基本的な考え方

水産資源を主要な事業活動の糧とするマルハニチログループにおいて、資源の枯渇は事業の存続と切っても切れぬ関係にあり、事業縮小あるいは停止につながる影響の大きいリスクと認識しています。資源の有効活用のための技術や仕組みの研鑽を続けていきます。

2030年のありたい姿(KGI)と達成目標(KPI)

マテリアリティ 循環型社会実現への貢献
KGI(2030年のありたい姿) 効率的な資源利用によるサーキュラーエコノミー(循環型経済)がグループ内に浸透し、実践している
KPI プラスチック使用量削減率(バイオマス、リサイクル素材等への切替含む(マルハニチロ(株)) フードロス(製品廃棄)削減率(国内グループ) 食品廃棄物等の再生利用率(国内グループ) 延長可能と評価した市販製品の賞味期限延長(MN)
ターゲット 目標年 2030 2030 ~2024 2030
目標値 30%以上 50%以上 99%以上 100%
2022年度
進捗
進捗結果と
コメント
容器包装のプラスチック使用量を2020年度比1.5%削減 フードロス量を2020年度比10.4%削減 食品廃棄物等の再生利用率98.4% 一部製品で実施対象製品全体への調査検討中
自己評価 ★★☆☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★☆☆☆
責任部署 プラスチック使用量削減プロジェクト フードロス削減プロジェクト

責任者メッセージ

プラスチック使用量削減プロジェクトリーダー
マルハニチロ(株) 開発部 部長
谷 和憲

プラスチック使用量削減プロジェクトは、環境価値の創造に関するマテリアリティである「循環型社会の実現」に向けて、市販用・業務用・水産素材など、いろいろな商品の容器や包材に使用しているプラスチックの使用量を、2030年までに30%削減(2020年度比)をめざして取り組んでいます。
私たちのあらゆる商品の設計にとって、密接にかかわっている素材であるプラスチックを削減することは、包材の薄肉化に伴う品質劣化対策や流通時の衝撃耐性の確保等、品質面にてさまざまな障壁があります。一筋縄ではいきませんが、各事業すべてが持続可能な社会の実現を自分事として捉えるよう、メンバー間の情報共有や社内での意識浸透を進めています。具体的には、トレーの減容化・包材の縮寸によるリデュースや、バイオマスなど代替素材の使用など、着実に歩みを進めています。今後も全社一丸となって、サステナブルな社会の実現を推進していきます。

フードロス削減プロジェクトリーダー
ロジスティクス部 部長
片野 歩

本プロジェクトは、廃棄理由の分析とフードロス削減のための対応策を検討のうえ、廃棄現場を社内の関係者とともに視察することから始めました。外装不良で廃棄されていた食品は、どれも中身に問題がないものばかり。それまでは少しでも外装に問題があれば機械的に廃棄処理されることが少なくありませんでしたが、現場視察を通じて、機械的な廃棄を見直す必要性を感じました。しかし、外装不良の確認・判断には物流現場の手間がかかること、業界全体で一定の判断基準を設ける必要性があるため、外装基準の自動判断ツールが必要だと考えています。また、冷凍品の寄付は設備の関係で従来は困難でしたが、2022年度よりフードバンクかながわで引き受けが開始されたことで定期的な冷凍品寄付のスキームができあがり、今後の寄付の拡大に期待しています。

マルハニチロの取組み

脱プラスチック:容器包装プラスチック使用量削減

推進体制

多くのユニットがかかわるマテリアリティで、全社で情報を共有、協力して取り組む必要があることから、2022年度よりプラスチック使用量削減プロジェクトを発足させました。プロジェクトオーナーを常務執行役員、プロジェクトリーダーを開発部部長が担い、2024年度までの目標を定め、目標達成に向けて具体的取り組みを進めています。

プラスチック使用量削減プロジェクト推進体制図

容器包装プラスチック使用量削減目標設定と進捗状況

基準年度となる2020年度の容器包装プラスチック使用量は約9,235トンであったため、KPIは2030年度までに30%(約2,771トン)を削減することが目標となります。今中期経営計画の目標年である2024年度は2020年度比10%削減(約924トン)を目標としており、2022年度は各種施策を進めたものの137トン(約1.5%)の削減となりました。

商品容器包装の改善

容器包装の改善事例(中央トレー:改善前、右側トレー:改善後)

過去に実施してきた環境配慮素材への切換え、包材のサイズダウンなどの施策と課題をプロジェクトチーム内で共有し、その他の製品への活用を検討しています。また包材メーカーによる勉強会も複数回開催することで社内への浸透も進み、2022年度は新たに、水産部門にて、生食用エビのトレーサイズを見直し、プラスチック使用量の削減に向け動き出しました。同様の取組みを他事業部でも展開できるよう、情報共有を定期的に行っていきます。

商品容器・包装における省資源化への取組み

マルハニチログループでは、環境負荷の低い容器の開発に向けた取組みを行っています。容器の軽量化を行うことで、省資源はもとより、重量の軽減による物流時のCO₂排出量の削減効果が見込まれます。
2022年度マルハニチロ(株)では市販用冷凍食品の米飯とカップグラタンのフィルムの構成を見直し、十分な強度を保ったままサイズダウンし、プラスチック使用量を16.7トン削減することができました。

フードロス削減の取組み

推進体制

グループ全体でフードロスを削減するため、グループ内全従業員への浸透を含め、各種施策を推進することを目的として、2022年度にフードロス削減プロジェクトを発足させました。プロジェクトオーナーを物流ユニット担当役員、プロジェクトリーダーをロジスティクス部部長が担っています。本プロジェクトでは、2024年度までのフードロス削減率について目標値を設定し、目標達成に向けたスケジュールを策定、活動を推進しています。

フードロス削減プロジェクト推進体制図

※フードロス:消費者庁や農林水産省では「まだ食べられるのに廃棄される食品」と定義されているが、ここでは「フードロス(製品廃棄):最終包装後の製品廃棄のうち、本来食べられるにも関わらず廃棄されている食品」」とする。

製造・加工の過程で発生する食品廃棄物についてはKPI 「食品廃棄物等の再生利用率」、当社販売後の流通、消費者で発生する食品廃棄物については、量を計数的に測定することが不可能であることから、KPI 「延長可能と評価した市販製品の賞味期限延長」で評価することとしている。

フードロス削減目標の設定と進捗状況

フードロスの削減推移

2020年度のマルハニチロの各事業部および国内グループ会社におけるフードロスは271.69トンでした。フードロス削減のKPI 「国内グループにおいて2030年までにフードロスを2020年度比50%削減させること」に向けて2030年までに135.85トンを削減することが目標です。今中期経営計画の目標年である2024年には2020年度比20%削減(54.34トンの削減)を目標としており、冷凍食品の寄付スキームの構築などの施策を進めた結果、2022年度は10.4%(28.17トン)の削減量となりました。

現状把握調査と対応策の検討

マルハニチログループでは、フードロスの多くが加工食品ユニットと食材流通ユニットに属する事業部とグループ会社から発生しており、その中でも冷凍食品が、常温食品と比較しても発生数量が多い傾向にあります。主な理由としては、海外生産品も多い冷凍食品は、コンテナ輸送時に外装破損が起こりやすいこと、輸入時の抜き取り検査の箱開封品の残り製品が一定量発生することが挙げられます。

外装破損起因のフードロスへの対応

外装破損起因のフードロスに対応するため、包装形態の再検討、合わせ・バンド掛けの削減、カートンケースのモジュール化とパレット輸送を推進していきます。また、外装破損については、基準を業界全体で標準化し、作業者の確認の負担を軽減する必要があることから、統一の基準で外装破損を判断できるAIアプリの開発・普及運動の展開をめざし、行政、同業他社、川上・川下企業との対話・連携を図っていきます。

冷凍食品の寄付スキームの構築

フードバンクへの食品寄付は2009年から実施していましたが、当社のフードロスの多くを占める冷凍食品は配送コストやフードバンク側で冷凍保管設備が十分に確保できず、寄付が進んでいませんでした。課題解決に向けた方策を検討する中、フードバンクかながわと当社製品を保管する物流会社と連携することで、保管倉庫から直接フードバンクかながわが冷凍食品を引き取り、定期的な寄付を実施するスキームを構築することができました。これにより、常温品に加えて冷凍品の寄付も飛躍的に増え、2022年度の寄付量は16.87トンとなりました。現在、定期的な寄付は品質を担保できる抜き取り検査の箱開封品の残り製品を主として実施していますが、今後外装破損品にも拡大していきたいと考えています。

販売後の流通、消費者で発生するフードロス

過去に実施してきた常温食品の賞味期限延長に加え、2022年から、市販用や業務用の冷凍食品の一部で保存検査による品質確認を行い、賞味期限を12ヵ月から18ヵ月へ6ヵ月延長した商品の販売を開始しました。
フードロス削減は各種施策の実施により順調に進捗しています。2023年度は、外装破損起因のフードロスの抜本的な削減に向けて取り組んでいく予定です。

その他の取組み

製造トラブルの削減:新生産システムの導入
廃棄物の有価物化

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