「あなた」にとって必要な栄養を提供するために、私たちができること

世界人口が100億人に迫ると言われる今、良質なタンパク質の確保は、地球全体の課題です。一方で日本では、高齢化の加速に伴い、医療費の増大や介護の負担が深刻化しており、「病気になってから治す」時代から「病気にならない体をつくる」時代へと変わりつつあります。
今、こうした社会の変化と正面から向き合いながら、私たちは改めて感じています。
〈魚という“健康食材”は、その価値を、生活者の皆様にまだ十分に伝えきれていないのではないか〉と。
だからこそ、これからの私たちは、単に魚を“売る”のではなく、技術の力でその本質的な価値を引き出し、健康を支えるチカラに変えていきます。
たとえば今、私たちが開発を進めているのが、DHAなどの機能性成分につきものの「魚特有のにおい」を取り除き、それらを日常食に自然に組み込む技術。匂いを気にすることなく、魚が苦手な方でも、毎日の暮らしの中で、無理なく栄養を摂れる環境をつくりたいのです。
さらにその先に見据えているのが、パーソナル・スーパーフードの時代。これからは、どんな人にとっても等しく“良いもの”ではなく、その人にとって“最適なもの”を届けることが当たり前になっていきます。そのとき、デジタルと食の力を掛け合わせ、個人の体調や食習慣に合わせた「解」を、私たちは届けていきたいのです。病気を治すのではなく、病気にならない暮らしを、日常の中に自然と組み込んでいく。Umiosは、その未来を支える伴走者でありたいと考えています。
そして、健やかな暮らしの対象は、人間だけではありません。いまや大切な家族の一員となったペットにとっても、食は健康の要。私たちはペットフード事業においても、単なる“エサ”ではなく、ペットと飼い主、そして社会全体の「心の健康」を満たす食として、機能性や嗜好性をとことん追求しています。人用の食品と同じレベルの品質基準を設け、腎臓への配慮や、食欲が落ちた時でも“食べる喜び”を感じられる味わいを大切にすること。愛する家族と少しでも長く、健やかに過ごせる時間を増やすこと。それらもまた、食を扱う私たちが果たすべき、大切な責任です。
限りある資源と地球環境を守るためのソリューション

地球にある天然資源には限りがあります。さらに、気候変動による海水温の上昇は、漁業や水産資源に深刻な影響を及ぼしつつあります。
そんな中で私たちは今、「海に依存しすぎない未来」の可能性を模索しています。そのひとつが、細胞性水産物と呼ばれる最先端技術への挑戦です。
魚の細胞を培養して、水産物そのものをつくり出す──いわゆる“培養魚肉”。まだコスト面の課題はありますが、こちらも実用化はもうすぐそこまで来ています。現在は1貫5,000円ほどかかってしまう寿司も、10年以内にはコストを1/10に抑え、回転寿司の「少し高めの一皿」くらいの感覚で楽しめる未来を目指しています。
さらに、3Dプリンターの技術と組み合わせることで、可能性はさらに広がります。骨がなくて食べやすい魚。あるいは、自然界には存在しない全く新しい形状の魚。それらが新しいタンパク源として、日常の食卓にのぼる日も、そう遠くないかもしれません。
また、今ある海の恵みを守る努力も同時に進めています。たとえば、高水温に強い魚種「スギ」の養殖への本格的な取り組みや、すべての商品をサステナブルな認証水産物へと切り替えていく独自のブランド構想など。未来の環境に適応するために、私たちはあらゆる方向から可能性を拓いていきます。
天然の恵み。養殖の工夫。そして細胞性水産物という第三の選択肢。この3つが共存すれば、「100億人に必要なタンパク源を、持続可能なかたちで届ける」というビジョンも、夢物語ではなくなるはずです。
日本の漁業を「稼げる産業」へ。サプライチェーンの透明化

私たちは、いまの日本の漁業が抱える構造的な課題に、強い危機感を持っています。魚を獲っても、適正な価格がつかない。漁業者の所得は低く、後継者も育ちにくい。このままでは、漁業そのものが持続できなくなってしまう。それが現実です。
では、なぜそんな事態に陥っているのか。その理由のひとつが、「魚の価値が正当に評価されていない」という現状にあります。
たとえば、欧米では、日本と同等の魚が3割以上高い価格で取引されることも珍しくありません。そこには、トレーサビリティの有無という、大きな差があります。いつ、どこで、誰が、どんな方法で獲った魚なのか。そうした情報が正しくデータ化され、資源管理の下で扱われている魚には、価値がつくのです。
一方、日本では依然として「獲れるときに獲れるだけ」という古いスタイルが一部に残っており、データの整備も十分とは言えません。どんなに美味しい魚でも、「資源管理されたサステナブルな魚である」という確かな証明がなければ、世界ではすでに評価されないのです。
だからこそ私たちは今、水産サプライチェーンの透明化に取り組んでいます。たとえば、漁師さんが船の上でスマートフォンを使って魚を撮影する。その画像をAIが判別し、魚種やサイズを自動でデータ化する。こうして得られた情報を、流通の川下まで一気通貫で届けていく。そんな“見える化”の仕組みを、現場に無理なく実装していきたいと考えています。
きちんと資源を管理すれば、魚のブランド価値は上がり、輸出も拡大する。その結果、漁業者の所得が上がり、次の世代が「この仕事に未来がある」と思えるようになる。そして、海も守られる。そんな「三方よし」の循環を、私たちは本気でつくっていきます。
また、世界中の水産企業や科学者と連携する「SeaBOS(Seafood Business for Ocean Stewardship)」の活動にも参画し、科学的根拠に基づいた国際的ルールをもとに、違法漁業の撲滅にも取り組んでいます。
こうした地球規模での資源管理を大前提としながら、私たちは各地域の特性に合わせた事業も力強く推進していきます。北米では、天然資源を活かしたサプライチェーン全体のビジネスモデルを。欧州では、健康志向に応える高付加価値製品を。そしてアフリカには、急増する人口を支えるタンパク源を。
私たちUmiosのフィールドは、まさに「七つの海」すべて。世界の海と、そこに生きる人々の未来を守るために。いまこそ、日本の水産業を、新しいかたちで再生させるときだと信じています。
社会と共に創る、新しい「食」の未来

私たちはこれから、水産物を“売る”会社ではなく、海と共に生き、社会の問いに「解(ソリューション)」で応える会社へと、生まれ変わります。145年前、たった一隻の船から始まった私たちの旅は、今や、地球規模の未来に向けて舵を切る、大きな航海へと進化しました。
気候変動、資源の限界、健康課題。海の恵みを起点に、こうした時代の問いにどう応えるのか。それこそが、これからの私たちの存在意義であり、使命だと思っています。豊かな海を次世代へとつなぎ、世界中の人々の心と体を、健やかに満たしていく。そのために、私たちは技術を磨き、常識を疑い、挑戦を止めません。
海は、すべての命の源です。その海から生まれる無限の可能性を、皆さまの食卓へ。
そして、まだ見ぬ未来へ。
Umiosが切り拓く新しい景色を、どうぞ楽しみにしていてください。