マグロの脂(あぶら)のりの解析

メタボリック・プロファイリングの手法を活用し、産地の違いが養殖マグロの脂質に与える影響を評価することが出来ました。
下記のように「メタボロミクスによる養殖マグロの脂質プロファイリング」としてまとめ、2010年度 日本農芸化学会大会においてトピックス賞を受賞しました。

研究の背景と目的

“あぶら(脂)の味”は感じられませんが、味にコクや深みを与えています。特に魚の“脂のり”はおいしさや価値を決める反面、産地や時期(旬)で異なります。食品中の脂は一種類ではなく多種多様であるため、その違いを物質レベルで細かく調べることは困難でした。そこで我々は最新の「メタボリック・プロファイリング法」に着目しました。これは特に医化学分野で発展著しく、尿や血液から物質レベルで大量の情報を面倒な処理なく整理して得る方法です。これを魚の分析に応用し、物質情報からの評価を試みました。

官能評価と機器分析との相関

分析機器による産地Aと産地Bのマグロに関する食品成分のプロファイリング
※これらのデータを統計解析する(多変量解析)
食品成分のプロファイリング(多変量解析の手順)
主成分分析(PCA)
官能評価と機器分析の融合(プロファイリング技術)

今後の展開

今回、脂の“物質情報”が飼育環境の違い(産地A、B)を反映していることがわかりました。このように味や品質の特徴を「メタボリック・プロファイリング法」により“物質情報”から解明することができれば、“食品の味・おいしさ”を科学的に説明できると考えています。
これを活用することにより、主観的(職人芸)な味に関わる技術を客観的(素人でもできる)に管理・改善する技術や、物質情報から味を予測し、さらにコントロールする技術への展開の可能性が考えられます。

学会発表

2010年度 日本農芸化学会大会 トピックス賞
鎌田 彰、河原崎 正貴、小泉 大輔、小山 法希、島田 昌彦、江成 宏之、根本 直1
(1産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門)

参考資料

根本直:新しい食品計測法「NMR-メタボリック・プロファイリング」入門, ジャパンフードサイエンスVol.48, 12(2009)

»