食を満たす企業から、社会課題を解決する企業へ

私たちは今、時代の転換点に立っています。145年にわたり、日本と世界の食を支えてきた私たちマルハニチロは、新たな名前として「Umios(ウミオス)」を掲げる決断をしました。
背景には、日本国内市場の縮小や、天然資源の限界といった構造的な課題があります。ですが、私たちはこれらを“終わりのサイン”ではなく、“次の100年に選ばれる企業であるための始まり”として捉えています。
社名の変更は単なるリブランディングではなく、変革の起点です。変わることを恐れず、変えることで未来を設計する。その覚悟を込めて、「Umios」は生まれました。
新社名には、3つのキーワードが込められています。「UMI(海)」──創業の原点であり、命の起源であり、未来への希望。「ONE(ひとつ)」──社会、地球、企業、社員のつながりを尊重し、“一体となって未来をつくる”という意思。「SOLUTION(解決)」──食を満たす企業から、社会課題を解決する企業へと進化していく決意。

海とともに生き、つながりを大切にしながら、社会の問いに“解”で応える存在でありたい。
世界中で“SUSHI”が共通語となったように、いつか“UMI”もまた世界語となるように。そんなビジョンを掲げながら、私たちは挑戦を続けていきます。
私たちが解決すべき「未来からの問い」
今、世界中で人口は増加し、同時に食料供給の不安定化が深刻な課題となっています。この中で、持続可能なたんぱく質の供給は、もはや産業の課題ではなく、社会全体で取り組むべきテーマです。
また、健康寿命の延伸や医療費の抑制が叫ばれる今、私たちは「健康価値の提供」という役割も果たす必要があります。“未病”を防ぎ、健康を支える食の提案。それも、Umiosの使命の一つだと考えています。

Umiosが果たす役割は、もはや単なる食品企業の枠を超えています。社会のインフラの一部として、自覚と誇りを持ち続けていく。そのためには、私たち自身がこれまでの「当たり前」を見直し、変えていく覚悟が求められます。
社名変更や本社移転は、変化の象徴に過ぎません。本質は、私たち自身の働き方や意識の転換にあります。すべての社員が、従来の枠を疑い、変わることを恐れず、新たな文化をつくっていく。その意志が、未来のUmiosを形づくります。
変わりゆく時代に適応し、内から進化し続ける組織であること。それは、まだ見ぬ可能性に挑む“海の仕事”にも通じる姿勢です。「海を社名に掲げる」ことには、誇りと責任があります。漁業からはじまった企業として、地球最大の生態系に真摯に向き合い、その恵みを持続的に活用する技術と知恵を磨いていきます。
次の100年を。私たちの手で

私たちが長年手がけてきた「缶詰」は、常温で長期保存ができ、輸送時のエネルギー効率も高く、廃棄ロスも少ない、環境・社会・経済の三側面においてバランスの取れた、ESG時代を先取りしたかのようなプロダクトです。一見するとクラシックな保存技術ですが、その背後には、「海の恵みを余すことなく活かし、次世代につなげる」という、私たちの思想が込められています。
この姿勢は、いま私たちが挑んでいる次のテーマ=「魚という存在そのものの再定義」へとつながっています。現在、東京大学などの研究機関とも連携し、「魚の価値をどう言語化し、社会に伝えていくか」という探究に取り組んでいます。技術と思想の両面から、「魚の未来」を支えていく会社でありたいと思っています。
最後に、社員へのメッセージとなります。
社名が変わったからといって、自動的に何かが起きるわけではありません。変革の主語は、いつだって「わたし」であるべきです。私は、すべての社員に「自分の仕事を、社会課題の解決と捉えてみてほしい」と伝えたい。食のインフラを担うという誇りを持ちながら、海のように自由な発想で未来に挑戦してほしい。それが、私の願いです。
世界は今、大きく揺れ動いています。激動の国際情勢、人口爆発、資源制約。どれもが、私たちの暮らしを根底から問い直す変化です。こうした時代において、「食」はもはや当たり前にあるものではなく、未来へと受け継ぐべき“価値”そのものになっています。だからこそ、守る意義があり、支える責任があります。
今こそ、私たちが立ち上がる意志を示すときです。
Umiosは、海という地球の命の源とともに歩みながら、時代の問いに真摯に向き合い、その答えを社会に届け続ける存在でありたいと思います。
