アスリートを育む食卓03

「横浜DeNAベイスターズ」
伊勢大夢選手は
何を食べて育ったか?

2023.4.5

プロのアスリートは食事の摂り方もプロフェッショナル。
試合で最大限能力を発揮するためにも、ケガを予防して長く競技生活を続けるためにも、
日々の食生活に気配りは欠かせません。
そんなプロ選手たちはジュニアアスリート時代、何を食べて育ったのでしょう?
第3回は、「横浜 DeNA ベイスターズ 」のピンチを何度も救い“伊勢大明神 ”とも呼ばれる投手 、伊勢大夢選手が登場。その強靭な体を作り上げた食生活とは。

伊勢大夢(いせ・ひろむ)さん

投手。右投右打。1998年熊本県生まれ。九州学院高時代にエースとして春夏の甲子園に出場。
明治大学時代には主にリリーフを務め、第6回世界大学野球選手権大会で代表に選ばれ優勝。
2019年ドラフト3位でDeNA入団。2022年は71試合登板で防御率1.72を記録。背番号は13。

子どもの頃よく食べたもの:米

好きな鮨ダネ:白身の魚

好きな魚料理:サンマの塩焼き

お米で体を大きくしながら、
走り込みでキレもキープ

2022年にはセ・パ両リーグトップの71試合に登板しながら防御率1.72、球団新記録の39ホールドポイントの記録を残し、チーム躍進の原動力となった伊勢選手。183cm94kgという体格にも気迫があふれます。でも子ども時代はずいぶんイメージが違っていたよう。

「高校までは、身長は高かったんですけれどガリガリだったんですよ」

小学生のときにお父さまの勤め先である「Honda熊本製作所」の硬式野球部の試合を観戦したのがきっかけで野球を始めた伊勢選手。そのお父さまが、体作りの面からも応援してくれたそうです。

「親父が鶏ささみを買ってきて焼いてくれて、『とにかく米とこれを食え!』と。僕自身も、野球がうまくなるためは体が大きいほうが有利だと思っていたのでバクバク食って。中学生の頃は毎晩米を2.5合くらい食べていたかな」

九州学院高等学校野球部では1年生から活躍。その当時の食事量は凄まじいほど!

「朝はがっつり丼メシ。朝練して、終わったら近所の唐揚げ屋さんの結構なボリュームの唐揚げ丼を食べて。授業が始まって、2時間目が終わったらおにぎり2つ。その後昼メシを食べて、練習前と練習の合間、練習後にもおにぎり数個ずつ。家でもしっかり晩メシを食べていました。お腹がすくからではなく、こまめに時間を決めて食べるようにしていたんです」

そんな努力の甲斐あって、高3の頃には20kgほども体重が増え、がっちりとした体格に成長。並行して、瞬発力をよくする努力も怠らなかったといいます。

「ピッチャーは試合で走ることはそんなにないけれど、体のキレは重要。そのためには速く走れる体でなきゃいけないと昔から思っていたんです。だからどれだけ食べても短距離ダッシュのトレーニングはするようにしていました。体ばかり大きくなっても、動きが鈍いんじゃ意味がないから」

栄養知識を一度学べば、
選手人生の助けになる

体を大きくすることに専念していた少年時代から一歩進み、食べるものの栄養について考えるようになったのはプロ野球選手になってからだといいます。

「今は食べた分だけ大きくなるんですよ。特に白米は、僕にとってはいちばん太る食材みたいで。だから夜に米をあまり食べないようにしたり、玄米などの腹持ちのいい炭水化物を選んだり、太らないよう工夫しています」

食事はバイキング形式で出されることも多く、自分で栄養バランスを考えながらメニューや量を調整する必要があります。

「朝は白米、味噌汁と、卵料理とサラダ、ヨーグルト。昼ごはんは、練習中のエネルギーになる炭水化物を摂りたいので、うどんやごはんものだけでさくっと。ウエイトトレーニングの前後にはプロテインサプリも飲みます。夜はなるべく低脂肪にしたいので鶏肉が多いかな。牛肉や豚肉なら赤身か、脂肪を取って食べます。ごはんが少なくても満足感があるようにサラダも多めに」

2021年末には若手選手寮「青星寮」を出て一人暮らしを始めた伊勢選手。Webでレシピを調べながら自炊もしています。

「時間があれば魚を買って焼いたりもしたいんですけど、シーズン中はかんたんに。試合後のケータリングでおにぎりなどは食べますが、帰宅後も小腹が減るので、ささみや鶏胸肉と野菜を炒めたりします。夜遅いので、米は食べずにサラダを添えたり」

日々ウェイトコントロールに気を使っている伊勢選手。シーズンオフにはお酒もよく楽しむそうですが、シーズン中にはときどき飲む程度に。

「そりゃ打たれた日はキツいから飲みますよ(笑)。寮にいたときに『青星塾』という座学でチーム専属の栄養管理士さんから栄養の講義を受けたんですが、その中で『飲みすぎはダメだけど、ビール少しくらいなら体の回復にいい影響がでやすい』と教わって。酒は全く飲んではいけないと思っていたので、気が楽になりました」

寮時代に身につけた栄養の知識は、自立後の日々の食事の指針になっているといいます。

「自炊のために一人で買い物をしてるときにも、バランスを考えた食材選びが自然にできています。当時はしぶしぶ受講しましたが(笑)、その知識は今も毎日活きているので、学んでよかったなと感謝しています」

魚の脂を逃さないのがコツ

魚の脂には健康に生きるために必要と言われているDHAやEPAが多く含まれています。体内でほとんど作られない必須脂肪酸で、食事から摂取する必要がありますが、気をつけたいのは、熱を加えると脂肪とともにDHAが逃げ出してしまうということ。焼いたり煮たりすると生のときの約80%、天ぷらのような揚げ物では約50%に減ってしまいます。ホイル焼きにするなど、脂をなるべく逃さないような工夫が必要です。

もっと詳しく知りたい人はコチラ
▶︎(https://umito.maruha-nichiro.co.jp/article61/

ページ上部へ