トコブシ
- 英名
- Small abalone
- 学名
- Haliotis diversicolor Reeve
- 別称
- ナガレコ、ナガラメ、アナゴ、アブキ(八丈島)
- 分類
- 原始腹足目 ミミガイ科 ミミガイ属
- 体長
- 殻長9cm
- 分布域
- 北海道南部以南の日本。その他、西太平洋・インド洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布
- 特徴
- アワビ類の幼貝に似るが、呼水孔と呼ばれる穴は突出せず、数も7~8個と多い。浅海の岩礁域にすみ、昼は岩陰に潜み、夜、餌の海藻を求めて活動する。地方名のナガレコは「流れ子」の意味で、岩の表面を非常に早く滑るように歩く様から名づけられた。主に素潜りで漁獲され、地域ごとに漁期が厳しく定められている。八丈島や南九州以南に分布するものは、殻に丸い膨らみがある「フクトコブシ」と呼ばれるタイプで、殻色も青、緑、赤、それらのミックスと多様で、学名の‘diversicolor’の由来となっている。この色彩の決定には、緑色と赤色の発現に関わる2種類の対立遺伝子と、環境要因(餌の種類)とが複合的に働いている。
- 料理法
- アワビと較べて柔らかい身質を持つ。活貝は生のまま、あるいはさっと蒸して刺身にすると旨い。特に、塩蒸しは夏にぴったりの肴。酒・みりん・しょうゆを使って、殻ごとさっと煮ても旨い。煮汁ごと冷蔵庫で一晩寝かして味を含ませるとよい。また、煮汁は薄味にした方が、トコブシ本来の味が楽しめる。殻からはずしてほおばると、足、貝柱、ワタなど、味や食感の異なる部位が一口で楽しめるのもアワビにはない趣である。