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コンドロイチン硫酸に関する研究

当社ではコンドロイチン硫酸を豊富に含むサメ軟骨抽出物(食品用ChS)を販売しており、様々な効果を検証しております。
その検証事例についてご紹介します。

コンドロイチン硫酸とは

コンドロイチン硫酸は、生体内でコラーゲンやその他のタンパク質と結合して存在しており、カルシウムの代謝、物質の透過、水分の保持・調節の機能があります。加えて、関節などにおいては物理的な刺激に対する吸収剤としても重要な役割を果たしている成分です。そのため、関節液や皮膚などの結合組織に多く含まれています。
コンドロイチン硫酸は関節痛や肩関節周囲炎(五十肩)、眼角膜の保護などに効果があることから、まずは医薬品として許可され、その後、化粧品や食品添加物、健康食品などにも幅広く利用されています。原料には、牛や豚など哺乳類も用いられますが、現在は主に、サメ、サケ、イカなどの海産物が多く用いられています。

I. 関節炎に対する効果

食品用ChSを摂取させ、炎症度合いの指標、ならびに足の容積(炎症が強いと足が腫れ、容積が増える)を測定し、炎症が改善するかを検証しました。このとき、よりコンドロイチン硫酸の純度が高い医薬用コンドロイチン硫酸でも検証を行いました。その結果、食品用ChS、医薬用コンドロイチン硫酸のいずれも関節の炎症を抑制する傾向が確認されましたが、食品用ChSはより炎症を抑える効果が高いことがうかがえました。これは、食品用ChSに含まれているⅡ型コラーゲンをはじめとするタンパク質成分のおかげではないかと考えられています。

図1 関節炎モデルに及ぼすサメ軟骨抽出物(食品用ChS)、医薬用コンドロイチン硫酸(局外規ChSNa)の影響
図1 関節炎モデルに及ぼすサメ軟骨抽出物(食品用ChS)、医薬用コンドロイチン硫酸(局外規ChSNa)の影響 1
図2 足容積に及ぼすサメ軟骨抽出物(食品用ChS)、医薬用コンドロイチン硫酸(局外規ChSNa)の影響
図2 足容積に及ぼすサメ軟骨抽出物(食品用ChS)、医薬用コンドロイチン硫酸(局外規ChSNa)の影響 1

II. 大腿骨中のカルシウム含量に与える効果

骨粗鬆症モデルにカルシウムのみを混餌にて摂取させた群と、カルシウムに加えて食品用ChSを2 ~8 %混餌にて摂取させた群について、大腿骨中のカルシウム含量および破断力の比較を行ったところ、食品用SCPを摂取させたいずれの群においても大腿骨中カルシウム含量は有意に増加しました。さらに、食品用ChSを8 %摂取させた群においては有意に大腿骨の破断力が増加しました。これらの結果から、食品用ChSを摂取することで骨中のカルシウム蓄積が促進され、さらに骨強度が増加する可能性が考えられました。
関節炎に対する抗炎症効果に加え、カルシウム蓄積効果があることから、食品用ChSは骨関節疾患に有効であると考えられています。

図3 サメ軟骨抽出物(食品用ChS)の大腿骨中カルシウム含量に与える影響
図3 サメ軟骨抽出物(食品用ChS)の大腿骨中カルシウム含量に与える影響 2
図4 サメ軟骨抽出物(食品用ChS)の大腿骨破断力に与える影響
図4 サメ軟骨抽出物(食品用ChS)の大腿骨破断力に与える影響 2

III.美容効果

食品用ChSを継続摂取させたところ、肌の真皮層のうちコラーゲン層が厚くなり、肌に対して好ましい影響を与える可能性が考えられました。食品用ChSにはコラーゲンも豊富に含まれているため、両者の組み合わせが肌に好ましい影響を与えた可能性も考えられます。

図5 皮膚におけるサメ軟骨抽出物(食品用ChS)摂取による影響(6週間)
図5 皮膚におけるサメ軟骨抽出物(食品用ChS)摂取による影響(6週間) 3

IV.血清尿酸値に対する効果

食品用ChSに関する新しい研究として、血中尿酸値を下げる作用を確認しています。研究の結果、食品用ChSに含まれるペプチドが尿酸の代謝系に作用することで尿酸値の低下作用を示すことを解明しました。

図6 サメ軟骨抽出物(食品用ChS)が高尿酸血症モデルの血清尿酸値に及ぼす影響
図6 サメ軟骨抽出物(食品用ChS)が高尿酸血症モデルの血清尿酸値に及ぼす影響 4
  • 1 Tamai T. et al., Arthritis: Pathophysiology, Prevention,and Therapeutics, p.341-347, CRC Press(2011)
  • 2 吉岡久史, グルコサミン研究, Vol.6, 25-30(2010)
  • 3 西川正純, Nippon Suisan Gakkaishi 68(5), 723-728(2002)
  • 4 Murota I. et al., Jounal of Food Biochemistry, 34(1), 182-194(2010)