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詳細情報

アサクサノリ

アサクサノリ
Illustrated by 鈴木勝久
英名
Asakusa nori、Laver
学名
Pyropia tenera (Kjellman) Kikuchi, Miyata, Hwang et Choi
分類
ウシケノリ目 ウシケノリ科 アマノリ属
体長
長さ15~25cm、幅7~12cm
分布域
日本全国。朝鮮半島
特徴
葉の形は、最初は笹の葉状で長く伸び続けるが、成熟して胞子を放出した後は円型に近くなる。汽水域の干潟の木の杭や河口域に群生するヨシなどに胞子が付着して、秋から春にかけて成長する。紅藻類の仲間であり、生時の色は暗紅色から暗紫色。江戸時代から養殖海苔のほとんどを本種が占めて来たが、昭和30年代ごろから病気に強く育てやすい他種にとって代わられ、現在では国内生産のほぼ全てがスサビノリの改良品種となっている。一方、本種は東京湾では絶滅に近い状態にまで減少してしまった。本種の属するアマノリ類は、一生の間に全く異なった2つの世代を経るという変わった生活史を持っている。無性世代の糸状体と有性世代の葉状体である。糸状体は微細な糸状の形をしていて貝殻の中で生育するもので、そこから放出された胞子が育つと、葉状体と呼ばれる、いわゆる海苔に成長し、そこから精子と卵子に相当する生殖細胞が分化して接合し、胞子を放出し、それが糸状体になるというサイクルである。なお、「アサクサノリ」の名は、もともと浅草で売られる乾海苔を指すものであったが、それを標本として用いて、キエールマン博士が1897年に新種として発表したため、正式な和名としても用いられるようになった。
料理法
アマノリ類中で最も味がよいものとされ、乾海苔に加工されるほか、佃煮にもされる。旬は冬で、新物はとくに香りがよい。