マルハニチロ
プロジェクトストーリー#1

DHAリサーラソーセージ

フィッシュソーセージで日本初のトクホを実現!

2005年秋に発売された「DHAリサーラソーセージ」。
フィッシュソーセージでは初めての特定保健用食品(トクホ)であるこの商品は、
今ではマルハニチロを代表するロングセラー商品となっています。
「DHAリサーラソーセージ」はどのようにして生まれたのか、
開発から現在に至るまでの軌跡をご紹介します。

Phase1 フィッシュソーセージで日本初のトクホ商品を!

1990年代後半、これまで「成人病」という名称で呼ばれてきた疾患群が、「生活習慣病」という名称へと変更され、生活習慣の改善による「1次予防」の重要性が広く認知されるようになりました。こうした健康志向の高まりとともに、特定保健用食品などの健康食品への需要が高まっていました。
さらに当時は、加速する魚離れが危惧される状況にあり、魚の栄養でお客さまの健康に貢献することが、水産加工のノウハウをもつマルハニチロの役割であると考えました。
このような背景から、魚の栄養、中でも中性脂肪低下機能を持つDHAを豊富に含むフィッシュソーセージを開発すること、さらには特定保健用食品として業界に先駆けて発売することを目標に、全社一丸となった開発がスタートしました。

Phase2 おいしさなしでは続けられない

開発を行うにあたり、絶対に譲れないのが商品のおいしさでした。
1本50 gのフィッシュソーセージに配合するDHAは850 mg。
この量は、一般的なフィッシュソーセージ(※1)の34倍に相当します。
DHAの原料となるのはマグロの頭部から抽出された油ですが、魚油は極めて酸化しやすく、酸化とともに独特のにおいが発生する点が一番の問題でした。
そのため、賞味期間となる90日もの間、いかに魚油特有のにおいを抑えるかが開発を進めるうえでの大きな課題となりました。

においは抑えつつ、フィッシュソーセージとしてのおいしさや旨み、風味はそのままに。
そのために、およそ1年もの間、何度も試作を繰り返しては、社内モニター試験を実施しました。
さらに、抽出過程でなるべく空気に触れさせないための、精製技術の改良も積み重ねました。

その後の臨床試験では、DHA入りのフィッシュソーセージを1日1本4週間食べ続けた時の効果や、長期間(3か月)食べ続けた時の安全性、過剰に(1日3本4週間)摂取した際の安全性などを評価し、DHAの効果を科学的に裏付けられるよう、厳密な検証を積み重ねました。
一部の試験では、全社的に協力者を募って臨床試験を実施するなど、中央研究所だけでなく社内の協力にも支えられ乗り越えることができました。

Phase3 DHAをより日々の食卓へお届けするために

特定保健用食品の申請では、厚生労働省(当時)による審査だけでなく、関与成分が新規であることから、内閣府・食品安全委員会による安全性審査もクリアする必要がありました。およそ半年もの間、動物やヒト試験結果、海外の研究結果など、多くの科学的知見に基づいた審議が重ねられ、安全性が承認されるに至りました。 こうして構想から3年の時を経て、2005年秋、フィッシュソーセージで日本初のトクホ「DHAリサーラソーセージ」は誕生しました。“フィッシュソーセージでDHAを摂る”という新しい食文化をお客さまに提案することができたのです。

その後も、シリーズ品でのトクホ取得や、バリエーション展開(塩分カット商品、通販限定品)など、お客さまが「飽きずに長く続けられる」工夫を重ねているほか、原料魚の漁獲量が減少した場合でも安定的に供給するために原料魚種の拡大検討も行っています。
また、DHAの新たな可能性として、認知機能の改善効果や時間栄養学(※2)の視点における有効性の確認など、科学的根拠に基づいた価値発信のため、今もなお精力的に研究を進めています。

DHAを日々の食卓へお届けするために。そのために私たちマルハニチロができることは何か。
これからもお客さまの健康に寄り添った研究開発を進めてまいります。

  • ※1 日本食品標準成分表 2015年版(七訂)「魚介類/魚肉ソーセージ」と比較
  • ※2 時間栄養学とは:
    「何をどのくらい食べるか」という従来の栄養学に、「いつ食べるか」という新たな視点を加えて、食餌のリズムと食の機能性との関係について研究する新しい学術分野。食の機能性を高めるための至適摂取時刻や、食を利用した睡眠や体内時計の積極的な制御などに関する研究が注目されている。