SALMON MUSEUM サーモンミュージアム

サケの学習室

  • 北海道 標津町立薫別小中学校
  • 北海道 札幌市東白石小学校
  • 標津町立薫別小中学校の環境学習

北海道の子供たちは、サケについてどんな勉強をしているのだろう。その6

川探検・河川調査

川の中を観察
小宮山先生のサケの授業 川に帰っていくサケ
胴つきを着て、さあ、探検出発!
北海道の薫別小中学校では、サケのふ化、飼育、放流と地域に根ざした教育の一環としてサケの産卵する河川の汚染度調査をかつて行っていましたが、現代では川遊びも楽しめる学校川探検スタイルで自然環境調査を行っています。
2008年は10月31日、全校児童生徒が参加して学校川探検を行いました。
講師には野生鮭研究所の小宮山英重先生をお招きして、乳薫橋(にゅうくんばし)付近でシロサケやオショロコマの産卵床の観察を行いました。

小宮山先生には、産卵床の見つけ方やサケがどのように産卵床を作るのか、サケが卵を産むのに適した場所とその理由等々、今回もたくさんのことを教えていただきました。
先生はよく、自然の中に書いてある言葉を読み取ることの大切さを話されます。
私たちが自然をどう生かしていけばいいのか、薫別の周りにいっぱいある自然からそのメッセージを読み取ることができる、知恵のある人間になりたいと思いました。
(薫別小中 「学校だより」 第34号:平成20年11月14日発行より抜粋)
河川調査による貴重な研究発表。
かつて、薫別小中学校では、稚魚の放流日決定のためのものとして、河川調査を行っていました。
1985年度と1986年度には、河川調査「薫別川を見守って」を発表。貴重な研究として、町内研究発表会で2年連続最優秀賞に輝きました。ここに1985年度研究発表をご紹介します。
1985年度 研究発表「薫別川を見守って」水生生物による薫別川の汚染度(最優秀賞)
観察スケッチ用紙
化学的水質調査用紙

私達は毎年、サケの人工採卵、受精をおこない、五月には薫別川に稚魚を放流し続けています。放流は事前に川の水温、水量、川虫の有無を調べてから放流日を決定します。これは、放流した稚魚が川虫をエサとしながら、数週間、川にとどまり、徐々に体を慣らして海へ降りていくためなのです。つまり、サケの稚魚放流には川虫の有無が大きな決め手となっているのです。そのような理由から、私達は川虫のスケッチ観察を続けてきたのですが、昨年暮れ、川虫などの川に住む生物を調査することで、その川の汚染度を知ることが出来る『水生生物による水質の簡易調査法』というのがあるのを知りました。

この調査は特別な機械や薬品を用いたりせずに、河川に住む『肉眼で見ることの出来る大きさの生物(これを指標生物と呼びますが)』、この指標生物をさがすことによって水質を調べようとするものです。

【調査方法】

石をパットに取り、ルーペ、ピンセットなどで指標生物をさがしました。

川岸から少し離れた、水深が30cm位の所で、こぶし大から頭位の大きさの石のある場所を選び、縦横30cmの正方形の区域を決め、その中の石をパットに取り、ルーペ、ピンセットなどで指標生物をさがしました。

例えば、カゲロウがいたとします。指標生物カゲロウの水質階級は決まっており、水質階級は、「Ⅰ~きれいな水」です。
このように出現した、ひとつひとつの指標生物の水質階級を決定するのです。この作業で最も注意しなければならないのは、指標生物の名称を正確に調べることです。これは採取した指標生物の中には外観がよく似ていても、きれいな水に住むもの、きたない水に住むものという具合に全くちがった種類もいるからです。このまちがいを防ぐために私達は、つぎのような判定基準を用います。

【判定基準】

水質の違いによる生物の判定基準

判定基準は、水生昆虫の中でも、尾がないもの・・・ヘビトンボ、尾があっても足のつめが二本のもの・・・トンボ、カワゲラ、足のつめが一本のもの・・・カゲロウという具合に区別します。さらに図鑑で調べます。

また、調査にあたり、一人では種類の判定にまちがいがあったり、採集能率が悪いなどの問題もあるため、二人ペアの8グループのものを集めて検討しました。
【調査地点】
調査地点は次の3ヶ所です。ひとつは学校に最も近い地点~A点とします。次に出入りが少ない所、乳薫橋上流~B点とします。最後に薫別の集落からやや離れた地点C点とします。
【調査結果】

A点、B点、C点の調査結果
調査結果は表をご覧ください。赤丸は生物が多く出現したこと。三角は少ないが出現したこと。バツは出現しなかったこと。横線は調査しなかったことを表しています。

カゲロウの幼虫

トビケラの羽化
●5月7日、学校に最も近いA点では放流の前でしたので稚魚のエサとなる水生昆虫を調査したところ、カゲロウ、トビケラが多く出現しました。

トビケラの幼虫
●7月4日、乳薫橋上流B点、この地点では魚類の採取もおこない、ヤマメ、イワナ、ウグイが出現しました。昆虫類についてはA点同様、カゲロウ、トビケラが出現し、甲カク類のヨコエビも出現しています。

ヨコエビ
●8月29日、集落から離れたC点、カゲロウ、トビケラが依然多く、この時初めてカワゲラ、ヘビトンボが出現しました。またトビケラは羽化する直前のものが多く見られました。

●9月28日、集落から離れたC点、2回目の調査は種類は前回と同じでしたが、トビケラを始め羽化し成虫となってしまったあとのためか、数が減っていました。
以上の指標生物の水質階級を調べるとこのようになります。薫別川に出現した甲カク類、昆虫類、魚類の水質階級はすべて「Ⅰ~きれいな水」、または、「Ⅰ-Ⅱ~きれいな水と少し汚れた水」の両方のどちらかです。
集計用紙

釧新教育活動賞を受賞した
「薫別川で見守って」
標津町立薫別小中学校
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