海外最新トピックfrom Paris

塩分もフードロスも
減らせる。
パリは今、発酵野菜を
使った料理が人気

2023.11.29

今、世界ではどんなことが話題になっている?
現地在住リポーターが、これからの食と未来の暮らしのヒントとなるような
最新トピックをお届けします。今回はパリからリポート!

おいしさ+環境への配慮が
パリのスタンダード

近年、高級店でもファストフード店でも、環境に配慮し、できるだけ近距離で栽培された素材を選び、無駄なく使うことが、共通の価値観になっているフランス。レストランにはおいしさだけでなく、食材選びからサービスにいたるまでサステナビリティの実践を目指す努力が求められるようになりました。

人気のカフェ・レストラン「グラム」のシェフが大事に発酵させている柿(左)とキムチ(右)。©ROMAIN TELLIER

そんな中、健康や環境にポジティブで、レシピに個性も出せると料理人たちが注目しているのが、乳酸発酵させた野菜。
塩水に野菜を漬けるだけという手軽さに加え、生の野菜に比べて消化がよく、腸内環境を整え、保存がきいてフードロスも減らせる。
発酵によって生まれる穏やかな酸味や甘みがアクセントになり、料理の複雑さが増し、熱を加えないので野菜の彩りも保たれる。
スパイスやハーブを加えるなどアレンジも自在。
ガラス瓶に入れて棚に並べればインテリアにもなる、といいこと尽くめ。
新型コロナウイルスを契機に、免疫力をつける発酵食品への関心が高まったこともブームの追い風になっています。

パリ11区「グラム」のメニューから。食パンにソテーしたブロッコリーとホウレンソウ、イタリアのスカモルツァ・チーズ、ビーツのジャムを挟んだグリルサンドイッチには、旨みを凝縮させた発酵しいたけをプラス。©ROMAIN TELLIER

パリ3区と11区に店を構える「グラム」は、多国籍な味の組み合わせが評判のカフェ・レストラン。オーナーシェフのマリーヌ・ゴラさんも、発酵野菜に魅せられた一人です。

「これまでたまねぎ、しいたけ、ルバーブなどの酢漬けを多く使ってきましたが、発酵野菜は自然な甘みや香りが生まれるので、料理の幅がさらに広がります。フルーツの発酵もいろいろ試しているところです」

発酵アプリコットを加えた中華風ソースをかけたグリルチキン。©ROMAIN TELLIER

朝食メニューで人気の一品、ジャガイモ入りのフラットブレッドは、ジャガイモのピューレを発酵させてからパン生地に加えることで風味を増すと同時に消化よく、レバノン発祥の水切り塩ヨーグルト“ラフネ”と、発酵させた柿のソースを添えて発酵食品尽くしの一皿に。

朝食メニューで人気の一品、発酵ジャガイモ入りのフラットブレッド。©ROMAIN TELLIER

「柿は細かくカットしてから塩水に2~3日漬けておくと適度な塩味が加わり、自然な甘みと塩味を料理に融合できます」

身近な食材で創造力を競う料理人にとって、発酵は欠かせないキーワードになっている様子。

◎Gramme
86 rue des Archieves, 75003 PARIS
96 rue Jean Pierre Timbaud, 75011 PARIS
https://www.grammeparis.fr/

家庭料理の万能選手、
サバが高級店のメニューに

食材への意識の変化は、レストランの魚メニューにも現れています。
フランスではこれまで家庭料理で親しまれながら高級レストランの料理に登場することはなかったサバ。近年は、オメガ3脂肪酸など栄養価の高さが注目されて、著名な料理人たちも積極的に取り入れるようになりました。

©Thomas Vauchel

ミシュラン二ツ星を獲得している女性シェフ、エレン・ダローズさんのカジュアル・レストラン「ジョイア」のサバ料理は、ハーブやエディブルフラワーを飾った華やかな一品。フランス南西部の港町、サン・ジャン・ドゥ・リュズから届く新鮮なサバを開いてパン粉を薄くつけ、丸ごとフライに。表面をしっかり焼いて酸味を和らげたライムを搾り、サバの脂身を抑えてさっぱりと仕上げています。
焼いても蒸しても揚げてもよし、温菜にも冷菜にも合うサバの魅力は、家庭料理を越えて料理人を魅了しているようです。

©Nicolas Buisson

◎Jòia
39 rue des Jeuneurs, 75002 Paris
https://www.joiahelenedarroze.com/

三富千秋(みとみ・ちあき)

地方新聞社に勤務した後、1999年に渡仏。
パリ在住24年目のフリーライター。
菓子、パン、チョコレートを中心に、
フランスの食や暮らしにまつわる話題を
専門誌や女性誌に寄稿している。

魚を食べると健康に良いと言われる、その訳は?

「魚は体に良い」とよく言われていますが、魚の何が私たちの体に良いのかご存じですか?ヘルシーだと人気のサバ缶やイワシ缶を手に取って「脂質の量が思っていたより多い」と感じたことはありませんか?魚の油とはどんな油なのでしょうか。魚の栄養について、そしていつ食べるといいのかについても探ってみましょう。

もっと詳しく知りたい人はコチラ
▶︎(https://umito.maruha-nichiro.co.jp/article61/

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