DNA-Na

サケの白子

サケ白子(精巣)には何万、何億というサケの精子が蓄えられています。そのひとつの精子の頭部に核たんぱくが収納されています。この核たんぱくは、DNA(核酸)と塩基性たんぱく質(ヒストンおよびプロタミン)が結合した物質で、遺伝情報の調節に関与しています。
いままでサケ白子は需要が少ないため、ほとんどが廃棄同然にフィッシュミールの原料になっていましたが、食品産業の分野において核たんぱくが注目され、供給源であるサケ白子が有益なものになってきました。
現在、サケ白子の主成分である精子の核たんぱくから、遺伝子であるDNA(核酸)と塩基性たんぱく質(ヒストンおよびプロタミン)を取り出し、栄養補助食品素材や機能性素材の開発がすすめられています。

白子由来の機能成分

DNA

DNAは、サケ精巣を分離、精製した粉末状の栄養補助食品素材です。古くからフランス、中国をはじめ多くの国で健康食品、化粧品、医薬品等に使用されています。マルハニチロでは水への溶解性を高めた製品の開発にも成功し、飲料へも使用しやすくなっております。

プロタミン

プロタミンは構成アミノ酸の2/3以上をアルギニンによって占められる特異なたんぱく質です。プロタミンは精子核中に核酸DNAと複合体を形成しており、DNAを保護する機能を持つと言われています。

ヌクレオプロテイン

ヌクレオプロテインは、サケ精巣に10~20%程度存在する精子核の主成分で、白色粉末状の栄養補助食品素材です。その主成分はDNAおよびプロタミン(塩基性たんぱく質)です。

サケ天然型DNA(高分子DNA)

生分解性素材として導電性フィルム、有機EL素材、医療用・歯科用材料などの分野への応用利用が期待されています。天然中のDNA二重らせん構造を保持した高純度のDNAです。

DNAの生理機能

1. 悪酔い防止効果

DNAには肝機能改善効果があると言われていたことから、飲酒に対するDNAの効果をウコン抽出物と比較しました。健康な30~50代の男性4名に、アルコール摂取30分前にDNA 500mg,2000mg,あるいはウコン抽出物(クルクミン30mg配合)1500mgを摂取してもらい、ビール1本(633ml:アルコール濃度5.5%)を飲み、飲酒後の血中アルコール濃度、血中アセトアルデヒド濃度及び血中酢酸濃度を測定しました。その結果、血中アルコール濃度には大きな変化が見られなかったものの、DNA摂取群で血中アセトアルデヒド濃度の上昇が有意に抑制され(図1)、血中酢酸濃度が低下傾向にありました(図2)。したがって、DNAにはウコン抽出物よりも高いアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の亢進能を有し、悪酔いをしにくくする効果が期待されます。

図1 飲酒後の血中アセトアルデヒド濃度の推移
* :p<0.05
図2 飲酒後の血中酢酸濃度の推移
**:p<0.01

2.肌質改善効果

DNAを3%配合したクリームと無配合のクリーム(コントロール)を30~50代の男性20名に12週間塗布してもらい、肌への効果を検証しました。試験の結果、DNA群では4週目から肌の弾力性が有意にアップし(図3)、12週目には水分蒸散量の低下(図4)と肌の保水率が増加する傾向が認められました(図5)。以上より、DNAには肌の保湿性を高め、うるおいを与える作用があることが確認され、化粧品素材として有望であることが示唆されました。

図3 DNA配合クリームの肌の弾力性に対する効果
図2 飲酒後の血中酢酸濃度の推移
(Tewameter:TM30にて測定)
図5 顔の保水率に対する効果
(Tewameter:TM30にて測定)

おまけ:DNAを食べても尿酸値は上がらない?

図6 DNAの摂取と尿酸値の推移

血液中の尿酸が増えたときに、尿酸が関節部などに蓄積するために起こる病気に通風があります。体内の尿酸は、核酸成分であるプリン塩基から作られます。そこで、40~60代の健常な成人男性8名にDNAを毎日2gずつ8週間摂取してもらいましたが、血中尿酸値に影響はありませんでした(図6)。プリン塩基とピリミジン塩基をバランス良く摂取すれば尿酸値は上がらないという文献もあり、この試験からもDNAの摂取と血中尿酸値に相関関係はなく、痛風の心配も要らないことが分かりました。

参考文献

  1. 許慈芳ら, 「サケ白子由来デオキシリボヌクレオシド一リン酸(dNMP)の肌質改善効果」,日本化粧品技術者会誌,43(3),209-216 (2009)
  2. 許慈芳ら,「サケ白子由来DNAのヒト肌質改善効果」,日本化粧品技術者会誌,43(2),107-112 (2009)
  3. 吉岡久史ら,「サケ白子由来「DNA-Na」の機能性と食品への応用~アンチエイジング素材としての可能性~」, ジャパンフードサイエンス, 48(7), 48(2009)
  4. 河原崎正貴ら,「サケ白子デオキシリボ核酸のアルコール代謝促進効果」, 日本食品科学工学会誌,55(12),632-636 (2008)
  5. 関戸治知ら,「サケ由来DNA(デオキシ核酸)の肌機能改善剤としての開発」, COSMETIC STAGE,3(2),47-50(2008)
  6. 御手洗誠ら,「シロサケ白子由来DNAの老化促進マウスに対する脳機能改善及び老化抑制効果」, 日本食品科学工学会誌,55(10), 461-467(2008)
  7. 御手洗誠ら,「マウスの走行耐久力に対するシロサケ白子由来DNAの効果」, 日本食品科学工学会誌,55(10), 510-514(2008)
  8. 庵原啓司ら,「サケ由来の機能性食品素材の開発とその応用」, 食品工業, 50(18), 104-116(2007)

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