SALMON MUSEUM サーモンミュージアム

サクラマス(陸封型:ヤマメ)

サクラマス(陸封型:ヤマメ)

形態1成魚

全長 約55cm

背びれ約14軟条、尻びれ約13軟条、胸びれ約14軟条、腹びれ約10軟条、側線鱗数約130。

背部は濃青色で、背びれが黒く、体側はやや橙色がかった銀白色。体の背部、背びれ、あぶらびれ、尾ひれに黒点が散在します。降海するものはパーマークや黒点が体側から消え、銀白色となります。

形態2卵・仔稚魚

卵は球形で、直径約6mm、卵黄はオレンジ色か鮮やかな赤色。
稚魚には大ぶりのパーマークが約8個あり、ほぼ側線が中央を通っています。その上にも大きめの黒い紋が並んでいます。

形態3産卵期

降海型では、生殖期にオスの吻(フン)は伸び、下あごも曲がります。オス、メスともに腹部が黒くなり、オスの体側には、赤色、濃い茶色、黒色のブナ模様ができます。
陸封型では、生殖期にメスの腹部が少し黒くなり、オスの背部が紅くなるものの、目立って大きく変化するわけではありません。

分類:サケ科サケ亜科サケ属
学名:Oncorhynchus  masou (Brevoort)
英名:masu salmon,cherry salmon(降海型),salmon trout(陸封型),
地方名:
降海型・・・サクラマス、マス、ホンマス(全国)、イタマス、イチヤニマス(北海道・東北)
陸封型・・・ヤマメ(全国)、ヤマベ(北海道・東北)、スギノコ(青森)、シマメ(長野)、アマゴ・アメゴ(関西:混称)、ヒラメ(山陰:混称)、エノハ、マダラ(九州:混称)ギンケ(全国)

鮭の住んでいる所

太平洋側では神奈川県以北、日本海側では熊本県以北の九州、本州、北海道、朝鮮、シベリア、サハリンなどに広く分布します。

生態1産卵

春の雪解け時に海から遡上し、夏まで定住する場所をさがします。次に秋の台風シーズンの大雨を利用してさらに上流へ移動します。つまり、サクラマスは2段階の遡上を行い産卵期の9~10月に上流の産卵場に到達します。産卵床は浅瀬の砂利層につくられます。体長60cmくらいのメスと、小型のオスがペアになります。回りに約20cmくらいのヤマメのオスが、2,30匹待機しています。産卵時には、産卵とともにヤマメのオスも一斉に産卵床に入り放精します。
産卵期はサハリンで7~8月、北海道で8~9月、北陸で9~10月、九州で10~11月。

生態2体内卵数

体内卵数は、サクラマスで約4000個、ヤマメで約200個です。

生態3仔稚魚の生活

春4~5月に浮上し、水生昆虫を餌にします。イワナやアメマスよりも下流を生活域とし、なわばりをもちます。
降海するのは翌年の3~6月(まれにはもう1年たった3~6月)で、この時点ではパーマークが消え、銀白色になっています。このときの体長は約10~20cmです(ただし、川に残留するものにはパーマクークがそのまま残こります)。

生態4成魚の生活

7~10月にかけてオホーツク海で海洋生活をおくります。主な食物は甲殻類や小魚、さまざまな浮遊動物です。
降海した年の10月には沿岸沖合いに姿をあらわし、沖合いでひと冬越した後、翌年3~6月ごろ遡上をはじめます。川を遡る際にも絶食しないのが特徴で(餌は水生昆虫など)、かなり上流にまでのぼります。

生態5成長過程

降海するものは約10~20cmになった頃に海へ下り、2年半で成熟して(体長40~60cm)、母川回帰します。シロサケ同様、一回産卵・放精すると、力尽きて死んでしまいます。一方、川に残留するものの大半は2年で成熟します。

加工・食物としての利用

ヤマメは塩焼き、サクラマスはスシによく使われます。

栄養成分(可食部100g当たり)

エネルギー161.0Kcal

エネルギー 161.0Kcal 各サケの脂質の差がエネルギーの差になっています。牛肉や豚肉より断然ライトでヘルシー。健康食品として良質なエネルギー源です。
タンパク質 20.9g サケのタンパク質には、栄養素として重要な必須アミノ酸が多く含まれています。必須アミノ酸はイソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの8種ですが、FAO/WHO/UNU(1985)の基準ではヒスチジンも加え9種としています。
脂質 7.7g サケの脂質には、生活習慣病に予防効果のあるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)、が多く含まれています。
脂肪酸EPA 0.62g 血液をさらさらにして血栓の生成を抑え、脳血栓や心筋梗塞を予防します。血中コレステロールの低下作用・血圧低下作用・血糖値低下作用が認められています。
脂肪酸DHA 0.74g 子供の脳の発達に必要で母乳にも含まれています。また、老人性痴呆症予防や網膜反射機能の向上にも効果があることが分かってきました。
アスタキサンチン 0.4mg サーモンの身が赤いのはアスタキサンチンが豊富に含まれているからです。アスタキサンチンとはベータカロテンと同様、天然色素で健康の味方です。体内の活性酸素を抑え、動脈硬化を防止し、ガンの予防にも効果があるといわれています。※ニジマス(海面養殖・淡水養殖)のアスタキサンチン量は餌により変動することがあります。
※参照:北海道大学名誉教授 羽田野六男氏のデータより/『サケを食べれば若返る』(鈴木平光著/たちばな出版)157ページ表20、各サケのアスタキサンチン含有量(『活性酸素に攻め勝つアスタキサンチン』板倉弘重氏ハート出版より)
ビタミン類
ビタミンA
〔レチノール〕
63.00μg 胃腸や気管支などの粘膜を正常に保ち、皮膚の状態を整えます。不足すると視力低下や肌荒れ、また風邪にかかりやすくなります。
ビタミンB2
(リボフラビン)
0.11mg ホルモンを正常化する働きがあります。最近では肌荒れにも効果があると言われています。B2の欠乏症は口唇炎や口角炎です。
ビタミンB12
(シアノコバラミン)
7.60μg B12は鮭に多く含まれていてるビタミンです。B12が不足すると、正常な赤血球が減って、巨赤芽球という正常でない赤血球ができてしまい、悪性貧血という病気を引き起こします。
ビタミンD
(カルシフェロール)
10.00μg ビタミンDは骨のビタミンとも言われ、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。
不足すると近年問題になっている「骨粗しょう症」になります。
ビタミンE
(トコフェロール)
2.30mg Eは老化を防ぎ、若さを保つビタミンとも言われています。不足すると血行障害や老化現象が進み、 極度の冷え性になったり、動脈硬化が進んだり、妊婦は流産しやすくなります。
ミネラル類
カルシウム 15.00mg カルシウムCaは骨や歯を作るだけではなく、みずみずしい肌には欠かせないものです。Caは吸収しにくいミネラルで、Caの吸収のためにはビタミンDが必要です。
リン 260.00mg 体内ではリン酸カルシウム、リン酸マグネシウムの形で骨や歯の主成分となり、血液中ではリン酸塩として血液に酸やアルカリを中和する働きをします。
0.4mg 鉄Feが欠乏すると、血液色素のヘモグロビンが減少して貧血症になります。動物性食品に含まれる鉄は体内への摂取率がよく、摂取量の15~20%が体内に吸収されます。
亜鉛 0.5mg 亜鉛Znは広く細胞全体に存在し、DNAやタンパク質の合成に関与しています。不足すると、免疫機能が低下します。食べ物を食べても、味を感じなくなる味覚障害、これも現代人のZn不足が原因している場合があります。

※ただし、EPA、DHAは試料肉100g当たりの重量です。

漁法

釣り/定置網漁/養殖