英語の「サーモン=salmon」は、ラテン語の「跳ねる=salire」が語源です。
「あけぼの さけ」の缶ラベルにも、サケが波間から飛び跳ねるイラストが描かれたことがあります。
おもに次の7種類です。いずれもサケ科サケ属に属し、日本語ではマスと呼ばれるサケも、
国際的には「サーモン」に分類される仲間です。その7種とは、カラフトマス(ピンクサーモン)、
ベニサケ(レッドサーモン)、ギンザケ(シルバーサーモン)、シロサケ(サケ)、
マスノスケ(キングサーモン)、サクラマス(ヤマメ)、ニジマス(サーモントラウト)です。
ヒトの体内では合成されない9種類の必須アミノ酸がすべて含まれ、タンパク質の栄養価の判定基準
「アミノ酸スコア」において100点満点、さらに消化吸収率も99%と、サケのタンパク質は牛肉の
91%に比べてたいへんすぐれています。
サケがどうやって生まれ故郷の川に戻るのかは、まだ謎に包まれていますが、
現在、次のような説が考えられています。(1)生まれた川の河口の匂いを覚えて
いる(嗅覚刷込説)、(2)太陽の位置や高度と体内時計から自分の位置を推定
する(太陽コンパス説)、(3)体内にある磁性体と地磁気から方位を決定する
(磁気コンパス説)などです。
同じ仲間です。かつては、海に降りるものをサケ、淡水生活するものをマスと呼びましたが、その分類
はきわめて曖昧です。キングサーモンは和名でマスノスケと呼ばれていますし、現在のベニサケには
ベニマスと呼ばれた時代があります。この曖昧さは英語名にもあり、1988年からサケ属に分類され
るようになったニジマスの海面養殖魚は、サーモントラウト(サケ・マス)またはトラウトサーモン
(マス・サケ)と呼ばれているほどです。
アイヌの人たちは自分たちが食べるだけのサケを獲り、冬の食糧として
貯蔵用の干鮭(からサケ=燻製や天日干ししたサケ)にしたあと、残った
皮で衣装や靴を作るなど、サケの身を無駄なく利用しました。とくに、
ケリと呼ばれる冬靴には男性用長靴と女性用短靴があり、底部には
ヒレを使ってすべり止めにしました。
缶詰の日です。1877(明治10)年、北海道石狩市に日本初のサケ
の缶詰工場、石狩缶詰所が置かれ、石狩川のサケを原料に缶詰製
造を開始しました。これが10月10日だったことを記念し、1987
(昭和62)年、日本缶詰協会が「缶詰の日」に定めました。
はい。「あけぼの さけ」は、北海道東沖で獲れた旬のカラフトマスを選別し、カットして塩分だけを
加え、密封・加熱殺菌しています。缶が破損しない限り、缶詰のなかでは酵素活動が起こらないため、
製造から3年間は旬の美味しさが保たれます。
1810年、イギリス人のピーター・デュランによって、
ブリキ缶による世界初の缶詰が開発されます。
1820年代の缶詰は厚手のブリキを使用していたため、
「斧とハンマーで開けてください」と記されていました。
1929(昭和4)年から日魯漁業などが中心となって本格操業した船団漁業方式です。1933(昭和8)年
には企業数10、母船数19隻に達しました。カムチャッカ半島の沖合いで操業し、一船団の編成は、缶詰・
塩蔵設備を持つ3,000から5,000トンの母船と、冷蔵施設を持つ1,500トンの補助母船、運搬船、給油船
を中心に、50から55隻の独航船から構成されていました。
原材料であるカラフトマスは、英語名で
Pink Salmon(ピンクサーモン)と言い、
そのPINKを記したものです。
日本人にとって“缶詰のアイコン”とも言える赤と白のストライプ。
このデザインは、100年前に「あけぼの さけ」を作った堤商会
(日魯漁業の前身)の、半纏にも記された模様に由来しています。
調理したものを缶に詰めているのではありません。まず、沖で獲れた新鮮なカラフトマスを釧路の工場
で切りそろえます。その身を食塩水につけ、肉を引き締め(塩析)、それから密封した後、レトルト釜に
入れて加熱殺菌(蒸し煮状態)します。これが「煮る」という調理段階にあたります。
つまり、長期保存できるようにするための加工が、そのまま「水煮」という調理になっているのです。
缶詰が長期間保存できるのは、「密封」と「加熱殺菌」が完全になされているからです。缶詰内では
酸化が起きないために食品が腐らず、長期間おいしい状態で保たれます。保存料も添加物も一切
加えていません。添加する必要がないのが缶詰なのです。
缶詰の内部は真空状態ですので、ぶつけると凹みやすくなっています。
ただし缶蓋の巻締め部分が大きく変形したものは密封状態が保たれて
いないことがあり、注意が必要です。また、少々のサビは中身に影響する
ことはありませんので、問題なく食べられます。
「あけぼの さけ」の缶は、蓋、缶胴、缶底の3つの部分(ピース)から
できています。蓋は「トップ」または「イージーオープン蓋」(復刻版
をのぞく)、缶胴は「ボディ」、缶底は「エンド」とも呼ばれています。
昔は高級品と言われたサケ缶も、現在は経済的にもお得です。原材料のカラフトマスは1匹約1kg。
その身が1缶に180g(T2缶)入っています。沖で獲れた旬のカラフトマスを新鮮なうちに加工して
いるので、栄養価も高く、保存にエネルギーがかかりません。さらに、調理の手間も省けることを計算
に入れると、家計にやさしい食品であることがわかります。
1910年、堤商会を起した堤清六と平塚常次郎がベニザケを輸出用缶詰にしたのが、最初の「あけぼの
さけ」でした。ふたりはこれに、DAY BREAK BRANDというブランド名をつけました。1921年、堤
商会は日魯漁業(現マルハニチロ食品)となり、堤は初代会長、平塚は初代社長に就任しています。
夜明け(あけぼの)を表現した朝日のマークは、創業者堤清六の発案です。堤は、知人が持っていた
スペイン製の手太鼓に想を得て、赤色と黄色で燃える朝日を表現しました。しかしながら当初は、
昼前の太陽に見える!などと、社内で侃々諤々の議論となり、曙光のラインを細くするなどの工夫を
重ねて、あけぼの印が完成しました。
1920年代、「缶詰普及協会」が発行した推奨マークに書かれて
いた言葉です。当時のサケ缶ラベルには、このようなスローガン
や、調理法が記されていました。