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今年の7月、標津沿岸ではオキアミ類が岸近くまでに多数来遊した。隣町の羅臼ではそれほど珍しいことではないのだが、漁師さんの話によると、これほど多数のオキアミが標津沿岸に来たのは10年ぶりだったそうだ。 |
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釣り上げたオスのカラフトマス |
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知り合いの加工場に頼んで、カラフトマスの胃内容物を確認したところ、オスは32個体中27個体(84.4%)、メスは29個体中16個体(55.2%)で胃内容物が確認できた。私が、これまで回帰したサケたちの胃内容物を見つけた個体の多くはオスであり、今回も同様の結果が得られた。オスの捕食率が高い要因として、生殖腺がメスのほうが大きく、胃が圧迫されることなどが考えられる。 |
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カラフトマス(オス)の胃内容物。オキアミが多い。左は白子。2008年7月25日撮影 |
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胃袋の中がオキアミでいっぱいになり、ソーセージの様に膨らんでいる個体も珍しくなかった(写真参照)。胃内容物はほとんどがオキアミ類だったが、小魚も確認できた。
これほど多くの個体がエサを捕食している例を見たのは、初めての経験だったが、加工場の人によるとカラフトマスでは、同様のケースが過去に何度か経験があったそうだ。
繰り返しになるが、沿岸定置網で漁獲されたサケたちの胃内容物は、早期に回帰した個体でも通常、ほとんど確認することは出来ない。これは、単にエサを捕食しなくなっているだけでなく、捕食可能なエサが少ないこと、定置網に入ってから時間が経過し、胃内容物が消化されていることも要因だと考えられる。実際、同時期に稀に漁獲される回遊中のニジマスやケイジの胃内容物は確認出来ない個体が多い。
また、シロザケとカラフトマスを比較すると成熟個体、未成熟個体共にカラフトマスの方が釣りやすいと感じる。沿岸で漁獲された個体を比較してもカラフトマスの方がエサを食べているようだ。これは、種の違いばかりでなく、小型の個体は、大型の個体と比べ、代謝が活発なためということも考えられる。 |
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サケの大群が、産卵場所を目指して川を遡上してくる |
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釣り上げたシロサケ |
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サケたちを釣るために、この連載の当初に記したとおり、私は成熟までにまだ間がある個体は“捕食”の要素が強く、完全に成熟している個体は、“威嚇”の要素が強いと考えている。ただ、成熟した個体でも、捕食本能が残っているためか、サンマの切り身や“クリオネフライ”でも釣れることも付け加えておく。 |
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ハダカカメガイ(クリオネ)はシロザケのエサになっている |
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私(市村)が制作した疑似餌のクリオネフライ |
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