アスリートを育む食卓05

「SC相模原」
安藤翼選手は
何を食べて育ったか?

2023.8.31

プロのアスリートは食事の摂り方もプロフェッショナル。
試合で最大限能力を発揮するためにも、ケガを予防して長く競技生活を続けるためにも、日々の食生活に気配りは欠かせません。
そんなプロ選手たちはジュニアアスリート時代、何を食べて育ったのでしょう?
第5回は、J3リーグ「SC相模原」のミッドフィルダーとして活躍する安藤翼選手が登場。
スタミナが不可欠なアタッカーが日頃から心がけている食の工夫とは。

安藤翼(あんどう・つばさ)さん

J3リーグSC相模原所属。背番号14、ポジションはMF。1996年大分県生まれ。長崎総合科学大附属高、駒澤大学卒業後、2019年にJFLホンダロックSCに入団。2020年にJ3のヴァンラーレ八戸、2021年に当時J2のSC相模原へステップアップ。2022年には4得点を記録。2023年は戸田和幸監督の新体制のもとチームの躍進を図る。

子どもの頃よく食べたもの:おにぎり

好きな鮨ダネ:新魚全般。今はサーモンやサバ

好きな魚料理:マグロとアボカドのユッケ

漁業が盛んな土地で育ち
お母さん譲りの料理上手に

ギラギラと日差しが照りつける真夏の練習場。全体練習後にドリブル練習を続けるグループの中に安藤翼選手の姿がありました。こまめに水分補給しながらとはいえ、炎天下で走り続けるスタミナには驚嘆します。

「サッカーを本格的に始めたのは小学校3年生のころ。それ以来、ずっとミッドフィルダーなどの前線ポジションです。だから走りっぱなしで運動量がすごく多いんですよね。特に夏場は練習や試合が終わると体重が落ちてしまうので、食事や水分補給がとても大事なんです」

そんな言葉からも、食への意識の高さがうかがえる安藤選手。実は前チーム時代から料理上手としても評判に。SNSにも、ごはんと味噌汁に鶏ハムなどの主菜や副菜、たっぷりの野菜サラダにフルーツまで、6〜7品が並ぶ手作りごはんの写真がアップされています。

「今シーズンからクラブが用意する食事をいただいていますが、それまでは基本的に自炊していました。料理好きなのは母の影響かもしれません。母が料理上手で品数豊富にバランスよく作ってくれていたので、子供の頃から好き嫌いもありませんでした」

安藤選手は大分県の豊後水道に面した海沿いにある津久見市の出身。マグロ漁が盛んな地域でもあり、小さな頃から魚が身近な存在だったそう。

「親が知り合いの漁師さんからマグロをいただいたりして、食卓にもよく登場していました。今思えば本当に贅沢でしたね」

中学に入り、車で30分かかるクラブチームに通っていた頃は、いつもお父さんがおにぎりを持参して迎えに来てくれていたそう。

「だから子供の頃よく食べていたものとして思い出すのはおにぎり。ツナおにぎりをよく食べましたね。パンよりもごはん派で、中学時代は毎日大盛りごはんをお代わりしていました。その頃は、大きくなるためにはごはんを食べろと言われていたこともあって」

実は弟の安藤瑞季選手もJリーガー。兄弟揃ってプロサッカー選手として活躍する強い体は、ご両親の支えと豊かな食環境の影響もあるのかもしれません。

全体練習中に行われる紅白戦の1シーン。気迫が伝わります。

170cm67kgの体格ながら、巧みなボディコントロールに定評がある安藤選手。

魚を積極的に取り入れて
食のコントロールを

もともとバランスのいい食生活で育ってきた安藤選手。食べるものの栄養についてより深く考えるようになったのは、大学に入ってからだといいます。

「大学時代は食の栄養を意識している先輩が多かったので、その影響で食事の量より質を求めるようになりました。先輩のやり方を真似したり、栄養について調べたり、とにかくいろいろ試しましたね。魚の脂やタンパク質が大切だから肉ばかりではなく魚を食べよう、MCTオイルを使ってみよう、サラダも緑黄色野菜を使ったものにしようとか。DHA・EPAやミネラルのサプリ、プロテインなども大学の時からとるようになりました」

当時の試行錯誤を経て、自分に合うやり方がわかり、コンディションに合わせた調整もできるように。

「もっと走れるようになりたい、体を絞りたい、パンプアップさせたいなど、自分の理想やコンディションに合わせて食事内容を調整するようになりました。効果を上げるには食べ方も大切なんです。練習後は早く体に栄養素を送り込めるよう、なるべくすぐに食べたり。夜ごはんは食べすぎると翌日体が重くなるので軽めを心がけたり」

2023年シーズンにチームから昼食、夕食が提供されるようになり、自分で食事管理する頻度は減ったとはいえ、やはり食への気遣いは常に欠かせないようです。

「5大栄養素をバランスよく摂れるよう野菜多めを意識して、タンパク源としては、肉も好きですが魚を積極的に摂るようにしています。魚はEPA、DHAなど血流改善にいい栄養素が摂取できるので、アスリートにとって魚は本当に大事な食べ物です。逆に控えているのは揚げ物。脂質が多く体重や体脂肪が増えてしまうので、大好きな唐揚げやトンカツもオフの日以外は我慢し、体調管理しています」

大学卒業後、サッカーを続け、Jリーグに入ってからもステップアップを続ける安藤選手。その前進を支える意志の強さは、食生活のコントロールにも発揮されています。

プロサッカー選手ならではの太ももの筋肉は目をみはるほど。

チーム食堂のある日のお昼ごはん。1食1400〜1500kcalでアスリートに必要な栄養バランスをとりつつ、毎食必ず魚料理が入っています。

秋が旬の魚と言えば秋刀魚。それ以外を知っている?

漢字にも「秋」が入っている通り、秋の魚として思い浮かぶサンマ(秋刀魚)。でも秋に旬を迎える魚はほかにもたくさん。京都の祇園祭の料理に欠かせないあの魚も、実は秋がいちばんおいしいとされているのです。秋にいちばん脂が乗って旨みを増す魚を知って、そのおいしいタイミングを逃さず味わいましょう。

もっと詳しく知りたい人はコチラ
▶︎(https://umito.maruha-nichiro.co.jp/article64/

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