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第三者意見

マルハニチログループCSR報告書2016 第三者意見

NPO法人企業社会責任フォーラム 代表理事 阿部博人氏

NPO法人企業社会責任フォーラム
代表理事
阿部 博人 氏

日本と世界の持続可能性については、楽観することできないであろう。企業の社会的責任がなお一層問われている。しかしながら、企業の不正は絶えない。むしろ、CSRは低調にあるとも指摘される。

そのような中、マルハニチログループは、「再生と一丸への挑戦」の2年を終えて、「成長への挑戦」への新たなステージを迎え、CSR報告書2016を発行した。当グループの事業は「海洋資源の保全」と「食の安定供給」、さらに、「健康への貢献」であり、その使命は重く、消費者からの期待は大きく、一方、その実現は容易ではないだろう。

≫ CSR報告書2016 トップメッセージ

当グループのバリューチェーンは、調達から最終消費財の生産と輸送まで、グローバルに展開し、多岐に長く連なっている。本報告書ではバリューチェーンに続いて、安心・安全な食の提供に向けてのさまざまな取り組みが紹介され、いずれも充実したものとなっている。民間初の完全養殖マグロの商業出荷の開始は、事業を通じての社会貢献の1つの大きな成果であり、CSRとしての快挙とも評価できる。フードディフェンスへの取り組みも加速されている。群馬工場のFSSC22000認証取得や築地フレッシュ丸都のISO9001認証取得などは着実な前進である。「生涯健康計画」は顧客・消費者の健康維持に資するもので、「カラダのゆたかさ」とともに「ココロのゆたかさ」に言及されているのは、単なる食の供給だけではなく、顧客の喜びまでを願う当社グループの経営姿勢を示している。

≫ CSR報告書2016 特集

ステークホルダーとしての従業員への責任ある施策も推進されている。特に、従業員満足度調査に基づくマルハニチロ大江工場の成果が、グループ全体に活用されることが待たれる。多様性施策の大きな柱である女性の活躍推進も図られている。

地域社会への責任は当社グループの事業をふまえた社会貢献活動であり、参加者の楽しさも伝わってくる。

地球環境への責任は体制と諸施策が強化され、成果が数値として示されている。

当グループCSRのさらなる充実に向けた期待は、大きく次のようにあげられる。

食品部門の全工場でのISO9001と ISO22000の認証取得、群馬工場でのFSSC22000認証取得、オーストラル・フィッシャリー社の「カーボン・ニュートラル」認証取得、欧州のシーフード・コネクションのASC認証商品普及拡大など、主だった事業部門では品質や環境へ配慮された調達・生産・加工がなされていることがわかる一方、2008年4月にグリーン調達指針が策定されたものの、グリーン調達要綱の作成と運用がこれからというのは時間がかかり過ぎてはいないだろうか。調達のあり方については、先進的には既にグリーン調達からCSR調達へ移行している。ISO26000(組織の社会的責任に関するガイダンス規格)を調達行為に展開するものとして、持続可能な調達(Sustainable procurement)に関するガイダンス規格のISO20400が2017年春にも発行の見通しであり、東京オリンピック・パラリンピックでの適用の是非が話題となっている。各工場や事業会社だけではなく、マルハニチログループ全体としてのCSR調達・持続可能な調達に速やかに着手すべきであろう。

CSRはステークホルダー・エンゲージメント(ステークホルダーとの対話・応答)において、明確になり、具体化されうる。当グループの各事業フェーズや事業の現場では、それぞれステークホルダーとの対話がなされているものと思われるが、「成長への挑戦」にあたり、幅広くステークホルダーとの対話・応答を行うステークホルダー・ダイアログを実施してはどうだろうか。形式的なものにならなければ、CSRに有効な取り組みとなりうる。

以上、マルハニチログループCSR報告書2016から当グループのCSRの進化を評価し、さらに、国際的な趨勢をも反映したより開かれたCSRへ発展していくことを期待する。

第三者意見を受けて

マルハニチロ株式会社 常務取締役 三田村 知尋

マルハニチロ株式会社
取締役 常務執行役員
三田村 知尋

マルハニチログループの活動報告について、貴重なご意見およびご指摘をいただき、誠にありがとうございます。 経済・社会・環境の3つの側面における社会の要請や期待に応える事が、企業の社会的責任であること。つまり社会の信頼を得られなければ企業の存続はありえないだけではなく、企業経営の課題そのものであることは周知の事実であり、当社もこのことをふまえて事業活動に邁進しています。 当社は「再生と一丸への挑戦」の2年を終え、次のステージを「成長への挑戦」としてグループ全従業員で達成に向け取り組んでおります。グループ理念を社会に果たすべき使命と位置づけ、時間を要しながらも着実に実施していかなければなりません。グループ理念の理解浸透を進めるため常務以上の役員が講師となっている「理念研修」も引き続き実施しています。  一方、成長への挑戦として、持続可能な『食』の資源調達と生物多様性を配慮した「民間初の完全養殖クロマグロの商業出荷」「食の安全・安心への取り組み」や、顧客・消費者の健康維持に資する「生涯健康計画」を目指した商品展開などの社会の要請や期待に応える事業活動に取り組んでおります。

阿部様よりご指摘いただいた、お取引先とともにおけるグリーン調達・CSR調達・持続可能な調達といった調達のあり方について速やかに検討や工夫を重ね、ステークホルダーの皆さまの声に耳を傾け、有効な取り組みとしてのコミュニケーション機会の創出や情報発信を行ってまいります。

次年度も「世界においしいしあわせを届け続ける」事を念頭に置き、世の中の趨勢を反映し、社会の要請や期待に応える活動を着実に行い、インターネットや様々な情報ツールを通じて、多くのステークホルダーの皆さまにご報告をしてまいります。


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