ウィンナーはオーストリアのウィーン、フランクフルトはドイツのフランクフルト、サラミはギリシアのサラミで誕生しました。そして、魚肉ソーセージは生粋の日本生まれ、日本人の発明品です。大正時代、地方の水産試験場で試作されたのが発祥といわれています。
マルハニチロ(当時の大洋漁業)で本格生産発売を始めたのは昭和28年(1953年)。以来、60年以上の超ロングセラー商品です。発売当時はクジラ、マグロなどが主な原料でしたが、今では白身魚のすりみが原料になっています。
発売当初、魚肉ソーセージは「かまぼこ」でもない、畜肉ソーセージでもない」と言われて、文字通り生みの苦しみを続けました。しかし、欧米化や便利さを求める時代とともに、時代にふさわしいインスタント食品として魚肉ソーセージは発展し、独自の新しい分野の食品として認められるようになりました。昭和40年(1965年)の生産量は約19万トンとピークに達し、日本人一世帯当たり、年間4kg以上の魚肉ソーセージを食べていたことになります。
主にスケソウダラなど、白身魚の冷凍すりみから出来ています。その他、ホッケ、エソ、イトヨリなどの魚がよく使われています。すりみに塩を加えてよくすりつぶした後、調味料や油脂、でん粉、香辛料等を加えしっかり練り合わせて作ります。
魚肉ソーセージは中身を詰めて密封された包装フィルムごと、加圧加熱して中身を殺菌します。レトルト殺菌釜と呼ばれる釜(工場にある釜は車みたいにとても大きいです!)で、120℃で4分間加熱し、高圧高温殺菌します。つまり、殺菌剤や保存料は使われていません。その後、冷却乾燥され、フィルムに穴が開いていないか等の厳しいチェックを受けて箱詰めされます。だから安全かつ常温保存が可能なのです。
工場のレトルト釜から取り出したばかりのアツアツの魚肉ソーセージは、とにかくおいしいと評判です。その理由は、練りこんだ脂分が魚肉全体に溶け出しているから。弾力があるなかにもフワフワ&ジューシーでまろやかな食感は、一度食べたら忘れられません。
実は、その味をご家庭でも再現できるとっておきの方法があります。それは、魚肉ソーセージを包装フィルムごと、約1分間ボイル(湯せん)するだけ。その際にはヤケドにご注意くださいね。きっと今まで知らなかった味をお楽しみいただけます!
発売当時は直射日光による劣化を防ぐため、光をさえぎるように色のついたケーシングが使われ、今にいたっています。どうしてオレンジ色が選ばれたのか?それは魚肉ソーセージの色に近かったから。現在は日光が当たりやすい場所(店の軒先など)で販売されることもなく、あまり関係なくなってきていますが、お店のショーケースなどの光でヤケないようにという配慮もあります。
魚肉ソーセージにはスタンダードなプレーンソーセージのほかにも、さまざまな種類があります。マルハニチロの場合、「銚子産いわしを使ったおさかなソーセージ」「山陰産のどぐろを使ったおさかなソーセージ」のように産地・魚種にこだわった商品や、特定保健用食品である「DHA入りリサーラソーセージ」など健康機能を付加させたものがあります。
ちなみに、過去好評いただいた商品として「ハバネロ味」「いかスミ味」などがありました。
冷暗所がお勧めです。どのような食品にも共通しますが、直射日光があたる場所や急激な温度変化が起こる場所はおすすめできません。
福岡から山口・広島にかけての地区で、知らない人はいない「ベビーハム」。美味しさの秘密はマグロのぶつ切りが入っている事。
10mm前後にスライスして表面を焼いて食べると本当においしい。家庭だけでなく、居酒屋さんなどでもメニューとして登場するほどです。
ドライブインや高速道路のサービスエリアなどでついつい買ってしまうアメリカンドック。アメリカンドックの中心にあるソーセージは実は魚肉ソーセージって知っていましたか?今では畜肉ソーセージの商品も見かけますが、あの甘い生地にたん白な魚肉ソーセージの味が良く合うのです。ケチャップとの相性もぴったり。
発売当初、魚肉ソーセージは鮮魚と同じルートで流通していました。つまり、鮮魚荷受けに販売され、魚と同じように相場で値がつけられ、魚屋さんの軒先で売られていました。
その後、徐々に食料品問屋を中心とする販売網が整備され、それとともに魚肉ソーセージの販売は大きく拡大したのです。
マルハニチロでは昭和28年(1953年)の発売当時、宣伝カーで料理講習会行脚を展開していました。当時の資料を抜粋すると 「朝早く起きて料理講習会用の資材や道具を会場に運び、それが終わると宣伝販売、昼食後はすぐに次の会場に移動準備、午後の宣伝販売が終われば講習会場の後片付け、そのあとはPR映画の上映、宿に入るのがいつも夜の11時頃でそれから夕食をやっとすますというほどでございました」。涙ぐましい営業努力があったんですね。
トーフ(tofu)・スシ(sushi)・スキヤキ(sukiyaki)など、日本語が英語になったものはたくさんありますが、実は「すりみ」も水産業界では「surimi」として世界中で通用するメジャーな国際語です。すりみの歴史は詳しくは解明されていませんが、日本では室町時代にすでに「蒲鉾」が食べられていたといわれています。
すりみの歴史に大革命をもたらしたのが、1950年代に日本で発明された「冷凍すりみ」の製造技術です。白身魚を使い、良質なすりみを安定して大量に生産することを可能にしたこの技術により、今ではアジア、欧米を中心に世界中ですりみが作られ、食べられるようになりました。
包装フィルムに詰めたときはフニャっとやわらかい状態のソーセージは、高温高圧殺菌することによりふくらみ、パンパンな状態になります。また、特有の弾力のある食感が生まれ、食卓でお馴染みのいつもの魚肉ソーセージが出来上がるのです。
魚(すりみ)や調味料をそのまま加熱すると薄茶色になるので、天然系着色料で少し赤みをつけて食べるときにおいしく感じるようにしています。食材として、ありそうで無いのがピンク色です。お弁当のおかずなどにピンク色が加わると、それだけで華やかになります。
宇都宮にあるマルハニチロの魚肉ソーセージ工場は、地面を海面に見立て、海面に浮かぶ船のような構造になっています。つまり、通常の1階が半地下と同じ状態なのです。というのも、マルハニチロはもともと水産業を営み、かつてはトロール船など大きな船をたくさん保有していました。そうした時代に宇都宮工場は建設されたので、船のような独特な造りになったわけです。天窓を使って自然光を上手に取り入れるなど、船乗りとしてのアイデアと工夫が随所にみられます。
2019年の統計によると、日本国内で生産された魚肉ソーセージは約5.4万トン。70g換算で7.7億本になります。1本の長さが約16cmですので、つなげると123 ,200km。地球を3周以上もする長さです!
オレンジ色のフィルムに包まれている魚肉ソーセージを開けるとき、うまく開けられずイライラした経験がある人もいるのでは?実は、つまようじ1本で簡単に開けることができるんです。クリップのすぐ下、フィルムが重なっている側と正反対の位置につまようじを刺し(下図1)、それを手前に引いてフィルムを切ります(下図2)。そこからクリップをむくように引っ張ると(下図3)、簡単に開けることができます。