SALMON MUSEUM サーモンミュージアム

館長のサーモンレポート5

サーモンミュージアムの館長です。 今回私は小学校の理科実験授業におじゃまさせていただきました。 「マルハニチロ」の社員が特別に先生となり鮭の生態の観察や、鮭の白子からDNAを取り出す実験(!)を指導するという授業です。

いままでもこのサーモンミュージアムの中で、北海道の小学校の鮭に関する授業についてとりあげてきましたが、生きた鮭とは少々距離がある、千葉県の子どたちは、鮭のことをどう思っているのか、とても興味がありました。
私が見学させていただいたのは、千葉県佐原小学校の5年生を対象とした授業です。先生は、マルハニチロホールディングス 中央研究所の現役研究者たち。彼女らの通常の業務は、水産物からの有効成分をとりだす研究など行っており、中には実際に鮭を研究対象としている社員もいます。
単元:たんじょうのふしぎ
対象学年:小学校5年生
企画タイトル:僕たちが食べるおいしい鮭の謎に迫る~鮭の誕生物語と生命の設計図の秘密~
授業の内容
【導入】私たちがいつも食べているサケはどんな生き物?
【講義】サケの一生を見てみよう
【観察】サケを観察してみよう 一匹のサケを用意し、卵や体の形、大きさを観察する
【講義】サケが親から受け継いだものとは?
【実験】生き物の設計図、DNAを見てみよう
【まとめ・発展】サケの命を無駄にしない研究
まず、1クラスに6人の先生がつきます。各班にひとりの研究員がつくような形です。
メインの先生が画面を使ってサケがどんな生き物なのかを説明していきます。
地球儀を使いながら、日本はどこなのか、サケはどこまで泳いでいくのかを確認します。

そして実際に本物のシロサケのオスとメスを使って子どもたちと大きさの確認や内蔵の観察を行いました。
また、サケの発眼卵を手にもったり触ったり大きさをはかったりしながら観察します。 生徒たちはサケの一生を講義と観察で学ぶことができます。

次にサケの白子を使ったDNA抽出実験を行いました。
小学5年生にとって、DNAを理解してもらうことは少し難しいのではと思っていました。
しかし、授業に参加している生徒たちは、DNAは生き物の設計図であるということ 新しい命のDNAはお父さんから半分、お母さんから半分もらってできていること、 DNAは生き物すべてがもっているということを授業が終わる頃にはきちんと理解していました。実際のDNAの抽出実験は、器具や試薬など、小学生でも扱いやすいような容器や形態であらかじめ準備されており、子どもたちは研究員とともに、本格的な実験の雰囲気を楽しんでいるようでした。

そして目の前の液体の中に現れたDNAを実際に手に取り、その色や感触を確かめました。
実験が終わり授業のまとめの中で、研究員は産卵が終わり、ぼろぼろになり力尽きたサケの写真を見せました。
次の新しい命をつないでいくための営みがいかに大変なことであるのかを伝えます。
「食べ物を大切にすること」「食べ物は命であること。命あるものを大切にすること」、 「サケ(命)が育つのに必要な自然を大切にすること」これをまとめとして、授業は終了しました。

45分の授業の中で伝えるには盛りだくさんの授業であると思われましたが、授業終了後の子どもたちの感想を読ませていただくと、伝えたいことはきちんと伝わっていることがよくわかりました。
授業風景
大人の鮭の大きさはどのくらいかわかるかな?
大人の鮭の大きさはどのくらいかわかるかな?
研究員が大切に育てた発眼卵を観察。
「意外とかたいなあ」
解剖
まるごと一匹の鮭を内臓まで観察
実験準備
45分の授業をとどこおりなく実施するための準備が重要。
鮭の白子をとり分ける研究員
DNA抽出実験
実験器具を使って本格的な実験を体験。
DNAが出てくるかな。 「とてもわかりやすくて、おもしろかった!!DNAはねばねばしていました。はじめてみたので家族の人にもいっぱいはなしたい。(5年生)」

「今日、サケの授業をやって、サケは北極のほうまでいけるんだなあと思いました。サケはすごい力をもっていることがわかりました。わたしは、サケをほとんどたべないでのこしてばかりいました。今日の授業をやって、さけもいろいろな魚もいのちがあるから、こんどからのこさないで食べたいとおもいます。あと、メスは卵をうんだらしんじゃうんだなあと思いました。(5年生)」

「ちょーおもしろかったです。サケのDNAのことをくわしくわかりました。あ!と思ったのは、人は父と母のDNAをもらっているから、にているんだなあ!!と思いました。性格までにているのに気付きました。(5年生)」


実はこの佐原小学校のすく脇に流れる小野川にはなんとサケが遡上するのです!子どもたちにとってサケは身近な野生生物だったのですが、それほど親密に接しているわけではありませんでした。そんなサケについて、知ることができたこの授業は、佐原小学校の5年生にとって、環境についても考えるとてもよいきっかけになったと思われます。きっと、遡上してきたサケを見て、サケたちの遠い旅路に思いをはせることができるようになったことでしょう。
マルハニチロの研究員の方たちには、これからもこのような授業を通じて、子どもたちに命の大切さを伝えていって欲しいと思いました。と、同時に、このサーモンミュージアムもさらに気持ちを引き締めて命の大切さを伝える努力をしていかなければと、 考えさせられました。
おみやげの下じき
授業の最後には鮭の下じきと鮭フレークがプレゼントされた。
校舎と小野川
校舎と小野川佐原小学校の脇を流れる小野川は利根川の支流。
鮭が遡上する姿を見ることができる。
先生になった研究者たち
研究員たちは、今回の授業を行うにあたり、すすめ方や子供達への対応のしかた等、研修や議論を重ねて授業にのぞみました。
※今回のマルハニチロの取り組みは、「経済産業省 平成20年度 社会人講師活用型教育支援プロジェクト」への参加により実現しました。この活動は、子どもたちの理科離れ問題への取り組みとして実施されており、地域コーディネーターの(株)リバネスの協力の元、千葉県内の小学校で授業を行いました。
リンク
企業と教師がいっしょにつくる楽しくわかる理科実験授業
(株)リバネス
(株)マルハニチロホールディングスプレスリリース(PDF)
香取市立佐原小学校
〒287-0003千葉県香取市佐原イ1870
電話番号 :0478-52-2044
FAX :0478-54-7063
http://www.sawara-e.com/
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