SALMON MUSEUM サーモンミュージアム

館長のサーモンレポート7

サーモンミュージアムの館長です。北海道の春は、サケ稚魚の旅立ちの季節です。毎年、ゴールデンウイークあたりに各学校や各施設でサケの放流が行われています。今年も北海道の小中学校から、さまざまなサケの放流式の話題が届きました。
マルハニチロのサーモンミュージアムでは数年前から北海道標津町の薫別小中学校と札幌市の東白石小学校の「さけ学習」を取材させていただき、その後も交流させていただいております。今年も「さけ学習」を担当されている先生方からいただいた写真や話題をここでご紹介させていただきます。
【2011年4月26日 北海道札幌市の東白石小学校のサケの放流式】
東白石小学校のサケ放流式は31年前に始まり、今も脈々と続いている本校の特色ある活動です。サケという生き物を飼育し観察するという体験から、命のすばらしさや人間性豊かな思いやりの心、ひいては地球環境を大切にしようという気持ちを育てることをねらいとして、「さけ学習」を進めてきました。
サケ放流のため豊平川に出発する前に全校児童が体育館に集まり、サケの稚魚が元気に育ち再び川に戻ってくることができるよう「壮行会」を行いました。
そこでは、サケを放流するまでの活動をスライドショーで見て、6年生の頑張りを知ることができました。
今年はサケの卵が病気にかかったり、飼育槽のポンプが故障してしまったり、トラブル続きで、子どもたちが育て、放流出来た稚魚は23匹だけになってしまいました。(卵は約6700個程あったのですが・・・)そこで、当日は豊平川さけ科学館から稚魚をたくさんいただき、なんとか全校で放流することができました。
前日は小雨が一日中降っていて当日の天気が心配されましたが、薄日が差す好天に恵まれました
サケの稚魚を大事に川まではこびます
入れ物に入れてもらった稚魚を眺め、「かわいい」と嬉しそうに話していました。 放流会場では、子どもたちはペア学年に分かれて放流をしました。入れ物に入れてもらった稚魚を嬉しそうに眺め、「元気でね」「がんばってね」と一声かけて放流する姿が多く見られました。その姿を見て嬉しく思いました。
放流したサケは約4年後、豊平川に戻ってきます。その年に「さけ学習」を担当するのが今年の1年生です。本校ではこのようにして「さけ学習」が受け継がれてきました。これからもこの学習を通して『命の尊さ』『環境の大切さ』を子どもたちに伝えていくことができればと思います。(東白石小学校「さけ学習」担当の先生より)
10名ほどの保護者の方も、付き添いの応援に来てくれました 「元気でね」「がんばってね」と一声かけて放流します。放流したサケの稚魚をしばらく子ども達は見守っていました
東白石小学校の「さけ学習」についてもっと詳しく知る→
【2011年5月11日 北海道標津町の薫別小中学校のサケの放流式】
根室海峡をのぞむ標津町から沿岸沿いに羅臼町に向かって約15キロ。サケが遡上する薫別川のすぐそばに立つ薫別小中学校の水産学習は42年、サケ稚魚の放流は昭和55年から始まり、今年で31回目になりました。
放流式では、3,4年生の児童たちが図工の時間に作ったサケの鯉のぼりを披露し、「稚魚さんたち、大きく立派になってもどってきてね」とお別れの言葉を述べました。
放流式では教育長やサーモン科学館学芸員、保護者、地域の皆さんと一緒に3,400匹の稚魚を放流しました。
薫別小中学校は今年、全校生徒7人。児童生徒の減少により今年度いっぱいで閉校となることが決まりました。そのため、学校教育の中での飼育や放流ができなくなります。学校としては今回が「最後の放流式」となりました。(薫別小中学校、サケ教育担当の先生より)
3,4年生の児童たちが図工の時間に作ったサケの鯉のぼりです。元気に旅立ち、元気に育ってほしいとみんなで気合を入れました
水産実習室の大きな水槽で育てたサケの稚魚たちです リヤカーを引き、全員で学校からすぐの薫別川の川べりまで運びました
全校7人の児童生徒が学校としては「最後の放流式」を行いました。川べりで中2の1名が飼育観察経過を発表しました
薫別小中学校のサケ教育についてもっと詳しく知る→
薫別小中学校から届いたサケ学習レポート
去年の暮れから、サケ稚魚の放流式までの、サケ学習をご紹介します。
●中学校採卵実習
平成22年11月22日(月)に、中学生による採卵実習がサーモン科学館で行われました。初めに施設の裏手にある実験用のサケがいるいけすから採卵のためのサケを引き上げます。指導していただいた学芸員の市村さんから「サケが苦しまなくて済むように、頭(脳)の部分を一撃して楽にしてあげることが大切」という説明を受けた後、棍棒を片手にサケの息の根を止めます。恐る恐るではありますが、それでも確実に作業する様子が印象的でした。
その後、実習場所へ移動し採卵、受精を行いました。2,3年生の生徒は昨年も経験したため内容を覚えていて、サケの採寸から、計量、そして受精時にサケの体表に付着している水気を手拭いで拭くところなど、手際よく作業をしていました。
今年は、シロサケと大西洋サケとの交配も行いました。このサケは遡上・産卵・降海を複数回繰り返すタイプなので、死なせなることがないように麻酔を施してから採卵、受精をさせました。
サケが苦しまないように、頭を一撃する
ていねいに採卵
オスの精子をかける
   
●伝統を受け継ぐ燻製(くんせい)づくり
さて、中学生が本日(平成22年12月22日)サケの薫製を持ち帰りました。これは、14日にサケを3枚におろし、塩で味を付け、塩ぬき、軒下にぶら下げての風乾、燻煙し完成した薫製です。この薫製づくりは、昭和57年から始まり28年間の歴史を持つ薫別中学校伝統の授業です。当時は、薫別川に帰ってきたサケのメスとオスをいただき、受精をおこない、そのサケを薫製にしていました。それから、先生方が作り方を代々引き継ぎ、今日に至っています。サケを3枚におろす作業では、3年生がとてもきれいにしあげました。今まで2回の経験が技術として身に付いていたからだと思います。いろいろな経験は生きていくうえでの大きな力になっていきます。
サケを3枚におろす
調理室から軒下にはこぶ
軒下にぶら下げての風乾
●今年も 飯寿司(いずし)づくり体験
平成22年12月1日(水)の6時間目に今年も、「地域の郷土料理のサケ飯寿司」づくりを教えていただきました。1年生は、初体験でしたが、2・3年生は昨年習ったことを覚えていて、笹の葉を3~4枚並べ、野菜、サケ、コウジ、ショウガを重ね、手で押さえ、それを繰り返す作業をてきぱきと進めていました。
いずし作りのベテランから教えてもらう
笹の葉を3~4枚並べ、野菜、サケ、コウジ、ショウガを重ね、手で押さえ、それを繰り返す
最後に重石を置く
ページTOPへ