エゾボラ(マツブ)
- 英名
- Whelk、 Japanese neptune
- 学名
- Neptunea polycostata Scarlato
- 別称
- マツブ、ツブ
- 分類
- 新腹足目 エゾバイ科 エゾボラ属
- 体長
- 殻長15cm
- 分布域
- 北海道周辺。樺太~朝鮮半島
- 特徴
- 殻は頑状で、赤褐色を帯びる。螺層(螺旋条に巻いた部分)の肩の部分にはコブ(しばしばヒレ状になる)が並ぶ。殻の内面は白色、黄色あるいは橙色。また、褐色で厚い革質の蓋をもつ。水深1,000mまでの砂泥底にすみ、肉食性で、他の貝類やゴカイ、死んだ魚などを餌とする。雌雄異体で、交尾を行って体内で受精し、海底の岩や貝殻に、弾力があって丈夫な殻に包まれた卵塊を産み付ける。孵化には約一年掛かるが、卵を出た時にはすでに親と同じ姿になっており、プランクトン時代は過ごさない。餌としてタラやイカを入れたバイ籠で漁獲する。ツブという呼び名は、一般にエゾバイ科の貝類の総称で、中でもエゾボラは大型で味も良く、マツブの名を有する。なお、エゾボラ類は唾液腺という器官にテトラミンという毒素を持っており、この部分を取り除かずに食べると頭痛やめまい、嘔吐を起こすことがある。特に毒性が強いのは、近縁種のエゾボラモドキとヒメエゾボラという種である。
- 料理法
- 本種はツブ類の中でもっとも美味とされ、北国の味覚として名高い。塩でもんで刺身にするとコリコリした食感と深い旨みが楽しめる。また、煮貝、つぼ焼き、あるいは身を取り出して串焼きにしても旨い。なお、本種の唾液腺がもつ毒性はあまり強くないとされるが、調理の際は取り除く方がよい。