弘重氏ハート出版より)
ビタミン類
ビタミンA
〔レチノール〕
27.00μg 胃腸や気管支などの粘膜を正常に保ち、皮膚の状態を整えます。不足すると視力低下や肌荒れ、また風邪にかかりやすくなります。
ビタミンB2
(リボフラビン)
0.10mg ホルモンを正常化する働きがあります。最近では肌荒れにも効果があると言われています。B2の欠乏症は口唇炎や口角炎です。
ビタミンB12
(シアノコバラミン)
9.40μg B12は鮭に多く含まれていてるビタミンです。B12が不足すると、正常な赤血球が減って、巨赤芽球という正常でない赤血球ができてしまい、悪性貧血という病気を引き起こします。
ビタミンD
(カルシフェロール)
33.00μg ビタミンDは骨のビタミンとも言われ、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。
不足すると近年問題になっている「骨粗しょう症」になります。
ビタミンE
(トコフェロール)
1.30mg Eは老化を防ぎ、若さを保つビタミンとも言われています。不足すると血行障害や老化現象が進み、 極度の冷え性になったり、動脈硬化が進んだり、妊婦は流産しやすくなります。
ミネラル類
カルシウム 10.00mg カルシウムCaは骨や歯を作るだけではなく、みずみずしい肌には欠かせないものです。Caは吸収しにくいミネラルで、Caの吸収のためにはビタミンDが必要です。
リン 260.00mg 体内ではリン酸カルシウム、リン酸マグネシウムの形で骨や歯の主成分となり、血液中ではリン酸塩として血液に酸やアルカリを中和する働きをします。
0.4mg 鉄Feが欠乏すると、血液色素のヘモグロビンが減少して貧血症になります。動物性食品に含まれる鉄は体内への摂取率がよく、摂取量の15~20%が体内に吸収されます。
亜鉛 0.5mg 亜鉛Znは広く細胞全体に存在し、DNAやタンパク質の合成に関与しています。不足すると、免疫機能が低下します。食べ物を食べても、味を感じなくなる味覚障害、これも現代人のZn不足が原因している場合があります。

※ただし、EPA、DHAは試料肉100g当たりの重量です。

漁法

刺し網漁/巻き網漁/定置網漁