鮭と食
サケは現在、料理として食卓にのぼるだけではありません。
以前は飼料になったり廃棄されていた「白子」や「皮」が健康補助食品素材などに利用されています。
サケ白子(精巣)には何万、何億というサケの精子が蓄えられています。そのひとつの精子の頭部に核たんぱくが収納されています。この核たんぱくは、DNA(核酸)と塩基性たんぱく質(ヒストンおよびプロタミン)が結合した物質で、遺伝情報の調節に関与しています。
いままでサケ白子は需要が少ないため、ほとんどが廃棄同然にフィッシュミールの原料になっていましたが、食品産業の分野において核たんぱくが注目され、供給源であるサケ白子が有益なものになってきました。
現在、サケ白子の主成分である精子の核たんぱくから、遺伝子であるDNA(核酸)と塩基性たんぱく質(ヒストンおよびプロタミン)を取り出し、栄養補助食品素材や機能性素材の開発がすすめられています。
また、サケの皮からコラーゲンを抽出し美容素材としても使用が見込まれるようになりました。
魚類の中でも最も激しく生活環境を変化させ、その体の形や色など形態も変化させるといわれているサケが秘めるパワー。過酷な環境変化に絶え得る力を、人間も享受させてもらっているといえるのではないでしょうか。
老化防止・学習能力低下抑制などの効果があるといわれています。
DNAは、サケ精巣を分離、精製した粉末状の栄養補助食品素材です。古くからフランス、中国をはじめ多くの国で健康食品、化粧品、医薬品等に使用されています。最近では酸性の水への溶解性を高めた製品も開発され、飲料などにも使用しやすくなっております。
ヌクレオプロテインは、サケ精巣に10~20%程度存在する精子核の主成分で、白色粉末状の栄養補助食品素材です。その主成分はDNAおよびプロタミン(塩基性たんぱく質)です。
天然抽出型食品保存料として広く加工食品に使用されています。
プロタミンは魚類の精巣に含まれる強塩基性のタンパク質で、抗菌作用のあることが知られており、食品保存料の素材として使用されています。プロタミンは熱に安定であり、pHが弱酸性からアルカリ性まで幅広く抗菌作用を示します。また、白子として古くからの食経験があり安心して食品に添加できることから、様々な加工食品に広く利用されています。
生分解性素材として有機EL素材、医歯科素材などの分野への応用利用が期待されています。空気清浄器のフィルターなどでの使用がすでに開始されています。
高分子DNAへ
サケ白子は医薬品原料(硫酸プロタミン)や化粧品原料(DNA)等にも利用されています。
サーモントラウト(ニジマス)やシロサケの皮から抽出、精製します。コラーゲンの色調は白色で、においも軽微です。これまで、一般的にコラーゲン原料は豚皮や牛骨が多く使われてきましたが、より安全であるといわれている魚類由来のものに世の中がシフトしているようです。