1976年(昭和51年)僅か2トンで開始された日魯漁業(株)(現マルハニチロホールディングス)のギンザケ販売は、1982年(昭和57年)には取扱数量は1,000トンを越え、1987年(昭和62年)には2,300トンのギンザケを全国に販売しました。1986年(昭和61年)には日本で始めて商業ベース(日魯と佐渡内浦漁協本間新太郎氏共営)で生産されたマスノスケ(キングサーモン)35トンを市場に出荷しました。
ギンザケ養殖は養殖技術面は確立し生産・販売とも順調に行なわれてきましたが、平成年代に入り除々に海外養殖サケマスの鮮魚品の搬入が増え、市場でギンザケと競合し、ギンザケ価格は値を下げ、加工品(主に冷凍)に向けられる比率も増えてきました。このような状況が続き、好転の見込みが少ないことより、養殖業者・販売会社とも経営環境が厳しく事業の縮小もしくは撤退を余儀なくされ、1993年(平成5年)(株)ニチロ(現マルハニチロホールディングス)は20年にわたる国内のギンザケ養殖事業から撤退しました。
【引用・参考文献】
「世界のサケ・マス類養殖の現状と問題点」奈良和俊 北海道さけ・ます孵化場
「魚と卵」(161): 59-68、1992
「北海道のサケ」秋庭鉄之著 北海道開発文庫 昭和55年
「全国養鱒振興協会」ホームページ
「養鱒の現状」 全国養鱒技術協議会編「21世紀の養鱒ビジョン」平成4年
「チリのサケ・マス養殖事情 上・中・下」根本雄二 緑書房「養殖」1993年 3~5月
「内外サケマス養殖の技術・生産・消費動向」遠藤紀忠「(社)新魚種開発協会」講演資料 1988年
「ニチロの養殖事業」ニチロ社内報“曙光”記事
「AQUA」チリ養殖関係業界誌
「南米のサーモン・ロード」長沢有晃 北海道さけ・ます孵化場 「魚と卵」150~152号
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