アスリートを育む食卓06

「SC相模原」
戸田和幸監督は
何を食べて育ったか?

2023.9.25

プロのアスリートは食事の摂り方もプロフェッショナル。
試合で最大限能力を発揮するためにも、ケガを予防して長く競技生活を続けるためにも、日々の食生活に気配りは欠かせません。
そんなプロ選手たちはジュニアアスリート時代、何を食べて育ったのでしょう?
第6回は、2023年シーズンからJ3リーグ「SC相模原」に就任した戸田和幸監督が登場。
トップアスリートとして世界で長年戦ってきた監督に、食への考えをうかがいました。

戸田和幸(とだ・かずゆき)さん

1977年神奈川県生まれ。桐蔭学園高校卒業後、1996年に清水エスパルスに入団。2002年、日韓W杯メンバーに選出され全4試合にフル出場。その後イングランド、オランダや韓国などの海外リーグ、Jリーグ数チームでプレーし 2013年シーズンで現役引退。サッカー解説者として活躍しつつ大学や社会人チームの監督も務める。2023年シーズンよりSC相模原の監督に就任。

子どもの頃よく食べたもの:唐揚げ

好きな鮨ダネ:マグロ赤身

好きな魚料理:アジやホッケなど焼き魚

アスリートにとっては
食事もトレーニングの一貫

2002 FIFAワールドカップでは赤いモヒカン姿で日本代表のベスト16に貢献し、引退後は論理的な解説者としても評判だった「SC相模原」の戸田和幸監督。就任にあたり希望していたのが、選手の食事施設の整備でした。それを受けてチームでは 「SCS TEAM LOUNGE」を新設。専属の管理栄養士が監修した昼と夜の食事の提供や体のメンテナンスを行っています。

「筋肉も骨も血液も、体はすべて食べたもので作られます。偏った食事はケガのもと。体を資本にして生きるアスリートにとっては、食事もトレーニングの一環なのです」

そう断言する戸田監督。食事施設があることで、選手は準備に煩わされずバランスの取れた食事が摂れ、サッカーに集中できるのです。

「パフォーマンス向上のためには、適切なタイミングで適切なものを摂取すること。トレーニング後30分以内に栄養補給し休養することで筋肉修復力が高まるので、練習後なるべく早く食事が取れるよう、チームラウンジから遠い場所で練習があるときは弁当にしてもらっています」

特に暑い季節には、水分の摂り方にも気をつけなければいけません。

「脱水は体にダメージが残るので、暑い時期は練習の前後はもちろん練習中もこまめな水分摂取を徹底。練習前と練習後の体重差×1.0~1.2の水分摂取を推奨しています。夏は水分ばかり摂って食欲が低下しがちですが、少しずつ水分を摂ってがぶ飲みを防げば、食事も摂りやすくなります」

理路整然と語る戸田監督。栄養やトレーニングに関する知識が普及している今、サッカーにも変化を感じているといいます。

「サッカー自体が昔に比べるとゲームスピードが上がっていて、運動強度が上がっているのです。だから今はなおのこと、食事やトレーニングをおろそかにするとこの世界ではやっていけません」

故郷の相模原でJリーグ監督デビューをすることとなった戸田監督。

練習を振り返って個別にアドバイスも。「運動後30分が栄養補給のゴールデンタイム。早く食事をするよう声がけすることも」

ストイックに制限しすぎず
ストレスを解放する時間を

相模原は、戸田監督が18歳までを過ごした故郷でもあります。サッカーしか好きなものがなかったという少年時代は、時代のせいもあり食への関心は薄かったのだそう。

「食べるのは好きだったので3食しっかり、野菜もきちんと食べるようにはしていましたが、子供の頃は魚よりも肉が好きで、唐揚げをよく食べていましたね。スポーツ選手は余分な脂質は控えるべきですが…。もし若いうちから食べる内容やタイミングに気を遣えていたら、もっと強い体になっていたと思います」

戸田監督が食について意識するようになったのは、プロ選手になってからだといいます。

「プロ時代に、食事次第で体が変わってくることを実感しました。大人になると魚好きになり、一人暮らしの頃は朝から干物を焼いて、白米、納豆と味噌汁の朝食が習慣に。試合で走るためには炭水化物も必要なので、現役時代によく食べていたのは米ですね。炭水化物はトレーニングや試合の前は必要ですが、活動量の少ない夜はタンパク質メインの食事に。試合前には消化の悪い揚げ物は摂らないのも習慣でした」

プロ選手にとっては食事も仕事の一環であり、食べたくないときも食べなくてはいけなかったため、戸田監督自身、食事が楽しめないことも多かったといいます。

「引退後は厳密な食事管理の必要もなく、妻の手料理を楽しんでいます。ただ、毎日次の試合やトレーニングに向けて準備をしないといけないので、オフの日も休んでいられないし、深夜まで仕事をしがちなんです。だから今は食事よりも睡眠が課題ですね。心身ともに健康な状態に整えておかないと思考も鈍りますから」

食事管理に取り組むアスリートには、ストレスコントロールも大事にしてほしいと語ります。

「あまり制限しすぎるとストレスが溜まってしまうので、自分を許してやる隙間を持つこと。僕はラーメンが好きですが、誰でも好きな食べものはあるでしょうから、自分に好物を許すときもたまにはあっていい。重要なのはそれをいつに設定するか。やはりオフの日くらいでしょう。タイミングを見極めて、自分と折り合いをつけていくことが大切なのです」

「SCS TEAM LOUNGE」のある日の夕食メニュー。「ここでの食事を通して栄養への理解を進め、食事を提供してくれるクラブへの感謝の気持ちも忘れないでほしい」と戸田監督。

カルシウムやタンパク質が摂れる牛乳やヨーグルトなども用意されています。

魚を食べると健康に良いと言われる、その訳は?

「魚は体に良い」とよく言われていますが、魚の何が私たちの体に良いのかご存じですか?ヘルシーだと人気のサバ缶やイワシ缶を手に取って「脂質の量が思っていたより多い」と感じたことはありませんか?魚の油とはどんな油なのでしょうか。魚の栄養について、そしていつ食べるといいのかについても探ってみましょう。

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▶︎(https://umito.maruha-nichiro.co.jp/article61/

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