食と健康の話

食べることは生き物が生きていく上での基本的な営みで、人が健康な生活を送るために健全な食生活は欠かせません。日々の食事のバランスと運動が大切です。「医食同源」とありますように、「食」を通じた健康維持の考え方は、江戸時代の貝原益軒(1630年~1714年)が健康な生活をおくるための暮らし方について書かれた「養生訓」(1713年)にも健康管理に食生活が重要であると記載されています(節度ある飲食こそ基本、五味(酸、苦、甘、辛、塩)のバランスをとり、食べる量は腹八分目が適量)。現代でも、厚生労働省や農林水産省から提唱されている「食事バランスガイド」にありますように、主食、主菜、副菜を基本にバランスのとれた食事と適度な運動が、健康増進や疾病予防のためには重要であると推奨しています。

食事バランスガイド

食の持つ機能

食は大きく3つの機能があるといわれています。 一次機能:栄養 タンパク質、脂質、糖質、ビタミンなど、エネルギー源や身体の構成成分となる栄養素を補給して生命活動を維持する機能 二次機能:嗜好 味、香り、色、食感、形、大きさなど、食べたときにおいしさを感じさせ、満足感を与える機能 三次機能:生体調節 生体防御、体調リズム、老化抑制、疾病の予防、回復など、生理機能を調節する機能

食品と医薬品の役割の違い

医薬品は疾病の治癒を目的としていますが、食品は健康の維持・増進や、低下した生理機能の回復、疾病の予防などのリスク低減に寄与しています。

日々の健康管理にはおいしさ、質、量ともに、バランスのとれた食事をとることが重要です。

健康(疾病予防)には日々の食生活が大切 おいしさ、質、量バランスのとれた食事

日本人の食のバランスはどう?

例えば、日本人は魚離れが進んでいます。

国民1人1日当たり魚介類と肉類の摂取量の推移

特に、40歳代以下では魚介類よりも肉類を食べる量が多く、10歳代の育ち盛りでは顕著に見られます。

魚介類と肉類の摂取量(世代別)

地域別で見ると、大都市圏や西日本で肉類の摂取が多くなっている傾向が伺えます。

魚介類と肉類の摂取量(地域別)

魚には優れた栄養成分がたっぷり

魚は良質なたんぱく質だけでなく、身体に良いDHA・EPAやビタミン類、ミネラルを豊富に含んでいます。

良質なたんぱく質 身体の成長・維持に役立つ 成人の1日所要量 男性70g、女性50g(妊婦60g、授乳婦70g)成長期(男子85g、女子70g) DHA・EPA いろいろな機能性が期待 認知症予防、体脂肪低減など 豊富なビタミン類 ビタミンDは魚に特有 ミネラルもたっぷり 特に骨にはカルシウムが豊富 成人の1日所要量 男女600mg(妊婦900mg、授乳婦1100mg)成長期(男子900mg、女子700mg)

魚と肉の栄養成分の比較

表:可食部100gに含まれる量

日本食品標準成分表5訂より

  蛋白質
(g)
脂質
(g)
Ca
(mg)
ビタミンA
(マイクロg)
ビタミンD
(マイクロg)
DHA・EPA
(mg)
マグロ(赤身) 26.4 1.4 5 83 5 147
かつお 25.7 2.8 23 9 22 650
サケ 22.3 4.1 14 11 32 610
マアジ 20.7 3.5 27 10 2 670
牛肉ヒレ 20.5 4.8 4 4 0.4 14
牛肉もも 21.2 9.6 4 6 0.2 5
豚ヒレ 22.8 1.9 4 2 0 4
豚もも 20.5 10.2 4 4 0.1 4
鶏ささみ 23.0 0.8 3 5 0 6
鶏もも 18.8 3.9 5 18 0 11

マグロ・カツオ・サケ・アジなどの魚類は、ウシ・ブタ・トリなどの肉類と比べて、カルシウムは5倍、ビタミンDは100倍、DHA・EPAは100倍豊富に含んでいます。

例えば、ビタミンDは、日光を浴びて皮膚でも作られていますが、カルシウムやリンの吸収を良くし、骨や歯への沈着を助けたり、血中のカルシウム濃度を一定に保つなど、重要な役割を果たしています。これらが欠乏すると、乳幼児では「くる病」、成人では「骨粗鬆症」にかかりやすくなります。

食品100g当たりのビタミンDの含有量 あんこうの肝 110 マイクロg しらす干し 61 マイクロg いわし(丸干) 50 マイクロg いくら 44 マイクロg 紅鮭 33 マイクロg しろ鮭 32 マイクロg にしん 22 マイクロg さんま 19 マイクロg うなぎのかば焼 19 マイクロg

また、DHAは全ての世代にわたって重要な栄養成分です。

DHA・EPAを多く含む魚(100gあたりの量)マグロ(トロ) DHA:3.20g EPA:1.40g ブリ DHA:1.70g EPA:0.94g サンマ DHA:1.70g EPA:0.89g イワシ DHA:1.30g EPA:1.20g カツオ(秋獲り) DHA:0.97g EPA:0.40g サバ DHA:0.70g EPA:0.50g 可食部100gに含まれる量(日本食品標準成分表5訂より)

DHA・EPAの1日の摂取目標値:1g以上(魚で約90g以上)(厚生労働省:日本人の食事摂取基準2010年度版) 各世代で魚介類の摂取が低下 食事からのDHA・EPA摂取が不足する可能性が大きい DHA・EPA強化食品やサプリメントの利用

魚介類の摂取は糖尿病のリスクを低減するとも言われています。

全国14万人(40-69歳)を対象に1990年から10年間にわたる調査

最近の我々の研究においても、高脂肪食を与えた動物において、肉類を基本とした餌を投与したグループと比べて、魚類を基本とした餌を与えたグループでは、体重の増加や脂肪肝への移行が抑えられることを確認しています。
このように、魚類は肉類にはない優れた栄養成分を豊富に含んでおり、健康の維持に重要な役割を果たしていると考えられます。

健康な食の提供への取り組み

私たちは豊かな自然環境の下に生かされています。そこで育くまれた食材を有効に活用することはもとより環境と調和した資源調達ができるよう、研究開発、技術開発を進めています。

健康な食料資源を育む環境

環境負荷低減への取り組み

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