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トップメッセージ 「再生と一丸への挑戦」を通じて強化してきたグループシナジー創出力を生かして世界においしいしあわせをお届けしてまいります。 代表取締役社長 伊藤 滋

平成28年熊本地震により被災された皆さまに、謹んでお見舞い申し上げます。一日も早い被災地の復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。

「再生と一丸への挑戦」の2年を終えて

2016年3月末、当社グループは2014年度からスタートした中期4ヵ年経営計画「Challenge toward 2017」の前半2年間、「再生と一丸への挑戦」期間の終了の節目を迎えました。この間、当社グループは、事件によって大きく揺らいだ社会からの信頼回復に全力を尽くすとともに、2014年のグループ6社統合による事業持株会社体制のもと、業績および商品・企業ブランドの回復に全力を挙げてきました。

その結果、2015年度は売上高、営業利益など主な経営指標においては、おおむね当初計画を上回る成果を上げることができました。その背景には、国内外のグループ全体で危機感を共有し、品質保証体制や危機管理体制、グループガバナンス体制といった経営基盤を強化しながら、原料調達から商品開発、加工・生産、保管・物流、販売までの一貫した事業機能を生かして各事業ユニットが一丸となってシナジーを追求したこと、すなわち当社グループならではの総合力を発揮できる体制が強化できた結果であると認識しています。

中期経営計画

信頼回復への取り組み

社会からの信頼回復を図るために、当社グループでは2014年4月から、私が委員長を務める「危機管理再構築委員会」のもと、「グループガバナンス」「危機管理体制」「品質保証体制」「食品安全・フードディフェンス」「労務問題」「ブランド」をテーマとした再構築・改善プロジェクトを推進してきました。これらのプロジェクトは2016年3月末で関係部門の業務に引き継ぎましたが、継続的な活動を通じて経営基盤強化に資する着実な成果を上げています。

危機管理体制強化の面では、平時のリスクマネジメントと重大な事件・事故、大規模自然災害など有事のクライシスマネジメントの双方の司令塔役を担う「リスク管理統括部」がPDCAサイクルを活用してマルハニチログループのリスクの洗い出しから施策の推進までを統括しています。

品質保証面では、お客さまからのご指摘にかかわる問題点の早期発見を役割とする「お客様相談センター」と、食品の安全性を評価・判断する専任組織「安全管理室」を設置した品質保証部が連携しながら問題解決にあたり、生産工場への予防・是正処置までをPDCAサイクルを活用して継続的な改善を推進しております。

食品安全面では、ISO9001(品質マネジメントシステム)・ISO22000(食品安全マネジメントシステム)の認証を食品部門の全直営工場で取得し、商品の安全・安心に取り組んでまいりましたが、これらの取り組みをさらに進化させるため、このたび、冷凍食品事業の基幹工場である群馬工場にて、食品安全マネジメントシステムの国際規格であるFSSC22000認証を取得しました。当社グループ内において初めての取得です。

私はこうした取り組みを通じて世界最高水準の食品安全・品質保証体制を構築していくことが事件を起こした当事者の責任であり、今後の成長力を支える基盤になると確信しています。

FSSC22000:GFSI(Global Food Safety Initiative 国際食品安全イニシアチブ)により承認された食品安全認証スキームの1つであり、食品安全マネジメントシステムの国際規格であるISO22000にTS22002-1という食品衛生管理基準を追加したものです。

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危機管理体制の強化においては、上記のような制度やルールを確立するだけでなく、従業員の「お客さまの立場に立った安全・安心」へのマインド醸成が何よりも重要です。こうした考えから、常務以上の経営陣が講師を務める「マルハニチログループ理念研修」を、当社をはじめ全国のグループ会社で実施しています。この研修は、グループ理念に込められている当社グループの社会における使命と責任、そして従業員1人ひとりが日々の業務においてグループ理念を実践するためにどのような役割を果しているかを経営陣と従業員がお互いに共有することを目的にしています。2015年度末までに累計で98拠点、約10,000人が受講し、ともにコミュニケーションを図りました。繰り返し実施することが重要であり、今後もこの「グループ理念研修」は継続してまいります。

グループ研修理念

「持続可能な資源調達」を成長につなげる

2016年度からは、中期4ヵ年経営計画「Challengetoward 2017」の後半2年間、「成長への挑戦」期間をスタートさせます。私は、「再生と一丸への挑戦」の2年間で確立したグループ総合力を発揮できる体制を生かして、グローバルなサプライチェーン、そしてステークホルダーの皆さまとともにさまざまな社会課題を1つひとつ克服しながら持続的な成長を分かち合っていきたいと考えています。

その基軸の1つは、グローバルな資源アクセスの強化です。現在、世界では継続する人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚需要が急増しており、世界規模での魚の争奪戦が始まっています。こうしたなか、当社グループは、1970年代から国際海洋法条約を見据えて海外に進出してきた実績をもとに、近年生態系を保存しながら水産物を世界各地に安定調達・供給していくためのグローバルな資源アクセスの強化に注力してきました。

2013年に資本参加した豪州のオーストラル・フィッシャリーズの取り組みは、社会課題解決のプロセスを収益向上につなげている代表的な事例の1つです。同社は海洋での持続可能な資源調達を保証するMSC認証を多くの魚種で取得するなど、南氷洋における高付加価値な魚類を世界に安定供給する体制を構築しています。2015年度は、漁業枠の拡大に応じて老朽化した船を新しい船に更新するなど、さらなる競争力強化に努めました。

環境面でも、このオーストラル・フィッシャリーズが、漁業会社として世界初となるカーボンニュートラル事業の認定会社となりました。

日本や先進国だけでなく新興国でも需要が高まるクロマグロについては、生物多様性の保存に向けて天然稚魚の国際的な漁獲規制が年々強化されるなか、当社グループは2010年に民間企業として初めて天然稚魚に頼らないクロマグロの完全養殖サイクルを実現しました。以来、人工種苗の生存率向上に取り組み、2015年度に初出荷を果たしました。

今後は年々出荷量を増やしながら、2018年には人工種苗による増加分を合わせ国内養殖マグロの約3分の1を占める4,400トンの出荷を計画しています。さらに現在は、稚魚を親魚に育てるために必要な飼料を、魚だけを原料としたものから植物を中心とした配合飼料に変換していく取り組みを進めているほか、クロマグロの完全養殖で蓄積した技術や知見をカンパチ、ブリに展開していく計画です。

魚や漁業がもつチカラを生かす

少子高齢化に加え、食の欧米化やライフスタイルの変化などにより「魚離れ」が進み、魚の消費量が減少傾向にある日本市場においても、さまざまな社会課題に目を向け、魚や漁業がもつチカラを最大限生かしながらいっそうの成長につなげていきます。

その代表的な取り組みが、お客さまの生涯にわたる健康維持のサポートをコンセプトとする「生涯健康計画」です。これは、原料調達から販売までの事業機能をもつ強みを生かして、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった栄養成分を豊富に含む加工食品を提案・提供する取り組みで、2015年4月から「機能性表示食品」制度が施行されたこともあり、加工食品を中心に全品 目を視野に「おいしさと健康」を提供する商品開発に注力しています。その一例としてDHAの「情報の記憶をサポートする機能」と銘打ったフィッシュソーセージの販売を開始しており、多くの消費者の皆さまからご支持いただいています。

こうした商品開発と同時に、地域経済の活性化も当社グループが果たすべき責任の1つです。2017年4月から稼働を開始する新石巻工場は、東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻工場を移設して再開するもので、雇用促進はもちろん、当社グループの冷凍食品事業のいっそうの飛躍と持続的成長を担う工場として期待されています。

経営資源を生かした社会貢献活動

私は、事業を通じて社会課題の解決を図りながら成長すると同時に、世界各地で事業展開する企業として、経営資源を生かして地域の食文化やその土台となる環境保全などの社会貢献活動に努めることも重要な役割だと考えています。こうした考えのもと、当社グループでは、「環境」「食育」「次世代育成」などの取り組みを継続的に推進しています。

2015年度には、グループ会社のヤヨイサンフーズが2010年から始めた、地元の食材を使ってシェフと子どもたちが料理をつくり楽しむ「KIDS-シェフ」の取り組みが50回に達しました。

従業員1人ひとりに挑戦の機会を提供する

原料調達から販売まで、一貫した事業機能を有し、そのシナジーを追求するマルハニチログループの「成長への挑戦」を成功させるためには、国内外のグループ従業員1人ひとりが多様な業務を通じて自己の成長に挑戦することが不可欠です。経営者としての私が成すべきことは、挑戦の機会をすべての従業員に幅広く提供していくことです。

こうした考えから、当社では、日本企業の経営課題とされる女性活用を積極的に推進していく方針です。現在、新入社員の約3割は女性社員で、平均勤続年数は14.5年ですが、こうした数字を高めていくと同時に、現在3.6%にとどまっている女性管理職比率をさらに高めていくための方策が必要と認識しています。また、事業のグローバル化に応じて、日本を含めた世界各地の事業拠点間の人材交流を積極的に推進しています。現地で生活をしながら、地域固有の「食文化」に根ざした商品開発、マーケティング戦略を学び、一方でグローバルな政治・経済情勢をふまえた持続可能な調達戦略を描く力を高めていく。そうしたノウハウをもつ人材、それに向かって努力する人材であれば、国籍も性別も人種も関係なくチャンスが与えられる会社にしていくこと。それが「世界においしいしあわせを」お届けする経営者の責任だと考えています。


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