SALMON MUSEUM サーモンミュージアム

サケの加工

その他の加工品

サケフレーク

サケの人気加工食品のひとつにサケフレークがあります。サケフレークはサケの身を蒸して、くずしたもので、お茶漬けの具、ふりかけ、サラダなどによく使われます。サケフレークの製造は、魚を蒸したり、身をほぐしたり、小骨を取り除くなどたくさんの工程あります。ここでご紹介するサケフレークの加工は、北海道のマルハニチロ食品森工場の工程です。

サケフレークのできるまで

1.秋鮭、生原料
主に北海道産の鮭を使用します。


サケ原料

2.蒸し後、身採り
骨や皮、血合い等を除去し丁寧に鮭の身だけをとります。


身採り

3.調味混合

レオニーダー釜で原料と調味料を加熱混合します。

4.選別
コンベアー上で異物の有無を確認します。


選別

5.計量

コンピュータースケールで規格に合わせ計量します。

6.充填
空瓶に製品を詰めます。


充填

7.異物検知

異物検知機を通した後、重量を確認します。

8.キャップ締め

瓶の中を真空にして、キャップを締めます。

9.レトルト殺菌
規定の温度、時間でレトルト加熱殺菌を行います。


レトルト殺菌

10.密封性確認

コンベアーに製品を流し、密封されていることを確認します。

11.ラベルシール貼り

瓶に胴ラベルシールを貼ります。

12.箱詰め

箱詰め後、出荷します。


箱詰め

メフン(腎臓の塩辛)

メフン(アイヌ語で魚の腎臓の意味)は、サケの中骨に沿って付いている腎臓を使って作る塩辛(塩蔵熟成)です。色は黒く食感にとろみがあります。延喜年間(900年代)の古代から主に酒の肴として珍重されているほか、ストレスを回復させる栄養素であるビタミンB12が豊富に含まれているため、健康食品としても注目されています。

製法(道立網走水産試験場 報告書より)

産卵期のシロサケを原料にしますがメスはやや自己消化が進みやすいため、良品を得るためにはオスのみが用いられます。

生ザケの内臓を除いた後、背わたの中心に刃物で縦に2分するように切り目を入れ、スプーン状のメフンかきで頭部側からかき取ります。希薄食塩水で十分洗浄し、水切り。飽和食塩水2、メフン1の割合でかくはんしながら15分程度塩水漬けし、また水切りをかね風乾するか、高分子吸着剤で脱水してから冷所で熟成をおこないます。

メフンは内臓器官であるため、酵素活性が高く自己消化による軟化が進みやすいので、塩分を13%内外に調整し、冷所保管により約1年間は原型を保持します。その後は液状となりますが味は円熟し、これを好む人も多く、新潟県村上市の料亭では7年物のメフンをだすところもあります。

鮭のごちそうレシピ「メフン」

飯寿し(いずし)

飯寿しは、魚肉を米飯と麹(こうじ)で漬け込む発酵食品です。ほっけやハタハタで作る飯寿しもありますが、シロサケやベニザケでつくる飯寿しは特においしく、人気が集まります。

大まかな加工工程をご紹介します。秋サケの塩引きを水さらし(塩抜き)したのち、切身にし、米飯と麹(こうじ)のあわせに、塩、酒、みりん、酢などとニンジン、キャベツ、生ショウガなどの野菜といっしょに樽に漬け込みます。つぎに、漬け込みを終えたものから順に蓋をして氷温庫に運び込み、次々に重石を乗せて加圧していきます。加圧することによってアミノ酸発酵がおこり、飯寿しの旨味を引き出し、約1ヶ月間じっくりとねかせることにより飯寿しがさらに熟成し、よりおいしい飯寿しへと生まれ変わっていきます。

鮭のごちそうレシピ「飯ずし」

魚しょう油(ぎょしょうゆ)

魚介類を塩蔵して長期間熟成させることによって、アミノ酸発酵が進み、アミノ酸やペプチドの旨味成分が増してきます。そこで液化した部分を集めたものが魚しょう油です。その代表的な製品が秋田の「しょっつる」で、いわし、はたはた、小あじ、アミなどを原料にしています。この秋田地方の魚しょう油は歴史が古く、「日本書紀」(720年)に魚醤献上の記事が見られるほどです。ほかの地方の魚しょう油では、スルメイカの内臓を原料にした「いしる」(石川県能登)、イカナゴを原料にしたイカナゴしょう油(四国)などがあります。

サケを原料にした魚しょう油も最近北海道で作られており、“秘蔵、絶妙の調味料”と料理人の中では重宝されています。外国にも魚しょう油は多く、ベトナムのニョクマム、フィリピンのパティス、タイのナンプラ、欧米のアンチョビーソースなどが有名です。

チュー(胃)の塩辛

サケの加工品の中でも珍品中の珍品がサケのチュー(胃袋)の塩辛です。チューの塩辛はサケの胃袋を短冊に切ったもので、こりこりとした歯触りがなかなかで、酒のつまみやご飯に喜ばれる一品です。しかし、大量に処理されるサケの内臓物からいちいち胃袋を取り出すのは困難きわまり手間がかかり、サケの産地である東北や北海道ですら、あまりお目にかかれない希少食品です。製法は、調理した胃袋の重量に対し、約20%の塩を加え、さらに旨味をだすため、麹(こうじ)を加え貯蔵します。

新潟県村上市に伝わるサケの干物です。三面川(みおもてがわ)に産卵のために遡上してくるシロサケのオス(ブナ模様がでてやや脂の抜けた6~8kgのものが最適)を塩引きにして、夏まで長期に陰干した塩蔵風乾発酵食品です。食べる時は、薄くスライスして、酒とみりんに浸して食べます。酒の肴に好まれ、お土産用に人気があります。

とば

とばはサケの塩乾品です。 「とば」とは、漢字で冬葉と書き、アイヌ語で「群れ」を意味する言葉です。北海道や東北などでよく製造されています。製造法は、サケを三枚におろし、若干の塩味をつけ、皮を付けたまま、尾部を残して身をタテに切り、乾燥させたものです。また、調味液に漬け込み、乾燥時間を短くして、やわらく仕上げたものを「ソフトとば」といいます。食べやすく一口サイズに切ったものや、白ゴマを散布したものもあります。

ますずし

ますずしは早ずしの一種です。曲げ物の底に放射状に笹の葉を並べ、味付けした酢飯を詰め、この上に調味したサクラマスの身を並べ、笹の葉をかぶせフタをした後、上から重石をのせ加圧した製品です。江戸時代から作られ、幕府に献上されていました。富山県の代表的な特産品。

参考文献:「全国水産加工品総覧」監修:福田 裕・山澤正勝・岡崎恵美子(株)光琳 平成17年6月発行
「北の水産加工事典」 監修者 中村全良(株)北日本海洋センター 平成2年7月30日発行

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