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イナウ(木幣:もくへい)アイヌの人々が神様に祈るときに用いる祭具(儀礼具:ぎれいぐ)です。
「アイヌ民族博物館収蔵資料テーマ展 アイヌの儀礼具~イクパスイを中心に~」より
遠い昔の縄文時代から、人々はサケののぼる川で生活や文化を発達させてきました。毎年、秋から冬にかけて、決まって生まれた川にさかのぼるサケは、沿岸の人々に恵みを与えてきました。人々はこの恵みに感謝し、神様の魚としてお祭りしてきたのです。
アイヌの人々は、サケをまさに「カムイチェプ:神様の魚」と呼んで大切にしてきましたし、また、日本海沿岸部には能登半島(のとはんとう)を中心にサケをおまつりした神社がたくさんあります。(九州にも「鮭神社」があります。)
アイヌの人々は、サケが来る前にお祭りを行います。
このお祭りがすまないうちは、どんなにサケがのぼってきてもとることはできません。
お祭りは、まず川の入江の神に木幣(もくへい)を2本立てて、
「秋が来て、神の魚(サケ)たちが海で立ちまわっています。入江の神様、海からたくさんのサケをのぼらせて、コタン(村)にお恵みを与えてください」と祈りの言葉をささげます。
次に、河口の神に木幣(もくへい)を2本立てて、
「河口がふさがると、神魚たちはのぼれないから、河口の神様、どうぞふさがないように気をつけてください」と祈ります。
さらに、川の神に木幣(もくへい)を2本立てて、
「川をよく掃除し、不潔なものは川に入れませんので、神の魚をたくさんのぼらせてください」という意味の祈りをささげます。
つまり、入江の神様、河口の神様、川の神様に順次、お祈りの言葉をささげてから、サケの漁が始まるのです。
最初に取れたサケは、火の神と家の神にささげることになっています。
ちなみに、マス(カラフトマスやサクラマス)に対してはお祭りは行われません。それほどサケはアイヌの人たちにとって重要であったことを物語っています。
(出典:「日本のサケ」市川建夫著より)
日本にはサケの上ってくる川がある地方には「サケ」をお祭りしている神社や「サケ」に関係する神社やお寺が数多くあります。ここではその代表的なものをピックアップしました。
岩手県宮古市津軽石(つがるいし) | 月山神社、黒崎神社 |
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山形県中山町岩谷 | 十八夜観音堂 |
山形県河北町溝延(みぞのべ) | 阿弥陀寺 |
山形県尾花沢市 | 御所神社 |
山形県真室川町小国(おぐに) | 大日堂 |
千葉県香取郡山田町 | 山倉神社、観福寺 |
石川県珠洲市(すずし) | 辛鮭(からざけ)の宮 |
京都府舞鶴市(まいづるし) | 大川神社野々宮社 |
福岡県嘉穂郡嘉穂町 | 鮭神社 くわしくは 「館長のサーモンレポート第1回」へ |
参考文献 「鮭~秋味を待つ人々~」東北歴史博物館編集