
海外最新トピック from Norway
寒くて暗い
北欧の冬の必需品。
フィッシュオイルで
気分を上げる!
今、世界ではどんなことが話題になっている?
現地在住リポーターが、これからの食と未来の暮らしのヒントとなるような
最新トピックをお届けします。今回はノルウェーからリポート!
政府も推奨。
フィッシュオイルで心の病気を予防
北欧の冬は1年の半分を占めているのではないかと感じるほど、長く暗く寒い。特に朝から夜までずっと暗いのは悩みの種で、疲れやすく、眠くなり、うつ病の症状も出やすくなります。
赤ん坊の頃からこの生活を繰り返しているノルウェー生まれの友人に、長く暗い冬への耐性はつくのかと尋ねると、「私は今でも朝は起きるのはつらいし、コーヒーの摂取量も冬は増えるし、何年住んだところで慣れるものではない。冬に睡眠時間が増えるのも普通だから、怠け者になったと思わなくていいよ」という答え。

冬のオスロは木々が雪の結晶コートをまとう。
彼らは学校やニュースなど様々な場所で「冬は日光不足でビタミンDが欠如し、落ち込みやすくなる」ことを刷り込まれているので、いざ太陽が出た日には、まるで冬眠から目覚めた虫のように外に出て日光浴をします。ご近所の男性はイスを外に出し、日光が差す方向に向かって目をつむりながら黙々と太陽光を吸収。日光は体の中に「溜めておく」ことができるといわれ、夏の間も公園で日光浴する人の姿を多くみかけます。
ノルウェーの研究ニュースサイト「Forskining.no」によると、冬季うつ病は季節性うつ病で10月から4月にかけて発症しやすく、5~10%の人が程度の差はあれ患っている。身体を重く感じたり、気分が暗くなったり、体重が増加することもあり、太陽が顔を出す春には治るとあります。 では、冬に気分をあげる対策は?というと、答えは「魚」。
子ども向け、
猫や犬用のフィッシュオイルも!
魚に含まれるオメガ脂肪酸やビタミンDは、私たちの心と体の健康に欠かせない成分。ビタミンDは脂ののった魚、卵、キノコ類、チーズなどからも摂取できますが、手軽に摂取できるサプリメントをノルウェー当局は推奨しています。北欧各国の当局が冬に魚のオイル摂取をすすめるのは、現地では常識です。
冷蔵庫にフィッシュオイルの瓶を常備している家庭も多く、スプーンにオイルを注いでそのまま飲み込む姿を友人宅で目撃した時は、不思議な印象を受けました。フィッシュオイルは味や香りが独特なので、最近はフレーバー付きのオイルや、子どもも食べやすいようグミやジェル状のものも。液体からカプセル状まで、さまざまなフィッシュオイルがスーパーや薬局で販売されています。もちろん魚を食べることでも十分な栄養を取ることができます。

定番は瓶に入ったフィッシュオイル。最近では飲みやすいようレモン味も。

オイルを飲み込んだ時にこみ上げる魚の匂いが苦手な人は、サプリメントがおすすめ。

子どもも楽しくフィッシュオイルを摂取できるよう、熊の形をしたカラフルなグミなど、各メーカーが試行錯誤。バリエーションは増え続けている。

ベジタリアン向けに、藻類で作ったオメガ3のカプセルも。
冬にノルウェーの医者に行くと、血液検査でビタミンDの量もチェック。私たちの心の状態と日光を浴びる時間は関係性が深いのです。ノルウェー公共局NRKのニュースによると、カプセルやタブレットなど様々な形状の商品が増えた結果、店頭でのビタミンDの売り上げが昨年、過去最高を記録したそう。ちなみに猫や犬用のフィッシュオイルも販売されています。 幸福度が高いと言われる国でも、ビタミンDが欠乏すれば落ち込みがちに。これからも意識的に魚と魚のオイルを摂取して、心の健康を保ちたいと思います。

鐙 麻樹(あぶみ・あさき)
北欧ジャーナリスト・写真家。2008年からオスロ在住。オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。著書『ハイヒールを履かない女たち:北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』(かもがわ出版)
魚の脂を逃さないのがコツ
魚の脂には健康に生きるために必要と言われているDHAやEPAが多く含まれています。体内でほとんど作られない必須脂肪酸で、食事から摂取する必要がありますが、気をつけたいのは、熱を加えると脂肪とともにDHAが逃げ出してしまうということ。焼いたり、煮たりすると生のときの約80%、天ぷらのような揚げ物では約50%に減ってしまいます。ホイル焼きにするなど、脂をなるべく逃さないような工夫が必要です
もっと詳しく知りたい人はコチラ
▶︎(https://umito.maruha-nichiro.co.jp/article61/)