SALMON MUSEUM サーモンミュージアム

サケ(シロサケ)

サケ(シロサケ)

形態1成魚

全長 約65cm

背びれ約12軟条、尻びれ約16軟条。胸びれ約16軟条、腹びれ約11軟条、側線鱗数約140。

海で生活をしている時、背部は青黒色。腹側は銀白色の鱗でおおわれています。産卵期に入ると、鱗は表皮に深く埋もれるようになり、体色は黒ずみます。成熟が進むと、赤、黄、緑色のまだら模様ができ、ブナの樹肌のような模様になり、「ブナケ」と呼ばれています。

形態2卵・仔稚魚

卵は球形で、直径約6mm。卵黄は赤みのあるオレンジ色です。
約2ヶ月程度で孵化し、大きさ20mmくらいの仔魚は、産卵床のまわりで生活を始めます。
成長し、背部が茶色く、薄い緑色が混じってくると、側線に沿って約10個程度の小さいパーマークが現れてきます。降海後、体長が7,8cmくらいになるとこのパーマークは消え、だんだん成魚の青い色に変っていきます。

形態3産卵期

卵のために川口にもどってくる生殖期なると、オスの上あごが伸びて、下あごの上に覆い被さるように伸び、はげしく「鼻曲がり」状態になります。この状態が学術名Oncorhynchus(かぎ状の鼻)の由来です。
生殖期のオスの色調は、「ブナケ」と呼ばれるように黒・赤・緑色などのまじったブナ樹肌のような雲状の模様に衣代わりしてゆきます。鮮やかに変化するオスと比べるとメスは程度の軽いブナケに変ります。

生態1産卵

春の海に出る時期にあわせて、卵から浮上するために、地方によって、産卵期が変ってきます。北海道など北方ほど早く、本州の南方ほど遅くなります。産卵期は6月から1月までの約半年にわたりますが、夏に産卵するグループは8月~10月にかけて、秋に産卵するグループは9~12月が主な産卵期になります。
産卵場は、水深30cmくらいの浅瀬で砂利底から地下水が湧きでているところを選びます。一般に河口から長距離さかのぼることはまれですが、アムール川、ユーコン川、マッケンジー川などでは1000~2000kmも上流で産卵するグループもあります。
産卵場所を見つけたメスは体を横向きにして尾びれを上下させ礫、砂利を舞い上げます。直径1m深さ50cmほどの完成までに1時間くらいかけて堀りあげ、その後、見張りをしていたオスとともに、産卵・放精します。時には他のオスも反対側に寄ってきて放精することもあります。産卵を終えたメスは尾びれを用いてまた、石礫を巻き上げ卵の上へかぶせます。(約2時間の行為)その後は、痛々しい体になりながらも、後からやってきて産卵しようとするメスから産卵床を守りながら1週間ほど、その場所にとどまりますが、やがて力尽きて死んでしまいます。

生態2体内卵数

体内卵数は約1000~6000個と個体差があります。一回で約500~2000個程度の卵を放出し、場所を変え数回に分けて産卵します。

分類:サケ科サケ亜科サケ属
学名:Oncorhynchus  keta  (Walbaum)
英名:chum salmon 、dog salmon
地方名:サケ・シャケ(一般)、アキザケ・アキアジ(北海道・青森・秋田)、トキシラズ・ナツザケ(北海道)ラシャマス(北海道)

鮭の住んでいる所

北太平洋、日本海、ベーリング海、オホーツク海、アラスカ湾全体、北極海の一部に分布。日本での遡上は、太平洋側では利根川、日本海側では山口県以北の河川になります。

成魚の成熟段階 成魚の成熟段階
生態3仔稚魚の生活

卵から孵化した後は、「さいのう」と呼ばれる腹部の栄養源から卵黄を吸収し、餌はまだとりませんが、雪解けの3月から5月になると、自ら餌をとるようになります。そして、稚魚期になるとすぐに降海をはじめます。海への移動は日没後活発になり、小型の水生昆虫などを餌にしながら、下流に泳ぎます。海に出て沿岸でしばらく留まりますが、体長が8cmくらいになり、運動機能が成長すると沖合いへ移動し、北洋に向かいます。

生態4成魚の生活

日本の河川から海洋に出たサケを日本系サケといいますが、オホーツク、カムチャッカ、ベーリング海を回遊し、最も東側のアラスカ湾まで移動するという調査報告もあり、長距離を大回遊して日本の河川に戻ってくると言われています。
一般には、3回の冬を北洋で過ごし、4歳魚で回帰します。また、3歳魚、5歳魚も多く、まれに6歳魚となって回帰するものもあります。
海洋での餌は、各種浮遊動物や小魚、イカなどで、食欲は日没前後に激しくなります。

生態5成長過程

約3~5年で成熟。約60~80cmになります。産卵をすませるとオスもメスも死亡し、北海道では、その死骸を「ホッチャレ」と呼びます。

加工・食物としての利用

山漬、塩引き、塩焼き、新巻ザケ、さけフレーク(びん詰)にも使用。

栄養成分(可食部100g当たり)

エネルギー154.0kal

エネルギー 133.0Kcal 各サケの脂質の差がエネルギーの差になっています。牛肉や豚肉より断然ライトでヘルシー。健康食品として良質なエネルギー源です。
タンパク質 22.3g サケのタンパク質には、栄養素として重要な必須アミノ酸が多く含まれています。必須アミノ酸はイソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの8種ですが、FAO/WHO/UNU(1985)の基準ではヒスチジンも加え9種としています。
脂質 4.1g サケの脂質には、生活習慣病に予防効果のあるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)、が多く含まれています。
脂肪酸EPA 0.24g 血液をさらさらにして血栓の生成を抑え、脳血栓や心筋梗塞を予防します。血中コレステロールの低下作用・血圧低下作用・血糖値低下作用が認められています。
脂肪酸DHA 0.4g 子供の脳の発達に必要で母乳にも含まれています。また、老人性痴呆症予防や網膜反射機能の向上にも効果があることが分かってきました。
アスタキサンチン 0.7mg サーモンの身が赤いのはアスタキサンチンが豊富に含まれているからです。アスタキサンチンとはベータカロテンと同様、天然色素で健康の味方です。体内の活性酸素を抑え、動脈硬化を防止し、ガンの予防にも効果があるといわれています。※ニジマス(海面養殖・淡水養殖)のアスタキサンチン量は餌により変動することがあります。
※参照:北海道大学名誉教授 羽田野六男氏のデータより/『サケを食べれば若返る』(鈴木平光著/たちばな出版)157ページ表20、各サケのアスタキサンチン含有量(『活性酸素に攻め勝つアスタキサンチン』板倉弘重氏ハート出版より)
ビタミン類
ビタミンA
〔レチノール〕
11.00μg 胃腸や気管支などの粘膜を正常に保ち、皮膚の状態を整えます。不足すると視力低下や肌荒れ、また風邪にかかりやすくなります。
ビタミンB2
(リボフラビン)
0.21mg ホルモンを正常化する働きがあります。最近では肌荒れにも効果があると言われています。B2の欠乏症は口唇炎や口角炎です。
ビタミンB12
(シアノコバラミン)
5.90μg B12は鮭に多く含まれていてるビタミンです。B12が不足すると、正常な赤血球が減って、巨赤芽球という正常でない赤血球ができてしまい、悪性貧血という病気を引き起こします。
ビタミンD
(カルシフェロール)
32.00μg ビタミンDは骨のビタミンとも言われ、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。
不足すると近年問題になっている「骨粗しょう症」になります。
ビタミンE
(トコフェロール)
1.20mg Eは老化を防ぎ、若さを保つビタミンとも言われています。不足すると血行障害や老化現象が進み、 極度の冷え性になったり、動脈硬化が進んだり、妊婦は流産しやすくなります。
ミネラル類
カルシウム 14.00mg カルシウムCaは骨や歯を作るだけではなく、みずみずしい肌には欠かせないものです。Caは吸収しにくいミネラルで、Caの吸収のためにはビタミンDが必要です。
リン 240.00mg 体内ではリン酸カルシウム、リン酸マグネシウムの形で骨や歯の主成分となり、血液中ではリン酸塩として血液に酸やアルカリを中和する働きをします。
0.5mg 鉄Feが欠乏すると、血液色素のヘモグロビンが減少して貧血症になります。動物性食品に含まれる鉄は体内への摂取率がよく、摂取量の15~20%が体内に吸収されます。
亜鉛 0.5mg 亜鉛Znは広く細胞全体に存在し、DNAやタンパク質の合成に関与しています。不足すると、免疫機能が低下します。食べ物を食べても、味を感じなくなる味覚障害、これも現代人のZn不足が原因している場合があります。

※ただし、EPA、DHAは試料肉100g当たりの重量です。

漁法

定置網漁/刺し網漁/巻き網漁