えび事業全米進出

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  • えび事業全米進出(後編)
  • 介護食への挑戦(前編)
  • 介護食への挑戦(後編)

えび事業、全米進出。

米国への挑戦。

 日本国内に輸入されるえびは大きく分けて二つ。天然えびと養殖えびである。
 どちらのえびも、供給量は毎年各国の天候や経済状況により大きく変化し、それに伴って相場も大きく変化する。故に、えびの買い付けは大変難しいと言われている。
 そんな中でえびを市場に安定供給するには、相場動向と品質の見極めが大変重要なポイントになる。水産第3部はアジアをはじめ世界各国の工場と密接な関係を築き、情報を集め、品質を向上させるための独自のネットワークを構築してきた。

全米進出への第一歩

 2004年10月、水産3部に米国市場向けの販売にチャレンジするという話が持ち上がる。

我々がアメリカ市場への挑戦を決意したのは、世界一のえび消費量を誇り、空前の日本食ブームに沸き返る米国で勝負をする事で、もう一段上のトレーダーになりたいという思いからでした。(金森)

 
早速、社員がアメリカ・シアトルのウェストワードシーフーズ社へ派遣された。 シアトルはアラスカ産水産物が日本へ渡る際の中継都市であり、そこにあるウェストワードシーフーズ社は、米国におけるマルハニチログループの中核となる企業である。米国での販売担当になったのは柳澤教雄。柳澤は自らの意思で米国行きを志願した。マルハニチロには、若い人に権限を持たせ海外で活躍できるチャンスを与える環境がある。

今は会社として変化が必要な時期です。その中で自分達が仕事を作り出す為に、我々の世代に何が出来るか考えました。(柳澤)

 「世界一の水産商社」と言っても、世界を舞台にしているのは仕入れ部門と加工部門が主であり、大半の商材の消費地は日本国内。日本で「マルハニチロ」と言えば、誰もが話くらいは聞いてくれる。しかし、アメリカの市場にえびを売り込むとなると、マルハニチロは無名に等しい会社であり、実質的にはゼロからのスタート。渡米直後の現実は厳しかった。

アメリカでは本当に“ないない尽くし”でした。笑 せっかく輸入しても保管する設備がない、通関(輸入手続きのひとつ)を行う業者もいない、そして販売先もない、といった具合です。(柳澤)

 こうした状況で柳澤は、とにかく毎日、各都市をレンタカーで回り、一軒一軒丁寧に訪問を重ねた。門前払いされることも度々あり、はじめは日本の恵まれた環境を懐かしく思うこともあった。しかし、次第に新しい土地で、新しい人達や新しい商売に出会うことが楽しくなっていったという。

ある時一人の米国人が言ったんですよ。“今、米国ではマルハニチロの名前を誰も知らない。でも、君達の歴史や事業内容を聞いて驚かない者はいない”。それを聞いたときは、嬉しかったですね。(柳澤)

 
日本企業の製品が海外で高い評価を受けていることはよく知られている通りだが、この背景には日本人ならではのきめの細かい品質管理がある。中でもマルハニチロの品質管理体制は食品業界において圧倒的トップレベルの高い水準にある。品質管理のみならず、買い付けにおいても世界有数の強い力を持っており、事業展開の幅も広い。柳澤にとって上記の米国人との会話は、このようなマルハニチロらしさ、いうなれば「食の総合力」が、米国においてもしっかりと評価されるということを確信する出来事だった。

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