SALMON MUSEUM サーモンミュージアム

鮭と文化

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世界の鮭釣り事情 アラスカ編vol.2 佐々木 潤
第二回 アラスカの鮭釣り
①ライセンス
アラスカでは鮭に限らず釣りをする場合にはライセンスが必要になります。
アラスカでは、鮭に限らず釣りをする場合にはライセンスが必要となります。ライセンスはスーパーや雑貨店などでも売っているので、身分証明書(海外からの観光ではパスポートでOK)さえあれば簡単に取得できます。ただし、RESIDENTとNONRESIDENTでは料金にかなりの差が有りますので、NONRESIDENTの場合は必要な日数に合わせて購入する事をお勧めします。また、RESIDENTでも1年以上はアラスカに居住している事が条件となります。
尚、料金は下記の通り。
ライセンス料金表:RESIDENT(居住者)とNON RESIDENT(一時滞在者)ではかなり差がある
また、King Salmon(マスノスケ)を釣る場合には、別途King salmon stamp($10/DAY)が必要です。ライセンスは釣りをする際は必ず携行する必要が有ります。頻繁に監視人や警察の見回りがあります。所持していないと罰金の対象となりますので注意が必要です。(私は今年度3回チェックを受けました。特にシーズンの初めは多い)
②ルール
アラスカの釣りは、各地方ごとにルールがありますので、ライセンス購入時に確認しなければなりません。

鮭釣りを中心として、アラスカには細かな釣りのルールが有ります。それは地域や河川によっても異なり、それぞれローカルルールが有りますので、必ずライセンス購入時に確認するか、ADF&Gのホームページで確認する必要が有ります。例えば、私の自宅の向かいに流れるIliuliuk liver(イリウリウック リバー)では、Sockeye salmon(紅鮭)、Pink salmon(カラフトマス)、Coho salmon(銀鮭)の三種が遡上します。このうち、紅鮭の釣りは禁止されており、また、銀鮭も2尾までとされています。さらに鮭の溜まるChurch Holeと呼ばれる教会前の淵は6月15日から9月15日までクローズ。その上流は年間を通して一切の釣りを禁止しています。9月15日頃までにはほとんどの鮭が遡上を終えてしまいますので、事実上、カラフトマスか銀鮭をChurch Holeより下流で釣る事になります。またIliuliuk liverが注ぐ海Unalaska Bay(ウナラスカベイ)でも釣りをする事が出来ます。こちらは紅鮭、銀鮭共に2尾までとされていますので、紅鮭を釣る事が出来ます。

③釣り方
ルアー(写真左からスピナーベイト、中央はスプーン、右はミノープラグ)
私は主に写真にあるようなルアーを使っています。写真左からスピナーベイト、写真中央はスプーン、写真右はミノープラグと呼ばれます。釣り場の環境や天気、水の濁り具合や魚が何を捕食しているか等によってルアーの種類やサイズ、カラーを使い分けます。ルアーは疑似餌ですので、餌とは違いすぐに見切られてしまいます。各種ルアーをローテーションしながらその時釣れるルアーを見つけ出す事から始まります。
例えば6月になると紅鮭が遡上に備えて沿岸へとやってきます。3魚種の中では最もおいしいため、釣り人も力を入れて釣ります。この次期、コウナゴやニシンといった魚も沿岸部にいますので、これらの魚を捕食している可能性が有ります。私はまず小魚に似た青や緑のミノープラグを使います。これで反応がなかった場合、オレンジ、またはレッドヘッドのミノープラグに交換します。その後は青や緑のスプーン → ピンクやオレンジのスプーン → 赤やピンクのスピナーベイトに変えます。この順番は魚に対してルアーの動きや色などのアピール度が弱いものから使う順番です。ルアーは疑似餌ですので、あまり派手な物から使ってしまうと魚がスレてしまいます(ルアーを見切り、警戒心が強くなってルアーに反応しない)。上記のローテーションのどれかであたりが有った場合は、ルアーの泳がせ方やスピードに変化をつけたり、ルアーのサイズやフックのサイズを変え、針が掛かる様に微調整します。
愛用の釣具
8月になると、紅鮭は既に遡上を終え、カラフトマスや銀鮭も遡上を開始するので海では釣れなくなります。川で釣りをする事になりますが、この場合、海での釣りとは異なり、鮭は捕食だけでなく威嚇でも口を使うようになります。よって、選択するルアーはピンクやオレンジのスプーン、または赤やカラフトマスのスピナーベイトなど、魚に対するアピール度の高い物を使用する頻度が高くなります。また、カラフトマスは下流域ではまだ群れで表層付近泳いでいる事が多く、一方銀鮭はあまり群れにならず、底付近を泳いでいる事が多い様に感じます。狙う魚によりルアーを泳がせる深度を調整する事で多少の釣り分けはできます。
④豊漁年と不漁年
鮭漁獲量の周期。鮭類には豊漁年と不漁年とが周期的に訪れます。
鮭の漁獲量の推移のグラフを見て頂ければ分かりますが、鮭類には当たり年といわれる豊漁年と漁獲の少ない不漁年とが周期的に訪れます。また、魚種によっても周期の幅や高低に差があります。例えば紅鮭では3年おき、カラフトマスでは2年おきに豊漁年と不漁年が訪れるといわれています。事実、カラフトマスの不漁年にあたる今年は自宅前のIliuliuk liverも遡上する鮭は疎らで、川一面を多い尽くしていた昨年と比べると明らかに遡上数に差が有りました。アラスカに鮭釣りに訪れる場合はこの周期に合わせたほうが、より釣れる確率が高いといえます。
大きな自然を背景にした父と子。息子よ、全ては自然が先生だ。
佐々木 潤氏プロフィール
Sasaki Jun
2003年マルハ(株)(現(株)マルハニチロ水産)入社。2007年より北米を代表する水産会社アリエスカシーフーズ社の副工場長としてアラスカ・ダッチハーバーのすりみ加工工場に勤務。激務の合間にも、短い夏には2歳の息子と家の向かいの川で鮭を釣り、野山へブルーベリーを摘みに行くという大自然を満喫する生活を送る。オールマイティーに釣りを楽しむ。3歳の時、釣好きの父にニジマス釣りに連れて行ってもらってから、現在まで釣りが趣味。渡米前はマダイやアジの海釣りが主体だったそうです。ダッチハーバー在住。新潟県出身。
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