マルハニチロ
プロジェクトストーリー#2

よかとと 薩摩カンパチどん

水産品として初めての機能性表示食品

マルハニチロでは2018年、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)を
含有した「よかとと 薩摩カンパチどん」が水産品として日本で初めて「機能性表示食品」として受理されました。
生鮮食品であることで生じる課題にどのように立ち向かったのか、「機能性表示食品」として受理されるまでの道のりをご紹介します。

Phase1 養殖カンパチで健康をサポートしたい

カンパチは暖かい海域に生息する海水魚で、脂がのってもあっさりとした味わいであることが特長です。マルハニチロでは、2000年からカンパチの養殖を開始し、「よかととシリーズ」としてブランド化し、生産・販売してまいりました。
一般的に、養殖魚は天然魚と比較して脂質の含量が高い傾向にあります。養殖カンパチもまた、脂のりが良いことが特長で、DHAやEPAが豊富に含まれていることから、おいしさだけでなく栄養機能も魅力の一つでした。品質にこだわり抜いた安全安心な養殖カンパチを通じて、お客さまの生涯の健康をサポートしたいという想いから、マルハニチロでは2016年、機能性表示食品としての養殖カンパチを開発することを決定しました。その時点で、生鮮食品区分で水産品を対象にした商品の届出はなく、日本初、業界初をめざした挑戦が始まりました。

Phase2 「初」を実現するために、手探りで積み上げた

機能性表示食品の届出数は年々増加していますが、生鮮食品の占める割合は極めて少ないことが知られています。その要因の一つに、加工食品と同じレベルでの品質管理、すなわち機能性関与成分の含有量を担保することの難しさがあげられます。
一般に、生鮮食品には「旬」があり、季節や産地などでおいしさは異なります。また、同じ品種であれば全て同じ味ということはなく、育つ環境の違い、食べる部位の違いにより、品質も変わってきます。このように、品質のばらつきがあること、これが生鮮食品のおもしろさである反面、流通上では大きな課題となるのです。

養殖カンパチもまた、個体、部位、季節変動などで関与成分量がばらつくリスクがあり、通年でのデータ蓄積が必要でした。そこで、およそ1年もの間、毎月養殖場からカンパチを送付してもらい栄養成分に関するデータを蓄積しました。
さらに、流通形態における課題も浮上しました。冷蔵流通にすると、店舗での在庫管理が難しいほか、摂取目安量通りに加工を行う作業負担が生じるなど、品質を担保するための販売店舗の負担が大きくなってしまいます。そこで、「よかとと 薩摩カンパチどん」では規格重量にカット・真空パックした後、急速凍結した形態で販売することになりました。

Phase3 水産資源の新たな価値を生み出していきたい

柿崎 裕介さん

慎重に準備を重ね、2017年に消費者庁へ届出を行いました。1年を超える消費者庁とのやり取りを経て、2018年1月、ついに水産品で初の機能性表示食品として受理されるに至りました。これにより、「中性脂肪を低下させる」という機能性を商品に表示することが可能になり、養殖カンパチに機能性という付加価値を新たに持たせることができました。

魚由来の栄養素を基軸に、お客さまの生涯にわたって健康維持のお手伝いをしたいー。
その想いをかたちにするため、水産資源の新たな価値を生み出す研究開発に、今後も精力的に取り組んでまいります。