そして、後は地道な調査や研究で新しく得た知識によって、(1)良い卵を採り、(2)良いふ化をさせ、(3)健康で大きい稚魚を育て、(4)川や海での生息条件が最も良い時に放すこと、を実践したのでした。
具体的には、採卵するまで親魚は生まれたふ化場の用水(湧き水)に収容する。近寄らない。驚かさない。卵の管理は水を十分調整する。稚魚池の砂利を丁寧に敷く。十分に流れの調整をして暗くする。そこでは稚魚を騒がせない。食べ方を見て餌をやる。消毒に心がける。常に稚魚を観察する。病気は事前に対処する。川や沿岸の条件を把握する。といったところでした。
ふ化事業の試行錯誤も、終わってみれば当り前のことなのですが、「野生であるサケ」を育て自然へ放してやる「ふ化技術」は、自然の仕組みを学び、発見することだったのです。
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サケの給餌風景。飼育放流は技術革新の切り札となった
(「鼻まがりサケ談義」木村義一著より)


河川に放流された稚魚
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