
人生100年時代の
「おいしい」介護食
ユニバーサルデザイン
フードとは?
介護食と聞いて思い浮かべるのはどんなイメージでしょう?
「食べる喜び」を与えてくれる食事をいつまでも楽しみたい。
進化を続ける“介護食の今”を2回にわけてお届けします。
「安全に、食べやすく」の
基準は
人によって違う

舌でつぶせるかたさの介護食「やさしい素材」のアジ、トマト、キャベツを使った人気メニュー
八宝菜、きんぴらごぼう、エビチリ、ビーフステーキ、アジフライ。実はこれらはすべて「舌でつぶせる」かたさの介護食です。年を重ねて身体のさまざまな機能が衰えても、毎日の食事を楽しみたい。そんな望みに応えるべく、介護食は日々進化しています。
高齢者に食事を提供する際の重要なポイントとなるのが、「噛む力」と「飲み込む力」。 噛む力が弱いと硬いものや大きなものを細かくすることができず、飲み込む力が弱いと、水分が少なく口の中でばらけてしまう食品や、上あごなどに張り付いてしまう食品は誤嚥性(ごえんせい)肺炎(食品が気道から肺に入ってしまうことで起こる肺炎)を招く危険性があります。 介護食において、安全性と食べやすさは大前提。刻んだり、ミキサーにかけたりする工夫が、介護食作りには不可欠です。
介護保険制度が創設された2000年頃からは、市場の拡大を見込んで食品メーカー各社も介護食の開発に着手。とろみやかたさなどの数値化が進み、さまざまな商品が発売されるようになった一方で、統一の規格や基準がなく、メーカーによって表示の仕方は様々でした。そこで利用者も提供者も混乱せず、安心して商品を選べるような基準作りが始まったのです。
だし巻き卵か、
スクランブルエッグか、
やわらかい茶碗蒸しか
それが、食品関連企業などを会員とする日本介護食品協議会が設けた統一規格「ユニバーサルデザインフード」です。
食べやすさに配慮して製造された加工食品で、パッケージにはそれぞれ「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」の4段階が表示されています。かむ力や飲み込む力の目安が示されているほか、卵料理ではどんなものが各段階に該当するかといった具体例も示され、商品を選ぶ時のみならず、介護食を手作りする際の基準としても活用されるようになりました。

出典:日本介護食品協議会
これまで、「自分に合った食事の形態が自分で判断できない」ことが課題だったという介護の現場。ユニバーサルデザインフードの登場で、「どの段階のものを食べられるのか」食事を提供する側とされる側で確認し合うことができるようになったことは、大きな前進といえるでしょう。
介護食をパートナーに
マルハニチロの「メディケア食品」も、ユニバーサルデザインフードの基準に基づき、2005年からさまざまな介護食を開発してきました。

魚の切り身の形はそのままに、骨を丁寧に取り除き「歯ぐきでつぶせる」かたさにしたサバ。

魚や肉、野菜などの食材を、舌触り滑らかなムース状にして「舌でつぶせる」かたさに。

カボチャの煮物を「かまなくてよい」ペースト状に。(左上は通常のカボチャの煮物)
最近は人手不足が深刻なこともあり、自然解凍するだけで提供できるものや、主菜と副菜をセットにしたものが注目されています。

「舌でつぶせる」かたさのムース状にしたホイコーロー、小松菜と椎茸の塩炒め、さつまいものレモン煮のセット。
食事をする人も、食事を介助する人も、それぞれの状況に合わせて選べるようになった介護食。いつ誰が作っても安定した形態で提供できる介護食の普及が、「介護」の現場を支えています。
取材協力:
マルハニチロ メディケア・コントラクト営業部
最高で100年以上生きる魚も。
魚の寿命ってどれくらい?
卵を産んで一生を終えることで知られるシロサケは約4年。一生に一度だけ繁殖するスルメイカは約1年、マダコは1~2年。寿命の長い魚としては、なんと推定512歳のニシオデンザメも発見されています。ではアジ、マイワシ、マサバなど身近な魚の寿命はどのくらいなのでしょうか?
もっと詳しく知りたい人はコチラ
▶︎(https://umito.maruha-nichiro.co.jp/article66/)