鮭と食
タンパク質は20種類のアミノ酸が組み合わさって結合してできています。そのうち9種類のアミノ酸は栄養学的に必須アミノ酸と呼ばれています。残りの11種類のアミノ酸は糖質や脂質からでも人の体内で合成されますが、必須アミノ酸は体内で合成されませんので、必須アミノ酸を多く含む動物性タンパク質を摂取しなければなりません。
タンパク質の栄養価は、必須アミノ酸の人の必要量と比べて判定(アミノ酸スコア)します。サケのタンパク質のアミノ酸スコアはすべて100点満点です。また、消化吸収率も99%であることから、良質のタンパク質と言えます。
(注・・・必須アミノ酸は、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジンの9種)
1.多価不飽和脂肪酸EPAとDHAの働き
脂質を構成する脂肪酸のうちEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)はサケには多く含まれています。
これらの脂肪酸には血液の流れをよくする(サラサラにする)働きがあり、さらに血管の若返りにも役立ちます。
その結果、高血圧の予防にも効果があります。
(注・・・EPAは今、学会ではIPA(イコサペンタエン酸)としています)
次の図表からわかるように、脂肪量が北洋のサケに比べ秋サケは50%以上へっているにもかかわらず、EPAとDHAの残存率が60~75%になっています。このことから、秋サケにはEPAとDHAが濃縮されており、生活習慣病予防にも効果がバツグンといえます。
脂質を構成する脂肪酸のうちEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)はサケには多く含まれています。
これらの脂肪酸には血液の流れをよくする(サラサラにする)働きがあり、さらに血管の若返りにも役立ちます。
その結果、高血圧の予防にも効果があります。
(注・・・EPAは今、学会ではIPA(イコサペンタエン酸)としています)
次の図表からわかるように、脂肪量が北洋のサケに比べ秋サケは50%以上へっているにもかかわらず、EPAとDHAの残存率が60~75%になっています。このことから、秋サケにはEPAとDHAが濃縮されており、生活習慣病予防にも効果がバツグンといえます。
DHAの生理作用はEPAとよく似ていますが、EPAに代行できない、DHA特有の働きがあります。それは「頭をよくする働き(健脳効果)」です。DHAは、脳の神経細胞の膜に入り、情報のやり取りを円滑に保つとともに、情報アンテナの成長を助けています。そのため、DHAが脳に豊富にあると、脳の情報ネットワークが充実し、脳の働きがぐんと向上すると言われています。
健脳効果は、イギリスの小児科医A・ルーカス博士らが1992年に未熟児のうちDHAを含む母乳で育てた子供210名とDHAが入ってない粉ミルクで育てた子供90名について、8歳になった時に知能指数(IQ)を調べました。その結果、母乳で育てたグループのIQは平均103.0、粉ミルクで育てたグループは平均92.8で、母乳で育てたほうが10ポイント高かったと報告しています。
●DHAを含むリン酸脂質をとり込んだ赤血球の柔軟性で、血液は流れやすくなります。
赤血球の毛細血管モデル通過状態
細川・高橋・菊池・羽田野:J.Amer.Oil. Chem.Soc. Vol.72, No11(1996)
※マイクロチャンネルは農水省食品総合研究所の菊池佑二博士が開発。
サケの身はサーモンピンクと呼ばれるように鮮やかな赤橙色をしています。この色素がアスタキサンチンです。万病のもととして恐れられている活性酸素を消去する働きがあります。とくに動脈硬化のもとになる「悪玉」コレステロールをできにくくします。LDLコレステロールが活性酸素で酸化されると「悪玉」コレステロールとなり、べたべた血管にはりつきますが、アスタキサンチンはこのLDLコレステロールの酸化を防ぐことができるのです。また、アスタキサンチンは免疫力を正常に保つうえでも有効です。
サケの肉にはいろいろなビタミンが含まれていますが、特徴的なビタミンをご紹介します。
1.ビタミンB12
ビタミンB12は金属コバルトをもったビタミンで、その欠乏症は鉄欠乏症貧血とは異なり、正常な赤血球が減って巨赤芽球という赤血球ができ悪性貧血症となります。
サケにはこの悪性貧血を予防するビタミンB12が多く含まれています。
2.ビタミンD
カルシウムは吸収されにくい栄養素ですが、ビタミンDは「骨のビタミン」とも言われ、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。ビタミンDの補給源はキノコ類か魚介類ですが、サケにはビタミンDの含有量がとても多いのです。サケの切身1切れで、ビタミンDの1日の所要量をゆうゆうクリアできます。
サケの肉のビタミン(肉100g当たり)
A(μg) | B12(μg) | D(μg) | E(mg) | |
カラフトマス | 13 | 4.6 | 22 | 0.7 |
ギンザケ(養殖) | 36 | 5.2 | 15 | 1.8 |
サクラマス | 63 | 7.6 | 10 | 2.3 |
シロサケ | 11 | 5.9 | 32 | 1.2 |
大西洋サケ(養殖) | 17 | 8.9 | 10 | 3.4 |
ニジマス | 67 | 5.7 | 11 | 5.8 |
ベニザケ | 27 | 9.4 | 33 | 1.3 |
マスノスケ | 160 | 3.4 | 16 | 3.3 |
五訂増補 日本食品標準成分表(平成17年:2005年)
文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会編
引用文献:「大自然の恵み 天然魚秋サケの魅力」編著 羽田野六男
(株)北日本海洋センター 平成15年7月23日発行
『サケを食べれば若返る』 著者 鈴木平光
たちばな出版 2002年10月26日第1刷発行